電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ビゼー「アルルの女」組曲を聴く

2007年02月14日 06時48分43秒 | -オーケストラ
図書館で借りて来た『トップランナー』に、サキソフォン奏者の須川展也さんが出ており、たいへん興味深く読みました。
実は、だいぶ前に須川さんのリサイタルを聴く機会があり、サキソフォンの素晴らしい音色に、うっとりとなったことがあります。サキソフォンといえば、ジャズを思い出すくらいですが、もともとはクラシックの楽器なのですね。ビゼーの「アルルの女」(*)に出てくるサキソフォンの話に、思わず同曲のCDを取り出して・・・。見事にミイラ取りがミイラになってしまいました。

写真右下のCDは、先日の山形交響楽団の1月定期演奏会で入手した飯森範親指揮の山響ライブCDで、R.シュトラウスの「イタリア」とビゼー「アルルの女」第1・第2組曲カプリングされたもの。シュトラウスの「イタリア」も珍しい曲目と言ってよいかと思いますが、「アルルの女」がなんともフレッシュな、活きのよい演奏です。楽員のみなさんが、「のっている」のがわかるようです。

【第1組曲】
第1曲、プロヴァンス民謡をもとにしたと言われる「前奏曲」。アルトサキソフォンが登場します。それにしても、サキソフォンは独特の音色ですね。昔、中学校の鑑賞曲として聞いた記憶があるなぁ。
第2曲「メヌエット」、田舎の祝宴だそうです。
第3曲「アダジェット」、弱音器をつけた弦楽器の四部合奏。
第4曲「カリヨン」、冒頭の音型、鐘の音を模倣したのだそうですが、ほんとにそんな感じです。フルートの活躍が見事です。

【第2組曲】、こちらはビゼーの死後、友人のギローが編曲しました。
第1曲「パストラール」、ピッコロの活躍ががぜん目だっています。オーケストラの盛り上がりも見事です。
第2曲「間奏曲」、中間部のサキソフォンが甘い音色で、ハープの音とともに、近代的で自由な意識を感じさせるようです。
第3曲「メヌエット」、こちらは有名なほう。冒頭のハープとフルートの旋律がうっとりするような美しさです。
第4曲「ファランドール」、第1組曲の第1曲「前奏曲」で出てきたメロディが再び堂々と現れ、プロヴァンスの軽快な舞曲ファランドールも登場し、両者が重なり合ってクライマックスとなります。オーケストラの技量が明瞭にあらわれるところでもあり、なかなかすばらしい演奏だと思います。

録音は、2006年3月に山形テルサホールでの定期公演をライブ収録したもの。5chサラウンドSACDとなっており、オーディオ的にも面白いものです。

■飯森範親指揮山形交響楽団(CD: OVCX-00031)
第1組曲 I=6'34" II=2'59" III=3'09" IV=4'01" total=16'43"
第2組曲 I=5'15" II=4'01" III=3'53" IV=3'19" total=16'28"

もう一つ、カラヤン指揮ベルリンフィルのCDも持っていますが、こちらはゆったりしたテンポでレガート奏法を徹底した耽美的な演奏。今の気分としては、若い演奏家のフレッシュな成果にじっくりと耳を傾けたいところです。

(*):「アルルの女」~Wikipediaより
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