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電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

平岩弓枝『道長の冒険~平安妖異伝』を読む

2006年10月11日 20時00分03秒 | -平岩弓技
東京駅ブックガーデンで購入し、ホテルで読んだ本です。

冬と暗黒の国・根の国に捕えられた少年楽士・真比呂を救うため、トラネコの化身である寅麿とともに、藤原道長が旅をします。この物語の下敷きは、日本霊異記か聊斎志異か。いやいや、実はモーツァルトの歌劇「魔笛」ですね。
藤原道長が王子タミーノ、不思議な力を持つ笛「小水龍」が魔笛に相当し、トラネコ寅麿がパパゲーノ、白猫の紅眼児がパパゲーナ、真比呂の姉の無明王がパミーナ、復讐を誓う夜の女神は、もちろん夜の女王という具合です。
ただし、道長は既婚者で二人の妻を持っており、最後の最後に道長を慕う心を持った無明王と紅眼児の犠牲によって邪神は滅びます。

『平安妖異伝』という題名の前作があるようですが、まだ見つけておりませんので、真比呂クンってだれだ?と少々はてなの部分もあります。『御宿かわせみ』シリーズの著者の作品とは思えないご都合主義の展開はまるでおとぎ話のようですが、実は中公文庫の『南総里見八犬伝』や学研M文庫の『椿説弓張月』のような自由な縮訳古典ものを持っている平岩弓枝さんの世界の一つなのでしょう。

写真は黄泉の国の入り口じゃなくて、甥の結婚式の会場となったホテル。最近の若い人は、ずいぶん贅沢なのですね。正直、うらやましさ半分、もったいなさ半分。
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