このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
大学の夏休みで帰省し、朝遅く起きた私は居間のソファに一人座っていた父が青い顔で汗を流しているのに気付いて驚いた。
さっき「おかえりモネ」を観てね。父は言った。
東京へ出たヒロインを訪ねてきていた幼なじみの男の子と、彼女をデートに迎えに来たコミュ障気味の若い医師が鉢合わせしてしまい、男の子が紹介を拒んで帰って行ったのだそう。
それより前の回にはヒロインの父親が、その男の子の前で娘の彼氏は医者だと自慢げに話すエピソードもあったのだという。バカな父親だな。父は吐き捨てるように付け加えた。
父はあまり自分のことを話さないが、よく言っていたのは、若いころ、自分が何も持っていないと気づくこと、気づかされるのは本当に苦しいことだし、時として腹の中が燃えるような思いがする。
それを乗り越えるには、自分は自分でいいのだ、と思えるようになるか、もう一つは、あなたはあなたでいいのだ、と言ってくれる女性に出会うかのどちらかだ。ただし後者は天文学的な確率だけれどね、と。
父はポケットからハンカチを取り出し、額一面の汗を何度もぬぐった。そのハンカチは、私が父の日に贈ったものだった。
大丈夫だよ、パパ、ヒロインは気仙沼出身って設定なのでしょ?だったら、私と一緒で、なにが一番大切なのか、きっとわかっているはず。そしてそれをパパも、お兄ちゃんも、持っていると私は思うよ。だから安心して。