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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ピーカンの土曜日。北アルプスの絶景。開花し始めた妻女山の貝母。北信州にさくら咲く(妻女山里山通信)

2022-04-08 | アウトドア・ネイチャーフォト
 土曜日は最高気温が24度。日曜日は25度か26度で夏日となる予報です。朝晩はまだ石油ファンヒーターを点けているんですけど。これが信州の春です。体が付いていきません。

 午前中は、雲ひとつ無いピーカンで妻女山展望台からの北アルプスもクッキリ。午後になると霞むので、なるべく早く行って撮影しました。北アルプス仁科三山の鹿島槍ヶ岳。右の深い谷には、長野県で初めて認定された氷河があります。またかくね里といって、古くは平家の落人が隠れ住んだ里ともいわれています。右下に民家が見えますが、この茶臼山がある西山地区は、東京の白金にある絶品スウィーツのお店があって県外からも客が押し寄せたり、隠れ家的なカフェやパン屋があったり、映画の舞台になったゲストハウスがあったり、世界的なミュージシャンが住んでいたりと、なかなか魅力ある里山なのです。

 北の白馬三山の左が白馬鑓ヶ岳、右に杓子岳。この名称は白馬岳と共に、明治になって帝国陸軍陸地測量部が地図を作るにあたり地元につけさせたものです。それ以前は、西岳とか岳山とかいって正式な名称はありませんでした。手前は茶臼山の尾根で信里小学校と農協があります。その向こうには信里の集落や山布施などの集落があります。

 白馬岳。村人が申請した山名は、代掻きの雪形から代馬岳でしたが、できあがった地図には白馬岳と記載されていました。村人たちは長い間その事実を知らなかったそうです。なので、読みは「しろうまだけ」なのですが、白馬村は「はくばむら」です。出典:「北アルプス 白馬ものがたり」石沢 清著
 手前は、地滑りで崩壊してしまった茶臼山の南峰です。手前の斜面には、茶臼山自然植物園や、レッサーパンダで有名な茶臼山動物園があります。

 北方の戸隠山脈と、戸隠富士と呼ばれる高妻山と左奥に乙妻山。蟻の塔渡りで有名な戸隠。標高は低いのですが、初心者が登る山ではありません。拙書で紹介の京ヶ倉もそうです。

 その右手に見える飯縄山(飯綱山)。拙書ではその歴史を詳しく記しています。飯縄権現を祀る飯縄神社。上杉謙信にも武田信玄にも尊崇された神社です。東京の高尾山の薬王院は飯縄権現を祀っています。標高1917mなので、低いなと覚えるのですが、伝説と夏のお花畑が魅力的な長野市民の愛する山です。

 妻女山陣場平の貝母は、この週末でかなり咲き始めると思います。貝母は古名を母栗といい、4月の茶花です。なのでお茶をやっている方にはお馴染みの山野草なのです。
「俯いて 咲く花ゆかし(床し・懐し・古式―催し:懐かしい) 貝母百合」「編笠の 内に秘めたる 貝母百合」「俯いて 知らぬ間に消ゆ 貝母哉」林風
 ブラジルにはサウージ・エ・サウダージという誰もが知る言葉があります。健康と懐かしさ。サウージは、昔あって今はないもの、英語でいうとI miss youに近いかも。このサウダージという言葉は、ブラジル人の心の根底にある感情ですが、日本人他世界の人々にもある感情で、それぞれ言葉があると思います。アカデミー賞受賞の「ドライブ・マイ・カー」の、「生き残った者は、死んだ者のことを考えつづける… ぼくや君はそうやって生きて行かなくてはいけない」「生きていくほかないの」というセリフを思い出します。祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 無常とは常ならず。時間が過ぎていくのではない、我々が過ぎ去っていくのだという言葉を思い出します。カムカムエブリバディは親子三代の物語でしたが、全く内容は違いますが、私はノーベル文学賞受賞のガブリエル・ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を思い出しました。最初の者は新天地でそれぞれに名前をつけなければならなかったのです。そして、最後の者はアリに引かれたで終わります。読破するのに三ヶ月を要したどえらい小説でした。読後、今後もう小説は読まなくていいと思ったほどです。

 陣場平中央部の日当たりの良いところの貝母。開きそうなつぼみがあちこちに散見されます。

 一見枯れ葉に見える株間も小さな実生がたくさん出ています。これが全部成長したらもっと凄い光景になるでしょう。これだけの貝母の大きな群生地は、日本でここだけです。暖かさでクマバチやハナアブが飛び始めました。たくさん受粉してくれるといいのですが。

 積石塚古墳近くの貝母もずいぶんと成長しました。今年はこの古墳の東側の斜面に球根をたくさん移植したいと考えています。

 陣場平のある場所で、オオズキンカブリタケ(大頭巾被り茸)。アミガサタケの仲間ですが、アミガサタケのように傘と軸が一体となって繋がっておらず、軸に傘が乗っかった状態です。食菌ですが、水溶性の微毒があるので、一度茹でこぼしてから調理します。ロケット燃料と同じ成分が含まれるとかで、気を付けないと調理中に具合が悪くなる人もいるそうです。醤油には合わず、バターやクリームに合うので、クリーム煮、リゾット、パスタなどに向いています。

 貝母の株の中央のつぼみが食べられています。ニホンカモシカです。他の野生動物や鳥は食べません。薬草ですが毒草でもあるのでたくさんは食べません。デトックスになるのでしょうか。

 陣場平の上の入り口。妻女山駐車場から長坂峠を経て左の林道を登るとここに着きます。鉄の看板のところから小道を奥に歩くとすぐに貝母の群生地。林道からは見えないので、初めて見た方は歓声をあげます。

 下山して温泉へ向かいます。桜も一日でかなり開きました。森のあんずが満開なので行きたいのですが。温泉から見たら山麓の上の方まで満開でした。明日であんず祭りは終了ですが、来週中頃までは充分に見頃だと思います。13、14日に傘マークがついていますが、たぶん花散らしの雨となるでしょう。松代城の桜は次の週末が満開で見頃だと思います。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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妻女山の貝母(バイモ)が開花。カンスゲとタチツボスミレに桜も開花 2022の春(妻女山里山通信)

2022-04-08 | アウトドア・ネイチャーフォト
 最高気温が16度。高気圧の東の縁を回って北風が吹いたので花冷えの一日でした。週末は気温が上がるので開花は土曜日かなと思いましたが、なんと開花しました。

 開花したのは、上の入り口から入って左側にある西向きの緩斜面。毎年ここの貝母が真っ先に芽生え開花します。下から見上げると和名の編笠百合の意味が分かると思います。古名は母栗といい、万葉集にも一首歌われています。また、満開の頃に紹介します。

 10時頃に観た時は、一輪だけ咲いていたのですが、昼頃には次々と咲きだしました。

 基本は、花びらが6枚、雄しべが6本に雌しべが中央に1本ですが、探すと花びらが8枚、雄しべが8本なんていう花も見つかるかも知れません。

 貝母の花は、下の方から咲き始めます。

 陣場平中央の貝母も週末には咲き始めるでしょう。

 太いクヌギの林床にも貝母の群生地があります。種がこぼれる頃の東風(こち)で西へ飛ばされて増えたものです。

 林内の貝母は、日陰になる時間もあるので、中央部より開花が遅れます。その分長い間花を愛でることができます。満開の見頃は、その後の気温もありますが、15日から25日頃と思われます。

 女性二人が来訪したので、ヤマエンゴサクの群生地を紹介しました。まだ咲いていない株も多いので、これからしばらく楽しめると思います。

 シダ植物のイノデ(猪の手)の新芽。ゼンマイではありません。不食。シダ類は、ワラビ(蕨)、ゼンマイ(薇)などが食べられますが、いずれも発癌物質を含むので、充分なアク抜きが必要です。

 カンスゲ(寒菅)カヤツリグサ科スゲ属。妻女山では、林道ののり面や日当たりの良い尾根筋で見られます。

 妻女山展望台の下にタチツボスミレ(立坪菫)が咲いていました。葉はハート型ですが、長葉も見られます。

 茎には毛が生えています。もっとも普通に見られるスミレです。妻女山では、探せば斑入り(赤)のスミレも見られます。スミレ属も、アリ散布植物です。ケマン属、オドリコソウ属、カタクリ属など200種におよびます。アリ散布植物とは、種子散布をアリに依存する植物で、種子表面にエライオソーム(elaiosome)とよばれる誘因物質をもち、アリは表面の糖分を舐め取り、残りを捨てることで種まきになるのです。

 妻女山公園のソメイヨシノが咲き始めました。森のあんずは週末には満開になるでしょう。貝母とソメイヨシノは、いつも同じ頃に咲き始めます。

 妻女山展望台からの眺め。赤坂橋の奥に武田信玄が本陣とした八幡原(はちまんぱら)が見えます。その左向こうに拙書で紹介の上杉謙信の髻山(もとどりやま)。カタクリとセリバオウレン、シロバナオドリコソウの群生地があります。ずっと右に雪が残る高社山。拙書でも載せていますが、GW頃は様々な花が咲き乱れます。手前の千曲川の堤防では菜の花(セイヨウアブラナ)が咲き始めました。4月17日は長野マラソンですが、桃の花が咲いているでしょう。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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