普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

小中学生の全国学力調査

2007-04-11 06:45:29 | 教育

昨夜、NHKの「視点・論点」で「3年B組金八先生」の作者の小山内美江子さんが今回の小中学生対象の全国学力調査に関連して今の教育問題について話していた。

その論点は、
1.現在、一部の学校の荒れているのは、詰め込み主義教育から来る生徒のストレスの増大だ。

2.折角ゆとり教育を導入したのに、またもとの詰め込み主義に戻ろうとしている。

3.犬山市は市費を投じて、30人学級を導入して成果を上げたのに、犬山だけそうして成果を上げるのは不公平だと四方から圧力がかかった。

4.小中学生対象の全国学力調査も「テストによって小学生の時から序列化」により詰め込み主義教育に戻るものだ。
小中学生対象の全国学力調査(2月16日 ashicom)

で、私の聞き落としや、聞き間違いもあると思うが、ほぼこの様なことだったと思う。

さすがに金八先生の作者だけあって、教育問題について良く考えているようだ。

然し、その各論になると、恐らくはブログの読者の多くもそうだと思うが、彼女は問題の一部しか突いていないところもあるようだ。

例えば
1.学校の荒れは、彼女の言う詰め込み教育より、日本古来の美風を無視した教育、権利重視、義務と責任軽視と言った教育、拝金主義など多くの問題とその積み重ねからくる社会劣化の影響の方が遥かに問題だ。

2.ゆとり教育についての発言は、日教組の文部省との教師の労働条件向上へ向けた長い戦いで得た権利だ、と考える教師達の教育義務の放棄と言う現実を無視している。

詰まり土曜日を補習授業に当てている公立高校の教師のように、教育のプロである公立小、中学校の教師が土曜日のゆとり教育に参加しているかを見れば判ることだ。

然し3.の犬山市の問題、4.の学力テストの問題は良く考える必要があるようだ。

<<教育委員会の問題>>
読売新聞が行った世論調査によれば、
 
 (4月10日 読売新聞)

読売新聞社は統一地方選の前半戦を受けて、47都道府県知事(新知事を含む)を対象にアンケートを実施した。
 教育委員会に対する国の権限強化については、44人が「反対」または「どちらかと言えば反対」と答えた。賛成の回答はなかった。

 一方
 都道府県教委から市町村教委に人事権を移譲する考え方については、反対が17人で、賛成は8人だった。
だそうだ。

これは犬山市のように、地方の独立性を発揮したいとの願望だろうが、いじめ問題に対する教育委員会の反応に示すように、国民の恐らく大多数の人が現在の教育委員会のあり方に不満を持っていると思う。

そして、犬山市の様な(もし非常に大きな成果を上げているとして)他の県、市町村の成功例に学ぼうとせず、日教組対策に明け暮れた時代から一歩も進もうとしない、教育委員会が多いのではないのではないだろうか。

都道府県知事は国の権限強化の反対の前に、その配下の教育委員会のあり方の見直しに着手すべきではないだろうか。

成功を納めた教育委員会を持った県市村民と、それを学ぼうとしない保守的な委員会を抱えた人達、日本国民として、それこそ彼女が言うように不公平だと思う。

まして彼女の言うように成功した市に対して不公平だと圧力をかけるなど論外だ。

 アンケートに見るように、国に対しては介入を拒否する県知事が、市町村教委に人事権を移譲するのは反対など、何を考えているのだろうか。

今回の知事選で見るように、教育など殆ど争点になっていない。

無能の教育委員会に手を着けようともしない県知事を選んだのは県民の自己責任だと言うのも酷な気がする。

各県知事も良くこのことを考えて貰いたいものだ。
少なくともいじめ問題で校長が会見で謝っている時に、教育委員長も一緒に謝るのを見たいものだ。

<<小中学生対象の全国学力調査>>
私は学校における試験の目的は
1.生徒の理解度を見る。
普段の授業では、良く発表する子も案外判ってない所もあるかも知れないし、発表が不得手な子もいる。

2.生徒が判らないところを補完授業をする。

3.それで全体の学力を上げる。
と言う分かりきったことだと思う。

それが受験産業から持ち込まれた偏差値の考え方に巻き込まれ、それを生徒達の受験失敗をさせぬように、導入したのがいつのまにか生徒の格付けと取られてしまったのだと思う。

だから試験そのものは教育の手法として、欠かせないものだ。

つまり、試験を生徒の格付けの手段にするかしないかは、それこそ教育委員会を含む、学校関係者と、父兄、生徒の考え方にかかっている。

全国一斉テストも全く同じで、学校関係者が井の中の蛙にならぬため、他校との比較を知るのに良い参考資料になると思う。

そのテスト結果を見て、学校の格付けや序列化を図るか、例え一斉テストで上位の成績を納めずとも、そこそこの成績までは達成し、その余力を他の課外活動に向けるとか、情操教育に向けるとかは、教育委員会の裁量の範囲で、そこでいくらでも独自性を発揮出来ると思う。

テストによって小学生の時から序列化」などを聞くと、「手をつないで一緒にゴールイン」を連想するのは私だけだろうか。

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