光文社古典新訳文庫で、バーネット著『秘密の花園』を読んでおります。物語は第2幕に相当する、ミッスルウェイト屋敷の秘密が徐々に明かになってくるところです。
第10章「ディコン」、第11章「ヤドリギツグミの巣」、第12章「地面を少しいただきたいのです」。メアリは、老庭師のベン・ウェザースタッフと仲良くなり、園芸のことを根掘り葉掘り聞き、教わります。そこへ、マーサの弟のディコンが、頼んであった園芸の道具と花のタネを持ってきてくれます。メアリはディコンに秘密を守れるかと尋ね、発見した花園に案内します。二人で草を取り、バラの枯れ枝を切り、花を植える時間は楽しく、すぐに過ぎるように思えるのでした。いそいで昼食に戻ったあとで、メアリはお屋敷の主人クレイヴン氏に会います。クライヴン氏はとても悲しく寂しそうで、マーサのお母さんの訴えにより、メアリのことを思い出したのでした。クレイヴン氏は、メアリの願いどおり、タネをまき花を植える場所を、じゃまにならない所ならどこを選んでも良いと許可します。やっほう!
第13章「ぼくはコリンだ」、第14章「若きラージャ」、第15章「巣作り」。せっかく許可をもらったのに、翌日は雨降りで、秘密の花園にも行けません。メアリはご機嫌斜めです。ところが、また例の泣き声が聞こえてきます。メアリが声の方に進むと、男の子が泣いているのに出くわします。彼の名はコリン・クレイヴン、この屋敷の主人、クレイヴン氏の一人息子だったのでした。コリンの質問に答え、インドのことや船旅のことなど、メアリはたくさん話をします。そして秘密の花園のことも。子供どうし、メアリはコリンを寝かしつけ、ご機嫌を直すことができるのですね。メアリの話から、コリンはディコンにも興味を示します。どうも、コリンを病弱にしているのは、父親の不在と放任、そして周囲の過保護のようです。ディコンにも相談して、そのうちコリンを秘密の花園に連れてこようと決心するのでした。
第16章「絶対にお断りよ!」、第17章「ヒステリー」、第18章「思いついたら、早いがいいさ!」。ある日、メアリが忙しくてコリンのところへ行けないでいると、コリンが例のかんしゃくを起こす寸前です。二人の子供の口喧嘩は、打算がないだけに真剣そのものです。部屋に戻り、クレイヴン氏が送ってくれた絵本を見ているうちに、気持ちも落ち着いて来ます。コリンは、背中にこぶができ、やがて死ぬのだと思っていて、それを考えると、恐怖のために泣きたくなることを、メアリにだけは話したのでした。コリンのヒステリーに、同じくらい強情で気の強いメアリはひるみません。背中にこぶなどないこと、なるべく外で過ごすなら、大きくなるまで生きられることを納得させます。そして秘密の花園には、スイセンやスノードロップやユリやアイリスなどがいっぱいあることを話して聞かせるうちに、コリンは落ち着いて眠りに落ちるのでした。さすがにディコンは優しい。メアリから話を聞き、コリンに同情します。ディコンは、動物たちを連れてコリンに会いにいくことを約束します。
映画「秘密の花園」でも、このあたりの場面は印象的でした。子供には子供の友達が必要だし、親は友達の代わりにはならない。子供どうしというのは、やっぱり成長期の重要な条件なのですね。働く親の背中を見て育つ面はあるけれど、同世代の友達の影響というのは、何といっても大きいものです。現代の、ゲームにのめりこんで人間関係を上手に作れない子供というのも、ある意味、残酷な話です。
コリンの、病気で死ぬんじゃないかという恐怖は、理解できる気がします。被爆二世である当方も、子供のころにはなんとなく不安なものでした。若いころに、結局は喫煙の習慣を持たなかったのも、被爆者の発ガン率の高さを知ったためでした。大学で分子生物学を学び、遺伝子修復の機構を初めて知ったときには、感動したものです。
(*):バーネット『秘密の花園』を読む(1)~「電網郊外散歩道」
第10章「ディコン」、第11章「ヤドリギツグミの巣」、第12章「地面を少しいただきたいのです」。メアリは、老庭師のベン・ウェザースタッフと仲良くなり、園芸のことを根掘り葉掘り聞き、教わります。そこへ、マーサの弟のディコンが、頼んであった園芸の道具と花のタネを持ってきてくれます。メアリはディコンに秘密を守れるかと尋ね、発見した花園に案内します。二人で草を取り、バラの枯れ枝を切り、花を植える時間は楽しく、すぐに過ぎるように思えるのでした。いそいで昼食に戻ったあとで、メアリはお屋敷の主人クレイヴン氏に会います。クライヴン氏はとても悲しく寂しそうで、マーサのお母さんの訴えにより、メアリのことを思い出したのでした。クレイヴン氏は、メアリの願いどおり、タネをまき花を植える場所を、じゃまにならない所ならどこを選んでも良いと許可します。やっほう!
第13章「ぼくはコリンだ」、第14章「若きラージャ」、第15章「巣作り」。せっかく許可をもらったのに、翌日は雨降りで、秘密の花園にも行けません。メアリはご機嫌斜めです。ところが、また例の泣き声が聞こえてきます。メアリが声の方に進むと、男の子が泣いているのに出くわします。彼の名はコリン・クレイヴン、この屋敷の主人、クレイヴン氏の一人息子だったのでした。コリンの質問に答え、インドのことや船旅のことなど、メアリはたくさん話をします。そして秘密の花園のことも。子供どうし、メアリはコリンを寝かしつけ、ご機嫌を直すことができるのですね。メアリの話から、コリンはディコンにも興味を示します。どうも、コリンを病弱にしているのは、父親の不在と放任、そして周囲の過保護のようです。ディコンにも相談して、そのうちコリンを秘密の花園に連れてこようと決心するのでした。
第16章「絶対にお断りよ!」、第17章「ヒステリー」、第18章「思いついたら、早いがいいさ!」。ある日、メアリが忙しくてコリンのところへ行けないでいると、コリンが例のかんしゃくを起こす寸前です。二人の子供の口喧嘩は、打算がないだけに真剣そのものです。部屋に戻り、クレイヴン氏が送ってくれた絵本を見ているうちに、気持ちも落ち着いて来ます。コリンは、背中にこぶができ、やがて死ぬのだと思っていて、それを考えると、恐怖のために泣きたくなることを、メアリにだけは話したのでした。コリンのヒステリーに、同じくらい強情で気の強いメアリはひるみません。背中にこぶなどないこと、なるべく外で過ごすなら、大きくなるまで生きられることを納得させます。そして秘密の花園には、スイセンやスノードロップやユリやアイリスなどがいっぱいあることを話して聞かせるうちに、コリンは落ち着いて眠りに落ちるのでした。さすがにディコンは優しい。メアリから話を聞き、コリンに同情します。ディコンは、動物たちを連れてコリンに会いにいくことを約束します。
映画「秘密の花園」でも、このあたりの場面は印象的でした。子供には子供の友達が必要だし、親は友達の代わりにはならない。子供どうしというのは、やっぱり成長期の重要な条件なのですね。働く親の背中を見て育つ面はあるけれど、同世代の友達の影響というのは、何といっても大きいものです。現代の、ゲームにのめりこんで人間関係を上手に作れない子供というのも、ある意味、残酷な話です。
コリンの、病気で死ぬんじゃないかという恐怖は、理解できる気がします。被爆二世である当方も、子供のころにはなんとなく不安なものでした。若いころに、結局は喫煙の習慣を持たなかったのも、被爆者の発ガン率の高さを知ったためでした。大学で分子生物学を学び、遺伝子修復の機構を初めて知ったときには、感動したものです。
(*):バーネット『秘密の花園』を読む(1)~「電網郊外散歩道」