寒気が入っているため連日天気が非常に不安定で、長野市もあちこちで集中豪雨が起きています。晴れ間が出るのは午前中の2,3時間だけ。昼頃には雲行きが怪しくなって雨も落ちてきます。そんな中での撮影でした。毎日、雨雲レーダーを見ながら動いています。
ミドリヒョウモン(緑豹紋)タテハチョウ科ヒョウモンチョウ属。前夜にもの凄い豪雨があったので、地中にしみ込んだ水を吸っていました。
人の気配に敏感で近づくとすぐに逃げてしまうので、非常にゆっくりと動いて撮影します。望遠マクロではなくマクロレンズなのでかなり接近しないと撮影できません。視界に入りにくい斜め後方から近づきます。後翅の両側が同じ形で欠損しているのは、何かにかじられた痕でしょうか。
妻女山のあちこちでムラサキシキブ(紫式部)とコムラサキ(小紫)が咲き始めました。クマツヅラ科ムラサキシキブ属の落葉低木。写真はムラサキシキブで葉が大きく広い。コムラサキは葉が細く花の数が多い。紫色の実もたくさん成るので見栄えがいい。実は食べられますが美味しいものではありません。
シオヤアブ(塩屋虻)ハエ目短角亜目ムシヒキアブ科シオヤアブ亜科。腹端(=交尾器)が黒く、腹部は黄褐色と黒のしま模様。オスの腹端には白い毛の束があるので、これはメス。葉や小枝の上でハエやアブ、チョウなどを待ちかまえ、襲って体液を吸い取るアブ。時には自分より大きな昆虫も襲います。ゼフィルスの天敵のひとつ。
(左)オカトラノオ(丘虎の尾)。群生地は青海波の様に綺麗です。(右)イチヤクソウ(一薬草)。前はイチヤクソウ科でしたが、新しいAPG植物分類体系では全てツツジ科。
●APG植物分類体系とは:旧い分類法の新エングラー体系やクロンキスト体系がマクロ形態的な仮説を根拠に演繹的に分類体系を作り上げたのに対して、ミクロなゲノム解析から実証的に分類体系を構築するものであり、根本的に異なる分類手法である。(wiki)
ヒヨドリバナ(鵯花)。はキク科の多年草。。アサギマダラが吸蜜するのが見られます。環境省の特定外来生物および要注意外来生物には指定あるいは選定されていません。右下に極小の昆虫がいますね。
(左)陣場平の貝母。枯れて弾けたものや、まだ実が青いものもあります。(右)ハハコグサ(母子草)キク科ハハコグサ属の越年草。別名はゴギョウ(御形)、ホオコグサ(這子草)、ブツジグサ(仏耳草)、ソジ(鼠耳)、モチバナ(餅花)など。春の七草の一つ。止まっている昆虫の右胸にアカケダニが付いています。
(左)ネンジュモ属に属する陸棲藍藻の一種、藍藻類のイシクラゲが大発生していました。これは炊き込みご飯や味噌汁、卵炒めなどにして食用になります。(右)ドクベニタケ(毒紅茸)ベニタケ科ベニタケ属。近縁種が多く肉眼での同定が難しいキノコです。傘はやや粘性があり、薄くはがれます。食べたことはないのですが、強烈な苦味辛味があるとか。
(左)イオウイロハシリグモ(硫黄色走蜘蛛)。模様や色の個体変異が激しい。網を張らないくもですが、雌は卵嚢を口にくわえて運び、孵化が近づくと草間に籠上に張った網のようなものを作ります。写真左上の葉裏のものが卵嚢でしょうか。(右)ヒラタシデムシ。鞘翅目シデムシ科 。体が平べったいシデムシで、センチコガネなどと同様、昆虫の死骸を食べる森の掃除屋さん。
クダホコリ(管埃)ドロホコリ科 クダホコリ属 。粘菌(変形菌)です。最初は淡いピンクで濃くなり、だんだん黄土色に変わっていきます。希に紫になるものもあります。子実体形成まで時間がかかるため、ピンクまたは紅色の未熟体がよく観られます。子実体の高さは約5ミリ。粘菌は拙書でもエッセイで3ページの記事を載せています。南方熊楠に関する文章も。
●私の粘菌(変形菌)図鑑。YouTubeの粘菌スライドショーのリンクもあります。粘菌好きは必見!
(左)クダホコリの中になにか昆虫がいます。ベニボタル科の虫やテントウムシの幼虫が、粘菌を食べに来ます。(右)フサヒメホウキタケ(房姫箒茸)フサヒメホウキタケ科フサヒメホウキタケ属。梅雨時から秋にかけて針葉樹の倒木上に発生。大きいものは高さ15センチぐらいになります。毒キノコではないようですが、辛味があるようで不食。
翌日は曇り空。前夜にまた豪雨がありました。買い物の前に林道倉科坂線を歩いてみました。お!ニホンカモシカ。気付かれないように草に隠れて後をつけます。マクロレンズなのでなるべく近づきたい。15mぐらいで気配とわずかな足音で振り向きました。手を振り気を引きながら近づきます。角も体も小さいので、昨年夏に生まれた子供でしょう。この後動いたら左の急斜面に飛び降りました。帰郷して13年目。マダム、シロ、ブランカとメスは代々すべて双子を生んできました。この個体はブランカの仔かまたはその娘の仔なのか。
千曲川対岸の東福寺の堤防上からの妻女山山系。川中島合戦に登場する山名が並びます。妻女山(旧赤坂山)、斎場山(旧妻女山:円墳)最初の謙信本陣。陣場平は謙信が七棟の陣城を築いたと伝わる台地。私が仲間と貝母を保護しているところです。妻女山山系は川中島合戦の舞台であり、古代科野国の聖地でした。ハイカーだけでなく歴史マニアもたくさん訪れます。来週は本格的な梅雨模様になりそうです。生物学や歴史や民俗学の研究をしようと思います。
粘菌の怪しく美しいマクロの世界にあなたを誘います。決して特別なものではなく、梅雨の雨上がりの庭や公園の倒木や切り株でも見られます。探してください。きっと虜になります。
【信州の里山】妻女山の変形菌(粘菌)その1 Japanese Myxomycetes vol.1
【信州の里山】妻女山の変形菌(粘菌)その2 Japanese Myxomycetes vol.2
【日本の里山】森の変形菌(粘菌)Japanese Myxomycetes
BGMは、私が大好きなエリック・サティです。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
ミドリヒョウモン(緑豹紋)タテハチョウ科ヒョウモンチョウ属。前夜にもの凄い豪雨があったので、地中にしみ込んだ水を吸っていました。
人の気配に敏感で近づくとすぐに逃げてしまうので、非常にゆっくりと動いて撮影します。望遠マクロではなくマクロレンズなのでかなり接近しないと撮影できません。視界に入りにくい斜め後方から近づきます。後翅の両側が同じ形で欠損しているのは、何かにかじられた痕でしょうか。
妻女山のあちこちでムラサキシキブ(紫式部)とコムラサキ(小紫)が咲き始めました。クマツヅラ科ムラサキシキブ属の落葉低木。写真はムラサキシキブで葉が大きく広い。コムラサキは葉が細く花の数が多い。紫色の実もたくさん成るので見栄えがいい。実は食べられますが美味しいものではありません。
シオヤアブ(塩屋虻)ハエ目短角亜目ムシヒキアブ科シオヤアブ亜科。腹端(=交尾器)が黒く、腹部は黄褐色と黒のしま模様。オスの腹端には白い毛の束があるので、これはメス。葉や小枝の上でハエやアブ、チョウなどを待ちかまえ、襲って体液を吸い取るアブ。時には自分より大きな昆虫も襲います。ゼフィルスの天敵のひとつ。
(左)オカトラノオ(丘虎の尾)。群生地は青海波の様に綺麗です。(右)イチヤクソウ(一薬草)。前はイチヤクソウ科でしたが、新しいAPG植物分類体系では全てツツジ科。
●APG植物分類体系とは:旧い分類法の新エングラー体系やクロンキスト体系がマクロ形態的な仮説を根拠に演繹的に分類体系を作り上げたのに対して、ミクロなゲノム解析から実証的に分類体系を構築するものであり、根本的に異なる分類手法である。(wiki)
ヒヨドリバナ(鵯花)。はキク科の多年草。。アサギマダラが吸蜜するのが見られます。環境省の特定外来生物および要注意外来生物には指定あるいは選定されていません。右下に極小の昆虫がいますね。
(左)陣場平の貝母。枯れて弾けたものや、まだ実が青いものもあります。(右)ハハコグサ(母子草)キク科ハハコグサ属の越年草。別名はゴギョウ(御形)、ホオコグサ(這子草)、ブツジグサ(仏耳草)、ソジ(鼠耳)、モチバナ(餅花)など。春の七草の一つ。止まっている昆虫の右胸にアカケダニが付いています。
(左)ネンジュモ属に属する陸棲藍藻の一種、藍藻類のイシクラゲが大発生していました。これは炊き込みご飯や味噌汁、卵炒めなどにして食用になります。(右)ドクベニタケ(毒紅茸)ベニタケ科ベニタケ属。近縁種が多く肉眼での同定が難しいキノコです。傘はやや粘性があり、薄くはがれます。食べたことはないのですが、強烈な苦味辛味があるとか。
(左)イオウイロハシリグモ(硫黄色走蜘蛛)。模様や色の個体変異が激しい。網を張らないくもですが、雌は卵嚢を口にくわえて運び、孵化が近づくと草間に籠上に張った網のようなものを作ります。写真左上の葉裏のものが卵嚢でしょうか。(右)ヒラタシデムシ。鞘翅目シデムシ科 。体が平べったいシデムシで、センチコガネなどと同様、昆虫の死骸を食べる森の掃除屋さん。
クダホコリ(管埃)ドロホコリ科 クダホコリ属 。粘菌(変形菌)です。最初は淡いピンクで濃くなり、だんだん黄土色に変わっていきます。希に紫になるものもあります。子実体形成まで時間がかかるため、ピンクまたは紅色の未熟体がよく観られます。子実体の高さは約5ミリ。粘菌は拙書でもエッセイで3ページの記事を載せています。南方熊楠に関する文章も。
●私の粘菌(変形菌)図鑑。YouTubeの粘菌スライドショーのリンクもあります。粘菌好きは必見!
(左)クダホコリの中になにか昆虫がいます。ベニボタル科の虫やテントウムシの幼虫が、粘菌を食べに来ます。(右)フサヒメホウキタケ(房姫箒茸)フサヒメホウキタケ科フサヒメホウキタケ属。梅雨時から秋にかけて針葉樹の倒木上に発生。大きいものは高さ15センチぐらいになります。毒キノコではないようですが、辛味があるようで不食。
翌日は曇り空。前夜にまた豪雨がありました。買い物の前に林道倉科坂線を歩いてみました。お!ニホンカモシカ。気付かれないように草に隠れて後をつけます。マクロレンズなのでなるべく近づきたい。15mぐらいで気配とわずかな足音で振り向きました。手を振り気を引きながら近づきます。角も体も小さいので、昨年夏に生まれた子供でしょう。この後動いたら左の急斜面に飛び降りました。帰郷して13年目。マダム、シロ、ブランカとメスは代々すべて双子を生んできました。この個体はブランカの仔かまたはその娘の仔なのか。
千曲川対岸の東福寺の堤防上からの妻女山山系。川中島合戦に登場する山名が並びます。妻女山(旧赤坂山)、斎場山(旧妻女山:円墳)最初の謙信本陣。陣場平は謙信が七棟の陣城を築いたと伝わる台地。私が仲間と貝母を保護しているところです。妻女山山系は川中島合戦の舞台であり、古代科野国の聖地でした。ハイカーだけでなく歴史マニアもたくさん訪れます。来週は本格的な梅雨模様になりそうです。生物学や歴史や民俗学の研究をしようと思います。
粘菌の怪しく美しいマクロの世界にあなたを誘います。決して特別なものではなく、梅雨の雨上がりの庭や公園の倒木や切り株でも見られます。探してください。きっと虜になります。
【信州の里山】妻女山の変形菌(粘菌)その1 Japanese Myxomycetes vol.1
【信州の里山】妻女山の変形菌(粘菌)その2 Japanese Myxomycetes vol.2
【日本の里山】森の変形菌(粘菌)Japanese Myxomycetes
BGMは、私が大好きなエリック・サティです。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。