普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

親方日の丸の日航の再建

2009-10-30 14:14:00 | 企業経営

 前から度々問題になっていた、日航再建支援について読売と朝日が社説を出していますが、その内読売の社説を引用して問題点を考えて見たいと思います。
今度こそ甘えは許されない日航
(読売社説より)
 
経営難に陥っている日本航空が29日、「企業再生支援機構」に支援を要請した。
 この事態を受け、政府は国土交通省を中心とした対策本部を設け、公的資金の投入などで再建を全面支援する。
 日本の航空輸送の6割を担う日航が経営破綻すれば、国民生活や経済活動にも大きな影響が出る。公的資金を含めた国の支援はやむを得ないだろう。
 だが、日航はこれまで何回も国の支援を受けながら、親方日の丸的な甘い体質から脱却できなかった。二度とこうした事態を招かないよう、抜本的な経営改革に取り組まなければならない。
 国交省の特命チームは、7000億円を超す金融支援と、抜本的なリストラを進めることで、再建は可能と判断している。
 このため日航は今後、9000人の人員削減や、内外45路線の廃止・減便、ホテルを運営する子会社の売却などを進める方針だ。
 3300億円の積み立て不足がある企業年金の削減も、再建に向けた大きな課題となる。
 日航に公的資金が投入されれば、その一部は年金支給の原資にも回る。これでは、国民はとても納得しないだろう。政府は強制的に年金を削減する措置も検討しているが、それを待たず、労働組合やOBは削減に応じるべきだ。
 日航には、八つの労組がある。複雑な労使関係が経営改革の足かせ になっているのは明らかだ。この際、労組の整理・統合に踏み切る必要がある。現経営陣の刷新も避けられまい。

[私の意見]
・民主党の大企業支援への政策転換?

 民主党は野党時代には大手企業やメインバンク中心の支援策に反対して来ました。
 その現れが中小企業対策を中心とする経済政策です。
 (
「民主党政策集INDEX2009」の経済産業の項目19の内10項目は中小企業対策です。 ) 
 この点を自民党やマスコミから突かれ、慌てて子ども手当て、暫定税率の廃止、高速道路無料化、高校の無料化、農村の戸別保障などが経済政策だと主張を変えています。
 然しそれはそれとして、読売や朝日が言うように鳩山政権の国民の生活に大きな影響を与える大企業の日航の再建対策は、例え自民党政権の真似であっても避けられないと思いますし、前原さんの決断は正しいといと思います。

・GMとよく似た日航の問題
 この種の報道を見ていて直ぐに連想するのは米国のGMの再建問題です。
 GMの破綻の原因をネットで調べると、大企業の傲慢、自己改革による競争力の強化ではなく政治力依存、強力な労働組合の存在、頻繁なストライキ、他企業に比べて圧倒的に高い賃金、手厚い年金制度などの言葉が並びます。
 企業の低い改革意欲や高コスト体質など、GMの抱えている問題点の殆どそのまま日航   
に当てはまるようです。 (その他にGMには莫大な退職者への医療費の支払い、レイオフされた人にも同一賃金などが経営圧迫の原因となったようです。)
 一方航空会社全体の経営状態が悪いかと言えば、北九州市に本社を置くスターフライヤーは、日航、全日空とその子会社との競争の中で、昨年からの景気低迷で旅客需要の落ち込み、新型インフルエンザの影響する一方で、原油価格の高騰が一段落して燃料費が下がったことや、従業員削減などのコストカットで最終利益を確保した。22年3月期は売上高170億円、最終利益1億8千万円を見込んでいる。 (産経新聞
)そうです。
 どうして遥かに大きく競争力の強い日航が赤字が続くのでしょうか?

・日本の製造業と労働組合の歴史 
 戦後の日本では共産党系から民主社会党系までの労働組合が設立されて労働者の権利を主張して、何度もストライキをして来ました。
 当然それを抱える企業もその影響を受けその対策に頭を悩ましてきました。
 私が共産党系の労働組合を抱える会社の管理者から直接聞いたのですが、従業員に残業を指示するときにも組合の承認を得なければなら無かったそうです。(社保庁の自治労の話しと良く似ていますね。)
 結局は私が予想していたように、その企業は遂には他社と吸収合併されて消えて仕舞いました。
 業界全体としても、企業間の競争の中で、労働組合の強い企業の競争力が落ちる傾向が強くなり、企業は労働組合対策に力を入れてきまし、組合員も企業が潰れたら元もこもないと気付き、労働者の権利の主張は程々にして、企業と協力するようになりました。  
 企業は製造業を中心に、企業への忠誠心に基づく更に自主管理活動を進めて、世界で有数な生産性の高い企業となりました。 (最近では非正規社員の増加や成果主義の経営でこの傾向も薄れている企業もあるようですが。)
 国営企業の国鉄も民営化でJRと変わり、かってのスト連発の鉄道とは様変わりしています。
 左翼の人達はこれらの組合を「御用組合」と言っていますが、その実態はどうであれ、今の製造業やJRなどが今日まで頑張っているのはその「御用組合」のお蔭です。 

・親方日の丸の日航経営者と労働組合
 最近の日本でストライキと言えば日航と全日空と決まっています。
 その原因は今まで書いたことで明らかで今更書くまでもないと思いますが、簡単に纏めてみました。
  日航は日本唯一の国策航空会社として設立、さらに全日空が出来ましたが、二社の寡占状態が続いています。
 それで何となくお互いに棲み分けができ、合理化の企業努力がおろそかになっていたと思います。
 そしてその足を引っ張るのは自分たちの権利ばかり主張する労働組合です。
 日航や全日空の組合は合理化や業務の改善などは、その労働条件を悪くするものだと考えています。 (社保庁の自治労がそれです。)
 そしてそれで何となく妥協してきたのが国策会社の親方日の丸気分の抜けない日航の経営者です。 (社保庁の幹部もそうでした。)
 そして普通の民間企業なら当然やっていた合理化を遅らせ、国の介入を招き9,000人の削減と言う、大きな出血を強いられるのだと思います。
 日航は経営者、従業員、労働組合ともまず自分たちの親方日の丸意識を捨て、日航は全日空だけでなく、世界の航空会社との厳しい競争を強いられている現実を見据え、その為に何をすべきか考えるべきだと思います

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