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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

晩秋の妻女山へ。キノコと狂い咲きのヤマツツジ。川島芳子の逸話。亡き友人を偲ぶ(妻女山里山通信)

2015-11-18 | アウトドア・ネイチャーフォト

 今年の晩秋は天気がぐずつき気味で気温は高め。年内はこのまま暖冬になりそうですが、2013年から14年がそうだったように、また早春のドカ雪が来るのではと戦々恐々としています。そんな雨上がりの先日、妻女山奥へ撮影トレッキングに行きました。こんな日なのに東京からハイキングに来た家族がいたのには驚きました。大河ドラマ『真田丸』が来年から始まるためか、週末になると県内外から観光客やハイカーがたくさん訪れます。
 鞍骨城跡まで行く人も少なくないのですが、天城山(てしろやま)周辺は、尾根が十字に出ているため標識があるにも関わらず非常に迷う人が多いので、できれば下記で紹介の『信州の里山トレッキング 東北信編』をお買い求めいただいて、地図をコピーして携帯してください。それとコンパス。コンパスで北を調べて、地図の上を北に向けると、正しい方向や現在地が分かります。市販の地形図には登山道は必ずしも載っていません。 略図やイラストでは正確な距離や方向が分かりません。

 妻女山松代招魂社奥の駐車場に停めて、右の林道を登ります(左)。このカットは、二つ目のカーブから下を見たところ。この間で私は仲間と椎茸の原木栽培をしています。四駆ですから上まで行けないことはないのですが、雨後に枯れ葉が積もるともの凄く滑るのです。なまじABSが効くとズルズル滑って山肌に激突。先日それをやってバンパーを凹ましたのは私です。熱湯をかけて直しましたが。
 10分ほどで長坂峠(中)。正面は斎場山(旧妻女山)。山頂は円墳で、第四次川中島の戦いの時に、上杉謙信が最初に本陣としたと伝わるところです。東京から家族が訪れていました。やはり妻女山の展望台だけでなくここまで訪れて欲しいですね。できれば陣馬平も。
 突然轟音がしたので見上げると、ジェット機が(右)。かなり低空飛行です。まあ長野市も日米地位協定で決めさせられた米軍の「横田空域」の中なので、よく米軍機や自衛隊機が飛びます。いずれオスプレイも飯山、戸隠の訓練空域へ行くために飛ぶ可能性があります。

 その長坂峠からの北の展望。毎年、シルエットになった紅葉が着物の柄みたいだと思います。中央に見える山のシルエットは、拙書でも紹介している飯縄山。長野市民の山です。手前に善光寺平が広がっているのですが、この日は曇りなので朝霧が昼になっても消えずに漂っていました。一番手前に横に曲がって見える線は千曲川です。川中島の霧は、夜に川で発生し川中島を埋め尽くします。もっとも酷い時は、10m先さへ見えなくなり、フォグランプも効かず非常に危険です。

 菱形基線測点のある陣馬平(左)。第四次川中島合戦の際に、上杉謙信が七棟の陣小屋を建てたという平地です。上の長坂峠から10分足らず。林道から外れますが標識は今のところありません。拙書の地形図では行き方を説明しています。
 その陣馬平の中央にあるクマノミズキの実(中)。森のサンゴと私は呼んでいます。小鳥の重要な餌にもなります。今年は里の柿も豊作でしたが、山のシナノガキ(信濃柿:豆柿)も豊作だったようです(右)。ぽんぽこたぬきもこの冬は一安心でしょう。6月に青い実を水に浸けておくと柿渋ができます。

 長野森林組合の人達が獣害防止のために除伐した森(左)。ずいぶん明るくなりました。撹乱したことで森が活性化します。松枯れの赤松も伐採しています。
 先日倒れた赤松(中)。高さ1m位のところで折れ、掛かり木になっています。この処理は非常に危険です。グラップルで保持して伐採して引きずり下ろして玉切りが一番安全ですが、グラップルがないと、結構難儀です。まだ生木なので数トンの重さがあります。林道を外れて森の中へ(右)。キノコを探して倒木を当たってみます。

 なんと季節外れのヤマツツジ(山躑躅)が咲いていました。通常は4~6月が開花期ですから狂い咲きです(左)。暖冬の影響でしょう。僅かに残ったコムラサキ(小紫)の実(中)。有毒ではないので食べられます。熟しきって柔らかくなったものは、はんなりとした甘みがあります。いや実が少ないからムラサキシキブ(紫式部)でしょうか。この山には両方あるので迷います。
 ノブドウ(野葡萄)の実(右)。 果実は、ブドウタマバエやブドウガリバチの幼虫の寄生(虫えい・ゴール)により虫こぶ状になり、異常に脹らみ、白緑色、淡紫色、瑠璃色、赤紫色などに変色、形も大小不揃いになります。美味しそうですが、虫が入っているし、不味くて食べられないそうです。ノブドウ酒は、糖尿病、肝臓病、腰痛・関節痛などに効き目があるとか。中国では蛇葡萄といい、漢方薬。

 ムラサキシメジのシロへ(左)。6本ぐらい隠れているのですが分かりますか。現地で実際に見るとキノコ目のない人にはまず分かりません。踏んでしまうでしょう。枯葉をどけたところ(中)。フランスではピエブルーという高級キノコ。和風にお澄ましは絶品ですが、バターやクリームソースとも相性抜群。20本ほど採りました。
 深い谷でナラタケの株を見つけました(右)。すこし古いですが、この程度なら全く問題ありません。4株ほど採りました。塩湯に浸けてゴミを取り、一回茹でこぼして除染します。その後ざるで湯を切ってジップロックに詰めて冷凍しました。いずれ妻女山里山デザイン・プロジェクトのバーベキューで手打ちキノコうどんになる予定です。

 小枝に白い綿のようなものがびっしり付いています(左)。カイガラムシの一種でしょうね。園芸では害虫ですが、安易に農薬を使わないことです。必ず自分に還って来ます。切り落として焼くことです。ネオニコに限らず日本人は安易に農薬や殺虫剤を使いすぎます。中も何かの卵でしょう。小枝を抱き込むように付いています。
 落葉松の倒れた穴を何年もかけてイノシシが掘ったヌタ場(泥浴び場)(右)。一辺4~5mある大きなものです。前夜浴びた足跡がありました。周囲の幹には、体を擦り付けた泥がたくさん残っています。2年前に140キロのオスが罠にかかったことがあります。

 昼は友人のログハウスへ。大事な山仲間の彼が急逝したのは2年前の今頃でした。妻女山里山デザイン・プロジェクトの活動では、いつも重機を出してくれて非常に助かりました。ここまでの林道も本来なら長野市と千曲市が整備をしないといけないのですが、彼がやっていました。彼が亡くなったことで林道は荒れ放題です。ヘビースモーカーでコンビニの弁当を食べていたので危ないと忠告していたのですが。猛毒のラウンドアップも使っていたようです。食べて応援なんかしていたら、地井武男さんや川島なお美さん、阿藤快さんの様に必ずなります。質量でいうとセシウムは青酸カリの2000倍の毒性があります。少しぐらい平気だろうなんて言語道断。
 ログハウスから見る天城山方面(中)。山頂手前の清野古墳の尾根が見えています。落葉松の黄葉が最盛期。これから木枯らしが吹く度に落葉松の葉の雨が降り注ぎます。ログハウス脇にある堂平大塚古墳(右)。古墳時代後期のもので横穴式なので何度も埋葬ができます。彼の生家がここにあった頃は、野菜の貯蔵庫だったそうです。夏でもひんやりしています。

 ログハウスから西方の眺め。彼が幼少の頃から毎日見ていた、最も愛する風景です。この日は生憎北アルプスが見えませんでしたが、晴れていれば爺ヶ岳や鹿島槍ヶ岳の秀麗な姿が見られます。そんな風景を眺めながら、薪ストーブで暖まりながら話をするのが楽しみでした。ここは彼が高2まで暮らした生家があったのですが、その前は乃木希典将軍に使えた山岸軍曹が独居していました。その話は父から聞いて知っていましたが、戦後は男装の麗人、川島芳子が隠れ住みたいと申し出た曰く付きの場所なんです。実際住むことはなかったのですが、彼からその話を聞いた時は本当に驚きました。

 帰りに立ち寄った妻女山松代招魂社。戊辰戦争以降の戦没者を祀る神社です。川中島合戦とは無関係。後ろの小さな本殿の背後に、戊辰戦争で亡くなった人の石碑が並んでいます。夏はこの拝殿の屋根にたくさんのオオムラサキが集まります。どうやら暖冬の様ですが、こういう年に限って早春にドカ雪が降るのです。2014年の豪雪がまさにそれでした。この冬はそれに似ています。豪雪のあった前年の2013年の冬にもヤマツツジが狂い咲きしていました。さあどうなるのでしょう。備えだけはしておきましょう。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。その山の名前の由来や歴史をまず書いているので、歴史マニアにもお勧めします。  本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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