例年より数日遅れて桃の花が咲き、スモモやサクランボの花もようやく咲き始め、当地の果樹園は美しい季節を迎えております。英国ヨークシャー州のミッスルウェイト屋敷も、美しい春を迎えることができたようです。バーネット著『秘密の花園』(土屋京子訳、光文社古典新訳文庫)の続き(*)です。
第19章「春が来た!」、第20章「ずっとずっと生きるんだ」、第21章「ベン・ウェザースタッフ」。かんしゃくも静まり、ゆっくりと睡眠をとったコリンは、動物を連れて訪ねてきたディコンに会います。生まれたばかりで母をなくした子ヒツジは、それはふかふかで可愛いだけでなく、境遇に共感するところがあるのかもしれません。医者のクレイヴン先生も看護婦も召使たちも、コリンの変化にはただビックリするばかり。三人だけで誰にも知られないように秘密の花園を訪れる計画は、着々と進行します。庭師たちにも、その時間は待機命令を出し、誰にも見られないようにして、ディコンが車椅子を押します。はじめて秘密の花園に入り、春を感じた少年は、元気になってずっと生きることを決意します。母親が腰をかけて枝が折れ、命を落とした木をコリンが目にしたとき、うまい具合にコマドリが飛んできて話題がそれます。うーん、まるでお話みたい(^o^)/
でも、美しい奥様の庭で遊んでいる子供らを見たときの老庭師ベン・ウェザースタッフの怒りは激しいものでした。それだけでなく、興奮してすっくと立ってしまったコリンの姿は、衝撃だったのでしょう。なにはともあれ、秘密の仲間に偏屈老人も加わったということです(^o^)/
第22章「太陽が沈むとき」、第23章「魔法」、第24章「笑いはおおいにけっこう」。老庭師は、敬愛する奥様の言葉を忠実に守り、梯子で壁を越えて、ひそかに花園の手入れをしていたのです。亡き母の話を聞くことができて、コリンも幸いでした。自分の力で立ち、バラの苗木を植えようとする、この希望と前向きな気持ちが、健康には大切な要素なのでしょう。そして、秘密の花園には善なる魔法がかかっていると信じる気持ちは、日々美しさを増す自然の営みによって、ますます強まり、コリンの願いは父親に向かいます。妻を失った喪失感は理解できますが、自分の不幸に閉じこもり、周囲を見つめることを止めてしまうのはやはり正しくない。ましてや、病弱だった息子が日に日に健康を取り戻している時に、父親の役割は?マーサとディコンの聡明な母親であるスーザン・サワビーは、考え込みます。
第25章「カーテン」、第26章「母ちゃんだ!」、第27章「花園に…」。日々健康になり、筋力増強トレーニングをしながら、コリンは「お父さんが帰ってくればいいのに」と願います。それまではカーテンを引いてあった母親の肖像画も、カーテンを開く心境に変わってきています。自然の中で神の恵みをたたえる歌を歌っていると、ディコンのお母さんがやってきて、お父様にじきに会えるだろうと告げます。最終章のあらすじは省略した方が良いでしょう。長い孤独な旅の終わりに、花園へと呼びかける、亡き妻の声を聞いたのは、父親にとって実に幸いでした、とだけ言っておきましょう。
物語は、序破急の急にあたるようで、テンポ良く展開していきます。もちろん、都合良すぎの出来杉君な面も感じられなくもないのですが、子供の時代を脱皮しようという少年少女ならともかく、それは野暮なツッコミと言うべきでしょう(^o^)/
世界名作の名に恥じない、じんと心に残る物語です。
自然と畑が心を明るくしてくれるのは、日々感じております。とくに、美しい五月に、花が一斉に咲き、若葉が開いて日に日に緑色を濃くしていく様子は、メアリやディコンやコリンならずとも、心おどる季節です。
(*):バーネット『秘密の花園』を読む(1),(2)~「電網郊外散歩道」
第19章「春が来た!」、第20章「ずっとずっと生きるんだ」、第21章「ベン・ウェザースタッフ」。かんしゃくも静まり、ゆっくりと睡眠をとったコリンは、動物を連れて訪ねてきたディコンに会います。生まれたばかりで母をなくした子ヒツジは、それはふかふかで可愛いだけでなく、境遇に共感するところがあるのかもしれません。医者のクレイヴン先生も看護婦も召使たちも、コリンの変化にはただビックリするばかり。三人だけで誰にも知られないように秘密の花園を訪れる計画は、着々と進行します。庭師たちにも、その時間は待機命令を出し、誰にも見られないようにして、ディコンが車椅子を押します。はじめて秘密の花園に入り、春を感じた少年は、元気になってずっと生きることを決意します。母親が腰をかけて枝が折れ、命を落とした木をコリンが目にしたとき、うまい具合にコマドリが飛んできて話題がそれます。うーん、まるでお話みたい(^o^)/
でも、美しい奥様の庭で遊んでいる子供らを見たときの老庭師ベン・ウェザースタッフの怒りは激しいものでした。それだけでなく、興奮してすっくと立ってしまったコリンの姿は、衝撃だったのでしょう。なにはともあれ、秘密の仲間に偏屈老人も加わったということです(^o^)/
第22章「太陽が沈むとき」、第23章「魔法」、第24章「笑いはおおいにけっこう」。老庭師は、敬愛する奥様の言葉を忠実に守り、梯子で壁を越えて、ひそかに花園の手入れをしていたのです。亡き母の話を聞くことができて、コリンも幸いでした。自分の力で立ち、バラの苗木を植えようとする、この希望と前向きな気持ちが、健康には大切な要素なのでしょう。そして、秘密の花園には善なる魔法がかかっていると信じる気持ちは、日々美しさを増す自然の営みによって、ますます強まり、コリンの願いは父親に向かいます。妻を失った喪失感は理解できますが、自分の不幸に閉じこもり、周囲を見つめることを止めてしまうのはやはり正しくない。ましてや、病弱だった息子が日に日に健康を取り戻している時に、父親の役割は?マーサとディコンの聡明な母親であるスーザン・サワビーは、考え込みます。
第25章「カーテン」、第26章「母ちゃんだ!」、第27章「花園に…」。日々健康になり、筋力増強トレーニングをしながら、コリンは「お父さんが帰ってくればいいのに」と願います。それまではカーテンを引いてあった母親の肖像画も、カーテンを開く心境に変わってきています。自然の中で神の恵みをたたえる歌を歌っていると、ディコンのお母さんがやってきて、お父様にじきに会えるだろうと告げます。最終章のあらすじは省略した方が良いでしょう。長い孤独な旅の終わりに、花園へと呼びかける、亡き妻の声を聞いたのは、父親にとって実に幸いでした、とだけ言っておきましょう。
物語は、序破急の急にあたるようで、テンポ良く展開していきます。もちろん、都合良すぎの出来杉君な面も感じられなくもないのですが、子供の時代を脱皮しようという少年少女ならともかく、それは野暮なツッコミと言うべきでしょう(^o^)/
世界名作の名に恥じない、じんと心に残る物語です。
自然と畑が心を明るくしてくれるのは、日々感じております。とくに、美しい五月に、花が一斉に咲き、若葉が開いて日に日に緑色を濃くしていく様子は、メアリやディコンやコリンならずとも、心おどる季節です。
(*):バーネット『秘密の花園』を読む(1),(2)~「電網郊外散歩道」