20歳で無実の罪に問われ、裁判も受けられないままに14年間も獄中生活を送ったエドモン・ダンテスは、シャトー・ディフを逃れてスパダの財宝を手にし、投獄の真相を確かめ、恩人モレル氏に報いたとき、すでに34歳になっていたことになります。
金の力で刺客を放ち、かたきと狙う相手を倒すだけでは復讐にならないと考えたのでしょうか、ダンテスはぷっつりと消息を絶ちます。そして物語は、モルセール子爵ことフェルナンとメルセデスとの間の子であるアルベールの友人フランツが、モンテ・クリスト島で不思議な体験をすることから再開されます。ここでは、モンテ・クリスト伯爵はすでに立派な貴族として登場し、美しいギリシャ美人(エデ)の存在も明かされます。
アルベールが二十歳くらいの年齢とすると、メルセデスはだいたい四十歳くらいの年齢でしょうし、エドモン・ダンテスについては、本文中に「伯爵は、もはや若いとは言えなかった。少なくとも四十歳にはなっていた。」との記述があります。すると、少なくとも7~8年のブランクがあったことになります。復讐を誓い、剣もピストルも免許皆伝のレベルとなるまで練習し、ヨットの乗組員だけでなくイタリアの山賊や地中海の海賊をも信服させ、東洋を遍歴してトルコで奴隷を救い、化学や薬学の造詣を深めるための時間としては、充分な時間と言えるのでしょうか。たぶん、血のにじむような困難と冒険の日々があったことでしょう。しかし、その苦労は語られず、ただ伯爵の異常に青白い顔色と辛らつな言辞で、なにか辛い過去があったことを周囲の人に想像させるだけです。
ローマの謝肉祭で、アルベールがルイジ・ヴァンパの手に落ち、モンテ・クリスト伯爵の手により救われる一連の出来事は、ただパリで息子の命の恩人として紹介されるただそのためだけのエピソードだったのでしょうか。それにしては、なんとも波乱に満ちた豊かな物語です。
写真は仙台文学館の入り口。
金の力で刺客を放ち、かたきと狙う相手を倒すだけでは復讐にならないと考えたのでしょうか、ダンテスはぷっつりと消息を絶ちます。そして物語は、モルセール子爵ことフェルナンとメルセデスとの間の子であるアルベールの友人フランツが、モンテ・クリスト島で不思議な体験をすることから再開されます。ここでは、モンテ・クリスト伯爵はすでに立派な貴族として登場し、美しいギリシャ美人(エデ)の存在も明かされます。
アルベールが二十歳くらいの年齢とすると、メルセデスはだいたい四十歳くらいの年齢でしょうし、エドモン・ダンテスについては、本文中に「伯爵は、もはや若いとは言えなかった。少なくとも四十歳にはなっていた。」との記述があります。すると、少なくとも7~8年のブランクがあったことになります。復讐を誓い、剣もピストルも免許皆伝のレベルとなるまで練習し、ヨットの乗組員だけでなくイタリアの山賊や地中海の海賊をも信服させ、東洋を遍歴してトルコで奴隷を救い、化学や薬学の造詣を深めるための時間としては、充分な時間と言えるのでしょうか。たぶん、血のにじむような困難と冒険の日々があったことでしょう。しかし、その苦労は語られず、ただ伯爵の異常に青白い顔色と辛らつな言辞で、なにか辛い過去があったことを周囲の人に想像させるだけです。
ローマの謝肉祭で、アルベールがルイジ・ヴァンパの手に落ち、モンテ・クリスト伯爵の手により救われる一連の出来事は、ただパリで息子の命の恩人として紹介されるただそのためだけのエピソードだったのでしょうか。それにしては、なんとも波乱に満ちた豊かな物語です。
写真は仙台文学館の入り口。