ここしばらく、収益物件、いわゆるアパートの入退居が続いていて、その改装工事に追われている。
収益物件・賃貸物件の所有に否定的なかたも一定数いる。
それはおもに管理の煩雑さに対する拒否反応で、僕は宅建業者だからそこを乗り越えているが、確かに素人さんにはかなり面倒だ。
退居後の傷み具合によって工事業者を手配し、ある程度、工程管理も行わなければならない。
ハウスクリーニング、クロスの貼り替え、畳の表替えに始まって、照明器具の点灯確認、入口ドアの鍵交換、網戸の張替え、果ては玄関チャイムの乾電池交換やユニットバスのシャワカーテンの買い替えなどまである。
もちろん、管理業者に有料で丸投げすることも可能だけれど、年間に支払う管理料と利回りとを見比べることが必要だ。
自己所有の物件もそうだが、建物は手をかけないとすぐに傷んでくる。
共用部分や駐車スペースの定期的な清掃も欠かすことができない。
そうしないと退居の際の不法投棄や放置自転車の山がすぐに築かれて行く。
それでもなお、賃貸物件は人生において有益だ。
母方の祖母の自宅を建て替える際に、建築士で工務店を経営していた父はその隣に小さな貸家を建てた。
たぶん本体工事のついでで、余った材料でのことだろう。そんな時代だった。
晩年の祖母は遺族年金と母の仕送りと、その貸家から上がる家賃で不自由なく暮らすことができた。
この件に関して言えば、父はいい婿殿だったと思っている。