3月の初め頃に、節分草を観に行ったけれども、一面雪で何もなかったと聞いていました。それで節分草のことはすっかり忘れていたのですが、突然思い出し千曲市のサイトを見ると、なんと17日に満開になったとか。午前中は陣場平で保全作業をして、お昼をログハウスで食べてから群生地に向かいました。
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早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物は、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春の儚い命)と呼ばれます。
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種子から開花まで3年以上かかるので、林床の環境が良い状態で続かないと生育できません。昔は雑木林に入って草刈りや灌木の除伐や薪拾いをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのです。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物です。ですから、盗掘や自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です(絶滅危惧植物II類)。
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セツブンソウの種は、黄色い蜜と一緒にアリが巣に運んで発芽するアリ散布植物。カタクリなどと同じです。アリ散布植物は、セツブンソウ属やカタクリ属以外にスミレ属、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、エンレイソウ属などがあり、自然界におけるアリの働きの重要さが分かります。日本には、アリが絶滅すると絶えてしまう植物が200種以上あるのです。
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花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。一つの茎から二輪の花が咲くものを探しましたが、今回は見つかりませんでした。2018年3月の記事では紹介しています。
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節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。
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逆光に透ける純白のガクも美しい。
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赤紫、青、白、黄色の組み合わせは、なんとなく北欧とかアルプスの高山ぽいですね。清楚で可憐な感じが漂います。
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節分草は、発芽して1年目のものは葉が丸いのです。探すと必ず見つかります。左下にひとつ写っているのですが。分かるでしょうか。
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長野県の節分草の北限といわれる貴重な群生地です。
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入り口の看板。
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林道柴平樽滝線。ずっと登っていくと、あんずの里の森や鏡台山登山口のある沢山峠に続きます。和平高原や坂城にも抜けられます。途中に樽滝や縄文の名水があります。全面舗装ですが、ガードレールがほとんどないのと、落石が多いので注意が必要です。拙書ではその地図を掲載しています。
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天気予報で明日は雪と出ました。タイヤ交換をしてしまったので撮影には行けませんが、2011年3月26日の雪中の節分草を載せておきます。健気(けなげ)でなかなか風情があります。
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午前中は、妻女山陣場平の保全活動をしました。小さな女の子とお兄ちゃんを連れた家族が登ってきました。若い男性も。三連休では最も穏やかな日だったので、何人ものハイカーが登ってきました。ログハウスでは、Kさんが梅の消毒をしたそうです。紅梅もまもなく咲くでしょう。妻女山のあちこちでダンコウバイが咲き始めました。貝母も寒の戻りが終わる週末頃から一気に成長するでしょう。満開の様子は、昨年以前の4月のアーカイブを御覧ください。群生地が増えているのも分かると思います。
●妻女山陣馬平の貝母を発見してからの保全活動の歴史。今年も満開です(妻女山里山通信) :貝母を発見してからの保全活動の歴史が分かります。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
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★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物は、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春の儚い命)と呼ばれます。
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種子から開花まで3年以上かかるので、林床の環境が良い状態で続かないと生育できません。昔は雑木林に入って草刈りや灌木の除伐や薪拾いをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのです。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物です。ですから、盗掘や自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です(絶滅危惧植物II類)。
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セツブンソウの種は、黄色い蜜と一緒にアリが巣に運んで発芽するアリ散布植物。カタクリなどと同じです。アリ散布植物は、セツブンソウ属やカタクリ属以外にスミレ属、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、エンレイソウ属などがあり、自然界におけるアリの働きの重要さが分かります。日本には、アリが絶滅すると絶えてしまう植物が200種以上あるのです。
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花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。一つの茎から二輪の花が咲くものを探しましたが、今回は見つかりませんでした。2018年3月の記事では紹介しています。
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節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。
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逆光に透ける純白のガクも美しい。
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赤紫、青、白、黄色の組み合わせは、なんとなく北欧とかアルプスの高山ぽいですね。清楚で可憐な感じが漂います。
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節分草は、発芽して1年目のものは葉が丸いのです。探すと必ず見つかります。左下にひとつ写っているのですが。分かるでしょうか。
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長野県の節分草の北限といわれる貴重な群生地です。
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入り口の看板。
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林道柴平樽滝線。ずっと登っていくと、あんずの里の森や鏡台山登山口のある沢山峠に続きます。和平高原や坂城にも抜けられます。途中に樽滝や縄文の名水があります。全面舗装ですが、ガードレールがほとんどないのと、落石が多いので注意が必要です。拙書ではその地図を掲載しています。
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天気予報で明日は雪と出ました。タイヤ交換をしてしまったので撮影には行けませんが、2011年3月26日の雪中の節分草を載せておきます。健気(けなげ)でなかなか風情があります。
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午前中は、妻女山陣場平の保全活動をしました。小さな女の子とお兄ちゃんを連れた家族が登ってきました。若い男性も。三連休では最も穏やかな日だったので、何人ものハイカーが登ってきました。ログハウスでは、Kさんが梅の消毒をしたそうです。紅梅もまもなく咲くでしょう。妻女山のあちこちでダンコウバイが咲き始めました。貝母も寒の戻りが終わる週末頃から一気に成長するでしょう。満開の様子は、昨年以前の4月のアーカイブを御覧ください。群生地が増えているのも分かると思います。
●妻女山陣馬平の貝母を発見してからの保全活動の歴史。今年も満開です(妻女山里山通信) :貝母を発見してからの保全活動の歴史が分かります。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
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