左奥に見えるのが鏡台山でしょう。拙書でも詳しく紹介していますが、双耳峰(そうじほう)の真ん中に月が昇る様を鏡台に例えたのでしょう。右の棚田の上には姨岩のある長楽寺。左下には千曲川が描かれています。:安藤広重「六十余州名所図会」より「信濃 更科 田毎月 鏡台山」(画像:国立国会図書館蔵)
(左)林道芝平樽滝線を登るとニホンカモシカの子供に遭遇。二頭いたので今年生まれた双子でしょう。(中)油紙の様に透けたコシアブラの葉。(右)熊出没注意の看板。迫力ありますね。私もこの山域で4回ほど遭遇したりニアミスしています。拙書のコラムでも「猫にマタタビ、ツキノワグマに石油」という記事を載せています。なんのことか分かりますか。人気の記事です。
林道に駐車してキノコ狩りに出発です。途中女性を含め7、8台のキノコ狩りの車を見かけました。眼下は千曲市のインター辺り。向こうに西山。奥には北アルプスの白馬三山が見えます。信州は本当に素晴らしいなと思える風景です。しばらく見惚れていました。
(左)鏡台山への登山道を登って藪山に入ります。キノコは少ないですね。やっと見つけたハナイグチ(ジコボウ)。(中)クリタケ。猛毒のニガクリタケとの判別のために必ず噛んでみます。ニガクリタケは吐き出さずにはいられない嫌な苦味があります。(右)登山道から数百メートル離れた檜林へ。普通こんなところにキノコがあるとは思いませんね。
(左)林下のスギゴケと楓の実生。(中)神話にも登場するヒカゲノカズラ(石松)。アメノウズメノミコトが首にかけて裸踊りをしたのはこのヒカゲノカズラなんです。(右)コナラの倒木にナメコ。
(左)ヒノキ林。(中)広葉樹林。どちらにキノコが多かったか分かりますか。(右)一見クリタケ。でも猛毒のニガクリタケです。噛んでみれば分かります。どんな猛毒キノコも一度は食べられますが、二度目はありません。キノコ狩りで信州ではたくさん死んでいます。私は単独で行くことが多いのですが、地形を熟知しています。登山道を離れても自分がどこにいるか分かっています。危険な箇所も分かっています。月輪熊との遭遇も避ける対策をしています。そうはいっても4度ほど遭遇したりニアミスはしていますが。想定内です。森は彼らのものなのです。そう思うとどう対処すべきか見えてきます。拙書のコラムでは、そこのところを書いています。
(左)縄文の名水。軟水で甘露です。(中)リュウノウギク。あちこちで散見されます。(右)樽滝。
収穫。ハナイグチ(ジコボウ)は10本ほど。クリタケとナメコは出始めですが300本ほど。塩をふってお湯に浸して虫だしと除染、ゴミを取り除きます。当日食べる分以外は冷凍保存します。信州の里山の恵みです。
昼は倉科の三滝で。これは一ノ滝。拙書では氷結の美しい写真を載せています。また、この上の三ノ滝は、拙書の扉に使っています。
翌日は鏡台山で結構体力を使ったので、ホームフィールドの妻女山山系へ。ヤクシソウがあちこちで咲いています。
そのヤクシソウで吸蜜するホソヒラタアブ。複眼がくっついているのでオス。幼虫はアブラムシを食べます。体長が10ミリ前後と極めて小さいので、見ようとしないと見えない昆虫ですが、宇宙船地球号の大事な乗組員です。
妻女山展望台〔本来は赤坂山。本当の妻女山はこの上の斎場山です。こちらが本名。謙信の本陣と伝わる場所で、古墳(円墳)です〕そこから望む中央が茶臼山。右奥が虫倉山。いずれも拙書で詳しく紹介しています。
展望台眼下の赤坂橋。奥に横に広がる森は、信玄が本陣とした八幡原(はちまんぱら)。その森の左端の向こうの小さな山は、謙信の山城が残る髻山(もとどりやま)。これも歴史を詳しく拙書で紹介しています。小学生が遠足で登る里山ですが、歴史の遺構がたくさん残っています。
展望台から見る川中島、善光寺平のパノラマ。今日は陣場平で、大阪からいらしたカップルと邂逅。私のブログも見てくれているそうです。地元で伝わる川中島の戦いの話や、古代科野国の話、戊辰戦争の話などをしました。拙書もお買い求めていただけるそうで、ブログには拙書に掲載できなかった信州の里山や歴史の話がてんこ盛りなので、ブログ内検索で探してくださいとお話しました。こういう出会が楽しいのです。
森はまだ緑が濃いのですが、山桜やヌルデの紅葉は始まっています。そして空の濃い青さが秋を感じさせます。真上を見るとプルシャンブルーで宇宙を感じます。今秋は最低気温が6度とか5度とかで冷え込みます。紅葉も一気に進むでしょう。北国の秋は短いのです。あっという間に冬が来ます。11月に入ったら山間部に撮影に行くのでスタッドレスに替えます。この冬は暖冬の予報が出ていますが、そんな冬は2月の上雪で豪雪になることが多いのです。2014年の豪雪がそうでした。この冬は2月が要注意です。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
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