年の暮れ、当地のような田舎でも、社会生活の基盤の変化によって、年末年始のすごし方はだいぶ変化し、簡素化しています。考えてみれば、なぜ12月28日に仕事納めをするのか。それは、昔はどこの家でも、29日に一家総出ですす払いをし、神棚や仏壇の道具を磨き、いわゆる大掃除をしなければならなかったため、その前日までに仕事を終える必要があったからでしょう。
昔は、どんなふうに年末年始を過ごしていたのか、老母に聞いてみました。
それによれば、29日にすす払いと大掃除をして、30日は午前中にお供え用の餅をつき、丸めて飾ります。午後には生食用の餅をつき、おせち料理を作ります。夕方から餅を食べますが、私の記憶では、幼い頃から写真のような雑煮と納豆餅、あんこ餅、くるみ餅などがメインでした。31日には火を消し、鍋や鉄瓶などを磨き、灰を通して囲炉裏をならします。これは、元日には囲炉裏を休めるためです。
元日、男が早起きして若水をくみ、朝食前に初詣に行きます。この日は台所もお休み、女性の骨休めでしょうか、ホーキもハタキも休みです。したがって、終日おせち料理で過ごします。
昔は、二日には働き手が総出で早起きして、ワラ打ちをしたのだそうです。稲作を基盤とする農村では、一年の豊作を祈り、にな、はけごや俵用の縄などを編んだのだそうです。
おせち料理や餅に飽きると、トロロ芋を食べることも多かったそうで、六日には無病息災を祈ってヒョウ(*)の干物を、七日には七草で納豆汁を食べたとか。このあたりは、山間部と平野部と海岸部ではだいぶ習慣が違うことでしょう。
七日から十日まではワラ仕事は休みで、十日には力餅と称して、成人男子が神棚にあげた餅を食べる習慣があったそうな。
11日には蔵開きがあり、ご飯におつゆ、カド焼き、白和えなどを供えたとのこと。
13日から15日は、13日が小正月で枝に団子をさす習慣があり、15日にはドンド焼きともいうお歳灯?が行われますが、自宅では囲炉裏で焼いた田楽を食べました。これは、私もみそ味の豆腐のおいしさが記憶にあります。
考えてみれば、年越しそばを食べるようになったのは最近のことで、昔の行事がすたれて新しい慣習が入ってきただけの話。どうも、高度経済成長期以降の出来事のようです。
(*):動物のヒョウではなく、スベリヒユという畑の雑草の一種。某テレビ番組で取り上げられ、山形では雑草を食べると有名になりました。でも、実は漢方薬にも使われているのだそうです。
さて、現在は? そうですね、しんしんと雪が降る中、若水のかわりにコーヒーをわかし、YBC-TV で昨年放送された、山形交響楽団第200回定期演奏会の録画を観ながら、お昼には伝統的なおせち料理を食べます。たぶん、七日には七草の納豆汁が出てくるでしょう。
お正月に、一年の健康と豊作を祈願して様々な農耕行事が積み重ねられてきたわけですが、当方は勤め人の果樹園兼業農家二年生です。無理をせず自然体で、でも前向きに物事に当たりたいものです。
雪景色の中、山響のシベリウス「カレリア」組曲やストラヴィンスキーの「火の鳥」など、なかなかいいものです。
昔は、どんなふうに年末年始を過ごしていたのか、老母に聞いてみました。
それによれば、29日にすす払いと大掃除をして、30日は午前中にお供え用の餅をつき、丸めて飾ります。午後には生食用の餅をつき、おせち料理を作ります。夕方から餅を食べますが、私の記憶では、幼い頃から写真のような雑煮と納豆餅、あんこ餅、くるみ餅などがメインでした。31日には火を消し、鍋や鉄瓶などを磨き、灰を通して囲炉裏をならします。これは、元日には囲炉裏を休めるためです。
元日、男が早起きして若水をくみ、朝食前に初詣に行きます。この日は台所もお休み、女性の骨休めでしょうか、ホーキもハタキも休みです。したがって、終日おせち料理で過ごします。
昔は、二日には働き手が総出で早起きして、ワラ打ちをしたのだそうです。稲作を基盤とする農村では、一年の豊作を祈り、にな、はけごや俵用の縄などを編んだのだそうです。
おせち料理や餅に飽きると、トロロ芋を食べることも多かったそうで、六日には無病息災を祈ってヒョウ(*)の干物を、七日には七草で納豆汁を食べたとか。このあたりは、山間部と平野部と海岸部ではだいぶ習慣が違うことでしょう。
七日から十日まではワラ仕事は休みで、十日には力餅と称して、成人男子が神棚にあげた餅を食べる習慣があったそうな。
11日には蔵開きがあり、ご飯におつゆ、カド焼き、白和えなどを供えたとのこと。
13日から15日は、13日が小正月で枝に団子をさす習慣があり、15日にはドンド焼きともいうお歳灯?が行われますが、自宅では囲炉裏で焼いた田楽を食べました。これは、私もみそ味の豆腐のおいしさが記憶にあります。
考えてみれば、年越しそばを食べるようになったのは最近のことで、昔の行事がすたれて新しい慣習が入ってきただけの話。どうも、高度経済成長期以降の出来事のようです。
(*):動物のヒョウではなく、スベリヒユという畑の雑草の一種。某テレビ番組で取り上げられ、山形では雑草を食べると有名になりました。でも、実は漢方薬にも使われているのだそうです。
さて、現在は? そうですね、しんしんと雪が降る中、若水のかわりにコーヒーをわかし、YBC-TV で昨年放送された、山形交響楽団第200回定期演奏会の録画を観ながら、お昼には伝統的なおせち料理を食べます。たぶん、七日には七草の納豆汁が出てくるでしょう。
お正月に、一年の健康と豊作を祈願して様々な農耕行事が積み重ねられてきたわけですが、当方は勤め人の果樹園兼業農家二年生です。無理をせず自然体で、でも前向きに物事に当たりたいものです。
雪景色の中、山響のシベリウス「カレリア」組曲やストラヴィンスキーの「火の鳥」など、なかなかいいものです。