波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

迷子

2011年12月14日 | 日記・エッセイ・コラム

Pc100587_2    祖父の家まで歩いて40分ぐらい。行くのは正月や祭のハレの日だから、前の晩から興奮していた。小遣いだってもらえるのだ。家のそばの川を越えて行く。子ども心に非日常の世界に足を踏み入れる感覚だ。住宅街からB0103470_204618721 街に向かうだけだが、今でいう「ヤバイ」感じ。
 
 その理由は、「17丁目オール商店街」にあった。道のりの三分の一はあっただろう。TVで上野のアメ横の様子を見て、同じ匂いだと直感した。エネルギッシュというか、猥雑というか、人間くさいというか。4条付近は繁華街で、食堂や八百屋や魚屋、玩具屋がぎっしりと詰まりそれは活気があった。退屈する暇がなかった。祭りの露天と同じなのだ。そこから遠い商店街の端の、何だか怪しげな飲み屋の連なりは、子どもにはつまらないが「なるきちおんじゅ」と書かれた看板の店からは、何とも旨そうな匂いがいつも漂っていた。

Pc100601    この商店街、 終戦後の旭川の露店が解散命令を受けてできたものとHPに。それぞれが活路を求め、最後に残った者たちで線路脇の下水を借受け、板を渡して通路とし、接続する国鉄用地を譲り受け1人3Pc100608_2 坪の割合で、タル木で堀立式店舗をつくったとある。立男が成吉恩汗という見たこともない匂いだけの料理で夢ふくらませていた頃が草創期だったのだ。

  画像は昭和の思い出ミュージアム。立男には17丁目オール商店街を一気に思い出させる人工空間だ。だが、人影の無い露地で一人迷子になってしまったような感覚は本物だ…懐かしくて、不安な。「今まで何してたの、もう行かないと間に合わなくなるよ」と手を引っ張ってくれる人をずうっと待っていたのかもしれない…そんなことを考える今の立男だ。こんなに歩いたのにまだ着かないの?…まだまだ遠いの?…えーっ、橋を渡るともう帰れないって!

2011ギャラリーに「昭和」の画像を少々。右袖からどうぞ 

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