goo blog サービス終了のお知らせ 

波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

言葉のケイコ【その八拾】

2021年04月06日 | 【保管】言葉のケイコ

 

アザラシのいる風景


「水族館に行こう」とともちゃんに言ったら、案外あっさりとOKがもらえた。もう高校生だから渋られるだろうと思っていたけれど、ともちゃんは相変わらずいい子だなぁ。かくして好天に恵まれた3月最終日、地元の小さな水族館へとドライブ。お目当ては、生まれて間もないゴマフアザラシの赤ちゃ
ん。ケイコはゴマフアザラシが大好き。ケイコの生まれ故郷の動物園は、今でこそ日本一の動物園と言われるほどの施設になったが、ケイコの幼少期は古くて寂れていてなかなかの趣だった。あの頃はゴマフアザラシのプールの前がケイコの指定席。いつまでだって見ていられた。変化もなくひたすらに狭いプールを往復して泳ぐゴマフアザラシを眺めるのが好きだった。もちろん、円柱水槽を泳ぐ姿を見せる展示方法は素晴らしい。初めて見たときは猛烈に感動した。けれど、ケイコはあの小さな頃大好きだった、古い動物園を忘れることはない。三本足のシロクマや、糞を投げつけてくるゴリラも、ケイコの記憶から色あせていくことはない。

ともちゃんとゴマフアザラシの赤ちゃんを見て、「可愛いね」と言い合える幸せ。遠くには行けなくても、私の心を支える風景は確かに存在する。夏は、生まれ故郷の動物園に行けるといいなぁ。そんな話を故郷の母とできることもまた、ケイコを支えてくれる。そのための我慢だと思えば、ステイホーム
にも意味はあるのだ、きっと。


【波風氏談】コロナで外出する時の気持ちが大きく変わった。マスク忘れ一旦しめた鍵を開けて家に戻ることもしばしばある。当地では昨年秋から罹患が止まっているが、その分「自分が今年初」になりたくない気持ちが強い。そんな今の、自由な空気を渇望する気持ち、わかるなあ。

コメント    この記事についてブログを書く
« 3月の読書 | トップ | 『大衆』という言葉を使う人 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

【保管】言葉のケイコ」カテゴリの最新記事