2日間の定期演奏会がどちらも平日になり、2日目を選んで出かけた山形交響楽団第205回定期演奏会のレポートです。
開演前のプレトークは、音楽監督の飯盛範親さん。最初に、諸般の事情で両日とも平日になってしまったことをお詫びします、とのこと。それでも、最前列を除いてほぼうまっていたのは立派なものです。今日のテーマは、新たな表現への挑戦、というもの。ベートーヴェンがオペラに挑戦し、ショスタコーヴィチはレニングラード市の軽音楽研究会に依頼をうけ、チャイコフスキーはフォン・メック夫人の援助のもと、新たな表現を試みた、とのことです。なるほど、それでこのプログラムとなるわけですね。
そうそう、最後に飯森さんが話した内容が興味深かった。
一つ目は、インターネットの山響ホームページ等から、山響のCDの内容を楽章ごとにダウンロード購入できるようになった、とのこと。
二つ目は、開演10分前に空いている席があったら学生券を1000円で売り出すとのこと。
三つめは、山形テルサの独自事業で演奏会をやるほか、7月1日に山形経済同友会主催で「紅藍物語~山形舞妓と山響のコラボレーション」をやるそうな。これは面白そう!
異例のお願いもありました。昨日の演奏会で、pp のいいところで、2度も無粋な携帯電話の音が鳴ったのだそうな。それは当然でしょう。今までの山響の演奏会で、ずっとそんな経験はありませんでしたが、どなたかがうっかりしていたのでしょうね(^o^)/
さて、演奏が始まります。まずレオノーレの3番から。ステージ上には、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラと並び、右手奥にコントラバスが陣取ります。正面奥に木管、金管とティンパニが配置されています。顔ぶれを見ると、コンサートマスターは犬伏さんで、第1ヴァイオリンに1人客演らしい男性奏者も見えますが、トランペットの井上さんの姿が見えず。序曲がいかにもベートーヴェンらしい力強さを表す中で、大臣の到着を告げるラッパの音が遠くから聞こえてきます。たぶん、ステージ袖のモニター室あたりで吹いているのでしょう。そして二度目のラッパの音は大きく、大臣が近づいていることを表します。なるほど、音の遠近法ですね!足立さんのフルートがテーマを再現し、高橋あけみさんのファゴットと息長く。お見事でした。
ここで、ショスタコーヴィチの協奏曲のためにピアノが準備されます。合間をぬって再び飯森さんのトークがありました。この協奏曲では、ピアノとトランペットがオーケストラと協演するわけですが、レニングラード・フィルのトランペット奏者が抜群に上手い人で、それを起用したのだとか。第1回のショパン・コンクールで2位になったショスタコーヴィチはがっかりして、ピアニストはやめて作曲家になることにしたのだそうな。パクリもたくさんあって、パロディ精神あふれる曲になっているそうです。
さて、そのショスタコーヴィチのピアノ協奏曲。青いドレスの河村尚子さんが登場します。オーケストラは弦五部にトランペットだけぽつんと一人。先ほどの「レオノーレ」で、ステージ袖で「遠近法のラッパ」を吹いた井上直樹さんです。
第1楽章:アレグロ・モデラート。
たいへん活発な音楽です。ピアノもそうですが、トランペットが華々しく立って、文字通りのスタンドプレイ。
第2楽章:レント、第3楽章:モデラート。
弦楽が静かに息長く旋律を奏でると、そこへピアノが入ります。不思議な優美さを持ったピアノソロです。弦が加わりますが、弱音器つきなのでしょうか。ちょっと響きが違います。お休みしていたトランペットが立ち上がり、ミュートをつけて静かな弦楽の中にするりと入ってきます。ゆったりした息の長い弦の旋律、見事なトランペット、そっと呟くピアノ。1930年代の叙情ですね~。弦がppで消え入るように終わります。解説によれば、第3楽章はごく短い楽章なのだそうですが、どこが切れ目なのか、あれれと思っているうちに終楽章に入ってしまいました(^o^)/
第4楽章:アレグロ・ブリオ。
ピアノソロで始まり、オーケストラとピアノが活発に競い合う中に、ミュートを外したトランペットが高々とスタンドプレイ。オーケストラがダイナミックに響く中で、ピアノとトランペットの、思わず手に汗握るような白熱の競演でした。いや~、すごかった。河村さんのアンコールあり。
ここで15分間の休憩です。
後半は、チャイコフスキーの交響曲第4番。
第1楽章:ホルンとトロンボーンから。木管が続き、弦が入ってきますが、このへんで喉に痰がからみ、咳を我慢するのがたいへんでした。マーフィーの法則みたいに、「ffでは咳が出ず、ppになると出る」のですね。高橋さんのファゴット・ソロがお見事!ティンパニが足音のようにリズムを刻んでいます。最初のテーマに回帰して、奔流のような音楽です。
第2楽章:アンダンテ・イン・モード・ディ・カンツォーナ。佐藤麻咲さんのオーボエソロと弦のピツィカート。チェロと木管がいい旋律を奏し、ヴァイオリンが加わるとさすがに20人の威力で、精彩を放ちます。ヴィオラが旋律を奏しますが、これが実にいい音です。クラリネットとオーボエがリズミカルに入り、弦が消えると再びファゴットのソロ。クラリネットからファゴットの低音に受け継がれ、静かに終わります。
第3楽章:スケルツォ、ピツィカート・オスティナート、アレグロ。弦のピツィカートだけで始まります。そこへ、やや天然なオーボエが頓狂に入ってきます。木管、とくにピッコロが鋭く。金管もようやく出番を得て、人形かバレエのような音楽です。最後に置いてあった弓をひろってまたピツィカート。
第4楽章:アレグロ・コン・フォーコ。爆発的に始まります。なるほど、前楽章で弓をひろったのはそのためだったのでしょうね。シンバルの爆発、バスドラムの連打、バストロンボーン、チューバの咆哮も激しく、盛り上がって終わります。
いや~、良かった!十分に満足しました。チャイコフスキー本人の趣味嗜好はともかく、残された作品は素人音楽愛好家には愛聴すべき貴重な作品ばかりです。実演に接し、大満足で帰宅しました。
開演前のプレトークは、音楽監督の飯盛範親さん。最初に、諸般の事情で両日とも平日になってしまったことをお詫びします、とのこと。それでも、最前列を除いてほぼうまっていたのは立派なものです。今日のテーマは、新たな表現への挑戦、というもの。ベートーヴェンがオペラに挑戦し、ショスタコーヴィチはレニングラード市の軽音楽研究会に依頼をうけ、チャイコフスキーはフォン・メック夫人の援助のもと、新たな表現を試みた、とのことです。なるほど、それでこのプログラムとなるわけですね。
(1) ベートーヴェン、序曲「レオノーレ」第3番
(2) ショスタコーヴィチ、ピアノ協奏曲第1番、河村尚子(Pf)、井上直樹(Tp)
(3) チャイコフスキー、交響曲第4番
そうそう、最後に飯森さんが話した内容が興味深かった。
一つ目は、インターネットの山響ホームページ等から、山響のCDの内容を楽章ごとにダウンロード購入できるようになった、とのこと。
二つ目は、開演10分前に空いている席があったら学生券を1000円で売り出すとのこと。
三つめは、山形テルサの独自事業で演奏会をやるほか、7月1日に山形経済同友会主催で「紅藍物語~山形舞妓と山響のコラボレーション」をやるそうな。これは面白そう!
異例のお願いもありました。昨日の演奏会で、pp のいいところで、2度も無粋な携帯電話の音が鳴ったのだそうな。それは当然でしょう。今までの山響の演奏会で、ずっとそんな経験はありませんでしたが、どなたかがうっかりしていたのでしょうね(^o^)/
さて、演奏が始まります。まずレオノーレの3番から。ステージ上には、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラと並び、右手奥にコントラバスが陣取ります。正面奥に木管、金管とティンパニが配置されています。顔ぶれを見ると、コンサートマスターは犬伏さんで、第1ヴァイオリンに1人客演らしい男性奏者も見えますが、トランペットの井上さんの姿が見えず。序曲がいかにもベートーヴェンらしい力強さを表す中で、大臣の到着を告げるラッパの音が遠くから聞こえてきます。たぶん、ステージ袖のモニター室あたりで吹いているのでしょう。そして二度目のラッパの音は大きく、大臣が近づいていることを表します。なるほど、音の遠近法ですね!足立さんのフルートがテーマを再現し、高橋あけみさんのファゴットと息長く。お見事でした。
ここで、ショスタコーヴィチの協奏曲のためにピアノが準備されます。合間をぬって再び飯森さんのトークがありました。この協奏曲では、ピアノとトランペットがオーケストラと協演するわけですが、レニングラード・フィルのトランペット奏者が抜群に上手い人で、それを起用したのだとか。第1回のショパン・コンクールで2位になったショスタコーヴィチはがっかりして、ピアニストはやめて作曲家になることにしたのだそうな。パクリもたくさんあって、パロディ精神あふれる曲になっているそうです。
さて、そのショスタコーヴィチのピアノ協奏曲。青いドレスの河村尚子さんが登場します。オーケストラは弦五部にトランペットだけぽつんと一人。先ほどの「レオノーレ」で、ステージ袖で「遠近法のラッパ」を吹いた井上直樹さんです。
第1楽章:アレグロ・モデラート。
たいへん活発な音楽です。ピアノもそうですが、トランペットが華々しく立って、文字通りのスタンドプレイ。
第2楽章:レント、第3楽章:モデラート。
弦楽が静かに息長く旋律を奏でると、そこへピアノが入ります。不思議な優美さを持ったピアノソロです。弦が加わりますが、弱音器つきなのでしょうか。ちょっと響きが違います。お休みしていたトランペットが立ち上がり、ミュートをつけて静かな弦楽の中にするりと入ってきます。ゆったりした息の長い弦の旋律、見事なトランペット、そっと呟くピアノ。1930年代の叙情ですね~。弦がppで消え入るように終わります。解説によれば、第3楽章はごく短い楽章なのだそうですが、どこが切れ目なのか、あれれと思っているうちに終楽章に入ってしまいました(^o^)/
第4楽章:アレグロ・ブリオ。
ピアノソロで始まり、オーケストラとピアノが活発に競い合う中に、ミュートを外したトランペットが高々とスタンドプレイ。オーケストラがダイナミックに響く中で、ピアノとトランペットの、思わず手に汗握るような白熱の競演でした。いや~、すごかった。河村さんのアンコールあり。
ここで15分間の休憩です。
後半は、チャイコフスキーの交響曲第4番。
第1楽章:ホルンとトロンボーンから。木管が続き、弦が入ってきますが、このへんで喉に痰がからみ、咳を我慢するのがたいへんでした。マーフィーの法則みたいに、「ffでは咳が出ず、ppになると出る」のですね。高橋さんのファゴット・ソロがお見事!ティンパニが足音のようにリズムを刻んでいます。最初のテーマに回帰して、奔流のような音楽です。
第2楽章:アンダンテ・イン・モード・ディ・カンツォーナ。佐藤麻咲さんのオーボエソロと弦のピツィカート。チェロと木管がいい旋律を奏し、ヴァイオリンが加わるとさすがに20人の威力で、精彩を放ちます。ヴィオラが旋律を奏しますが、これが実にいい音です。クラリネットとオーボエがリズミカルに入り、弦が消えると再びファゴットのソロ。クラリネットからファゴットの低音に受け継がれ、静かに終わります。
第3楽章:スケルツォ、ピツィカート・オスティナート、アレグロ。弦のピツィカートだけで始まります。そこへ、やや天然なオーボエが頓狂に入ってきます。木管、とくにピッコロが鋭く。金管もようやく出番を得て、人形かバレエのような音楽です。最後に置いてあった弓をひろってまたピツィカート。
第4楽章:アレグロ・コン・フォーコ。爆発的に始まります。なるほど、前楽章で弓をひろったのはそのためだったのでしょうね。シンバルの爆発、バスドラムの連打、バストロンボーン、チューバの咆哮も激しく、盛り上がって終わります。
いや~、良かった!十分に満足しました。チャイコフスキー本人の趣味嗜好はともかく、残された作品は素人音楽愛好家には愛聴すべき貴重な作品ばかりです。実演に接し、大満足で帰宅しました。