東に日本百名山の四阿山(2,354m)と根子岳(2,207m)、西に大松山(1,649m)に挟まれた菅平高原へ、ちょっと時期外れですが山菜狩りに出かけました。梅雨入りの発表があったばかりで、標高1500m以上は雲の中。四阿山も根子岳も見えません。冬はゲレンデになるレタス畑の麓から稜線を目指して急登を30分。雨後のため虫が大発生。クロメマトイやアブやハエに取り巻かれながら、ひと汗かいた頃にようやっと尾根筋へ。ガレ場には蛇もいるし、稜線の真田側の谷は熊の生息地なので要注意です。
レンゲツツジは、日当りのいい麓は咲き始めでしたが、尾根筋はまだ蕾。ナルコユリやアマドコロ、ホウチャクソウ、スズランが花の時期。ナルコユリは、生薬名を黄精といって俳人の小林一茶が黄精酒を愛飲していたことで有名です。強壮作用が相当にあるようです。50代になってから妻を三人迎え、五人の子を設けていますから効果はあるのでしょう。江戸でもブームになり、吉原でも高価な黄精の砂糖菓子がもてはやされたそうです。ホウチャクソウ、スズランは毒草なので要注意。
レンゲツツジも有毒なので野生動物も食べません。そのためか、信州の高原にはあちこちに群生地があります。しかし、ヤマツツジと間違って蜜を吸わない様に。痙攣、呼吸停止を引き起こす有毒成分が含まれています。ヤマツツジの花は赤。レンゲツツジはオレンジ系なので区別がつきます。
北向きの傾斜地には、シダ類とヤグルマソウの群生地があります。ヤグルマソウ(矢車草)というと、初夏に紫色の花を咲かせるキク科の花を思い浮かべるかもしれませんが、あれはヤグルマギク(矢車菊、学名:Centaurea cyanus)。写真の鯉のぼりの矢車のような大きな葉が特徴のユキノシタ科のものが本来のヤグルマソウです。梅雨の最中に、小さな星がたくさん集まった小さな銀河のような白い花を咲かせます。
所々に大きな株を作るのは夏の高原に咲く白い花火、シシウド。猪よりも虫達が大好きな花です。今回は残念ながらツマトリソウは咲いていませんでした。
天の岩戸で天宇受売命(アメノウズメノミコト)が素肌にたすきがけにしていたというヒカゲノカズラ (日陰鬘・日陰蔓、学名:Lycopodium clavatum)は、あちこちで散見されましたが、山菜採りに夢中で撮り忘れました。リンクの写真は2010年のものです。
「見まく欲り 思ひしなへに かづらかげ かぐはし君を 相見つるかも」(大伴家持:万葉集)
--逢いたいと思っていたら、ちょうど折りしも、かずら飾りを着けた美しい君にお逢いすることができました--
胞子は、石松子(せきしょうし)という淡黄色の粉。湿気を防ぐので丸薬・花粉増量剤・火薬の衣などに利用されます。
ヨモギの葉の上に一頭のベニシジミ(紅蜆)が留まっていました。湿気が多いので翅を広げて乾燥させていたようです。ガスがまいたり、冷たい東風が吹いたかと思えば、急に陽が射して暑くなったりと目紛しい天気でした。歩き疲れて稜線から見下ろすと、レタス畑の白いマルチが光っていました。時折ラグビーやサッカーの練習の声が聞こえます。
山上から雲を見て、昨年3月の放射性プルームの動きを想像してみました。放射性プルームは、高さ1500m位を流れて来たといわれています(富士山五合目や奥多摩などの計測から)。四阿山と根子岳がそれをブロックしてくれた訳です。その南の鳥居峠は1400m足らずですから、群馬県側から流れ込んだと思われます。真田がやや高い線量なのは、そのためです。さらに南に行くと湯の丸山から浅間山がブロックしてくれましたが、碓氷峠が1000mですから、そこから一定量が軽井沢へ流れ込んだのでしょう。軽井沢にはホットスポットがあります。山林の放射性物質は、ほとんど動かないということも分かっています。県内では最も要注意の場所です。
今回は、群馬県境の山脈がある程度防御してくれました。しかし、次に事故が起きた時に、また同じ様に四阿山がブロックしてくれるという保証はどこにもありません。大飯原発や女川原発に事故が起きた場合、甚大な被害が出る可能性の方がずっと高いと思われます。
地球の年齢は46億年です。約39億年前に海ができて原始生物が誕生しても、地球は太陽や雨中からの放射線や宇宙線が降り注ぎ、陸上で生物が棲める環境ではありませんでした。誤解を恐れずに言えば、太陽は最も巨大な原発であり原爆なのです。
5.5億年前に海藻が酸素を大量に作り始め、オゾン層ができて、やっと陸上で生物が生きられる環境が整いました。
そして、人類が誕生したのがわずか450万年前。地球の歴史を1年とすると、人類の歴史はたった8時間余り。その人類が、膨大な時間をかけてやっと生物が棲める様になった地球を、自ら放射能で汚しています。原発=原爆=核は、生物学的には、最も反動的なものなのです。
■【信州の山】四阿山カルデラ一周 Mt.Azumaya at Yonako in Nagano
信州の米子大瀑布から、真夏の根子岳・四阿山・浦倉山へ22.5kmカルデラ周回コース、トレッキングルポ。
■菅平高原観光協会サイト
レンゲツツジは、日当りのいい麓は咲き始めでしたが、尾根筋はまだ蕾。ナルコユリやアマドコロ、ホウチャクソウ、スズランが花の時期。ナルコユリは、生薬名を黄精といって俳人の小林一茶が黄精酒を愛飲していたことで有名です。強壮作用が相当にあるようです。50代になってから妻を三人迎え、五人の子を設けていますから効果はあるのでしょう。江戸でもブームになり、吉原でも高価な黄精の砂糖菓子がもてはやされたそうです。ホウチャクソウ、スズランは毒草なので要注意。
レンゲツツジも有毒なので野生動物も食べません。そのためか、信州の高原にはあちこちに群生地があります。しかし、ヤマツツジと間違って蜜を吸わない様に。痙攣、呼吸停止を引き起こす有毒成分が含まれています。ヤマツツジの花は赤。レンゲツツジはオレンジ系なので区別がつきます。
北向きの傾斜地には、シダ類とヤグルマソウの群生地があります。ヤグルマソウ(矢車草)というと、初夏に紫色の花を咲かせるキク科の花を思い浮かべるかもしれませんが、あれはヤグルマギク(矢車菊、学名:Centaurea cyanus)。写真の鯉のぼりの矢車のような大きな葉が特徴のユキノシタ科のものが本来のヤグルマソウです。梅雨の最中に、小さな星がたくさん集まった小さな銀河のような白い花を咲かせます。
所々に大きな株を作るのは夏の高原に咲く白い花火、シシウド。猪よりも虫達が大好きな花です。今回は残念ながらツマトリソウは咲いていませんでした。
天の岩戸で天宇受売命(アメノウズメノミコト)が素肌にたすきがけにしていたというヒカゲノカズラ (日陰鬘・日陰蔓、学名:Lycopodium clavatum)は、あちこちで散見されましたが、山菜採りに夢中で撮り忘れました。リンクの写真は2010年のものです。
「見まく欲り 思ひしなへに かづらかげ かぐはし君を 相見つるかも」(大伴家持:万葉集)
--逢いたいと思っていたら、ちょうど折りしも、かずら飾りを着けた美しい君にお逢いすることができました--
胞子は、石松子(せきしょうし)という淡黄色の粉。湿気を防ぐので丸薬・花粉増量剤・火薬の衣などに利用されます。
ヨモギの葉の上に一頭のベニシジミ(紅蜆)が留まっていました。湿気が多いので翅を広げて乾燥させていたようです。ガスがまいたり、冷たい東風が吹いたかと思えば、急に陽が射して暑くなったりと目紛しい天気でした。歩き疲れて稜線から見下ろすと、レタス畑の白いマルチが光っていました。時折ラグビーやサッカーの練習の声が聞こえます。
山上から雲を見て、昨年3月の放射性プルームの動きを想像してみました。放射性プルームは、高さ1500m位を流れて来たといわれています(富士山五合目や奥多摩などの計測から)。四阿山と根子岳がそれをブロックしてくれた訳です。その南の鳥居峠は1400m足らずですから、群馬県側から流れ込んだと思われます。真田がやや高い線量なのは、そのためです。さらに南に行くと湯の丸山から浅間山がブロックしてくれましたが、碓氷峠が1000mですから、そこから一定量が軽井沢へ流れ込んだのでしょう。軽井沢にはホットスポットがあります。山林の放射性物質は、ほとんど動かないということも分かっています。県内では最も要注意の場所です。
今回は、群馬県境の山脈がある程度防御してくれました。しかし、次に事故が起きた時に、また同じ様に四阿山がブロックしてくれるという保証はどこにもありません。大飯原発や女川原発に事故が起きた場合、甚大な被害が出る可能性の方がずっと高いと思われます。
地球の年齢は46億年です。約39億年前に海ができて原始生物が誕生しても、地球は太陽や雨中からの放射線や宇宙線が降り注ぎ、陸上で生物が棲める環境ではありませんでした。誤解を恐れずに言えば、太陽は最も巨大な原発であり原爆なのです。
5.5億年前に海藻が酸素を大量に作り始め、オゾン層ができて、やっと陸上で生物が生きられる環境が整いました。
そして、人類が誕生したのがわずか450万年前。地球の歴史を1年とすると、人類の歴史はたった8時間余り。その人類が、膨大な時間をかけてやっと生物が棲める様になった地球を、自ら放射能で汚しています。原発=原爆=核は、生物学的には、最も反動的なものなのです。
■【信州の山】四阿山カルデラ一周 Mt.Azumaya at Yonako in Nagano
信州の米子大瀑布から、真夏の根子岳・四阿山・浦倉山へ22.5kmカルデラ周回コース、トレッキングルポ。
■菅平高原観光協会サイト