アレから二年

2007-11-11 18:45:05 | Weblog
アレから二年が経とうとしている
家族や親戚の誰しも、おそらくは医師もが年は越せないのだろうと思ったはずなのだが母の生命力はあの世からのお誘いを辞退した。
母は83回目の秋を向かえ、酸素マスクと点滴のチューブ・尿パックにワイヤレスの心電モニターを装備し、僅かに目を動かすぐらいで言葉を発する事はおろか僅かな身じろぎさえもできずベッドに横たわっている。
誰の目にも体力の限界が近いことは明白ではあるが、その事を認めたくない自分達がどこかにいる。

「今日は日が良いから」
と言って隣の家のオバさんが見舞いに行きたいと我が家を訪れた。
父と三人で病院へ行くとどこかで見たような人が家族らしい人たちと歩いてくる。
私「S平さん?」
S「おお!?久しぶり!!」
同級生であった。
私「どなたかお見舞いですか?私は母の見舞いなんですが・・・」
S「家もお袋がね・・・でも帰り際には手を振ってくれるんですよ。」
私「それは張り合いがありますね。来週は同級会だから出席できるようだったらマタ」

病室には姉が来ていた。
A「Y子さんAです。判りますか」
隣のオバさんが声をかけると大きく目を見開き、息も荒くなって何か話したげなような素振りをみせた。
家族以外の見舞いというのが刺激になったのかいつになく反応が良い。
隣の部屋にも近所のIさんが入院しているので父とオバさんはそちらにも顔を出してきた。
「もう一度家に帰れそうな気がするんだけどねぇ」
とIさんが言ったそうで
「早く帰れるようになると良いねぇ」
と励ましてきたという。

夕食には隣のオバさん手作りのコンニャクを煮物にして頂いた。
出来合いのモノよりちょっと柔らかめだったが、それがかえってオバさんの優しさの表れのように感じた。
コメント (2)
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