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電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響モーツァルト定期で交響曲2つとヴァイオリン協奏曲第4番を聴く

2010年10月03日 06時04分15秒 | -オーケストラ
しばらく低温が続いたのが嘘のように晴れてぽかぽか陽気になった土曜日、山形テルサホールで、山形交響楽団モーツァルト交響曲全曲定期演奏会を聴きました。八年がかりでモーツァルトの交響曲全曲を演奏しようというこの企画、今年はもう第四年にあたります。通算するとVol.11すなわち第11回目にあたる今回のプログラムは、

1. 交響曲第9番 ハ長調 K.73
2. ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K.218
3. 交響曲第20番 ニ長調 K.133
 鈴木 舞(Vn)、飯盛範親指揮山形交響楽団

というものです。妻と二人、今回は二階席に陣取ります。例によって、飯森さんのプレ・コンサート・トークですが、今回は山形県期待のお米の新品種「つや姫」の話題から。なんと、山響音楽監督の飯森さんは、実は「つや姫大使」なのだそうです(^o^)/

それはともかく、曲目の解説は交響曲第9番から。作曲年代は1769年だそうで、J.C.バッハの影響を受け、イタリア風の3楽章形式で交響曲を作っていたモーツァルト、ウィーンでハイドンの影響を受けて流行り始めた4楽章構成の交響曲を作曲します。フルートが第2楽章だけ使われ、これは後で演奏する第20番と同じとのこと。もう一つ、プログラム・ノートにある楽器編成にはファゴットがないけれども、当時はチェロ、コントラバス、ファゴットで通奏低音を受け持つのが通例だったため、ファゴットを加えているとのこと。この件、以前に私も不思議に思っておりましたので、な~るほど!と納得できました。
第4番のヴァイオリン協奏曲では、オーケストラが独奏ヴァイオリンの邪魔をしないように、注意深く書かれている名曲とのこと。ソロは鈴木舞さん、東京芸大の三年生、21歳。チャーミングかつ大胆なヴァイオリンを奏する優秀な若手ヴァイオリニストとのことです。
交響曲第20番は、イタリア旅行に関連した七曲の交響曲の中では、唯一トランペットを用いた祝祭的な曲とのことで、量産のためか、お父さんのレオポルドがオーケストレーションを手伝ったような気配もあるそうです。
最後に、山響が高音質音楽配信で著名な e-onkyo music とタイアップし、モーツァルト全曲演奏会をインターネット配信する(*)そうです。第1回として、交響曲第39番、ヴァイオリン協奏曲第5番、交響曲ヘ長調の三曲の録音をまるまる配信するとのことでした。



さて、演奏が始まります。コンサートマスターの高木和弘さんのもとで、まずは交響曲第9番から。第1楽章:アレグロ。トランペットとティンパニが活躍する、明るく晴れやかな音楽です。第2楽章:アンダンテ。フルート2人が立ち、2本のフルートがハモりながら協奏します。オーケストラは優雅なアンダンテ。オーボエはお休みです。第3楽章:メヌエット(トリオ)。活発なメヌエットが途中がらりと変わり、第1・第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのトップが奏する弦楽五重奏ふうに。このとき、指揮者の飯森さんは棒をおろし、じっと演奏に耳を傾けます。そして再び活発に主部が回帰します。第4楽章:モルト・アレグロ。元気で躍動的、舞曲風のフィナーレです。
うん、この曲の第2楽章、2本のフルートが起立し、ハモりながらオーケストラと協奏するところがたいへん印象的で、お気に入りになりました。

そして協奏曲です。白いドレスに身を包み、ストレートの黒髪を後ろでとめて、ソリストの鈴木舞さんが登場。聴衆の拍手を受けている間に、一緒に出てきたはずの飯森さんがステージ袖に引っ込んでしまいました。あれ、どうしたのかな、と思ったら、なんと指揮棒を忘れてきたみたいで、楽員に対し「ゴメン!」風にちょこっと挙手敬礼(^o^)/

楽器の編成は、Ob(2),Hrn(2)に、弦楽5部、すなわち 1st-Vn,2nd-Vn,Vla,Vc,Cb がそれぞれ 8-8-6-6-3 の対向配置です。(ただし、独奏者の立ち位置を確保するために、第1ヴァイオリンの後部を少々横にずらしておりました。)

第1楽章:アレグロ。オーケストラに続きヴァイオリンのソロが入ってくると、パッと放射するような外向性の美しい音です。ああ、これはソリストの音だなぁと感じました。カデンツに入ると、音量も豊かで、度胸の良い音楽の運びです。第2楽章:アンダンテ・カンタービレ。柔らかなオーケストラの音に、そっと独奏ヴァイオリンが加わり、次第に存在をするかのように顕在化してきます。それにしてもオーケストラのバランス、ハーモニーが素敵です。第3楽章:ロンド。アンダンテ・グラツィオーソ~アレグロ・マ・ノン・トロッポ。独奏ヴァイオリンのナマの低音が力強く響きます。華やかな高音と思い切って対比する、若いヴァイオリニストの活きのよさでしょう。終結部のしゃれた味わいも、若いモーツァルトの工夫でしょうか。

ここで15分の休憩が入ります。トップの写真は、休憩時の客席の様子。後半は交響曲第20番です。
楽器編成がまた少し変わり、Fl(1),Ob(2),Hrn(2),Tp(2),Fg(1) 弦楽5部は 8-8-6-5-3 というもの。飯森さんのトークにあったように、通奏低音の役割をファゴットに持たせ、チェロを1つ減らした形です。プログラムノートではフルートも2本になっていますが、今回は足立祥治さんが一人で座ります。このあたりも、飯森さんのバランス的な工夫なのでしょう。

第1楽章:アレグロ。トランペットが華やかに活躍する、晴れやかな音楽です。フルートはお休みで、ファゴットが参加。第2楽章:アンダンテ。フルートの足立さんが立ち上がり、最初から登場。なんともメルヘン的というか、童話的というか。低弦はピツィカートで。終わり近くなって、ファゴットがボッポッポッと参加するところなど、とても面白い、楽しいセレナードみたいな音楽です。Ob,Hrn,Tp はお休み。第3楽章:メヌエット&トリオ。こんどはFlがお休みで、Hrn,Tp,Fg も加わり、元の編成で演奏されます。活発なメヌエット。一転して優しくなごやかなトリオ部では、金管がまたお休み。活気のある音楽に戻ると再び金管も加わり、晴れやかな雰囲気が戻ります。二階席からは、終わりの音が自然減衰して、ひじょうに澄んでいることがよく感じられました。第4楽章:アレグロ。舞曲風のフィナーレです。低弦は量感を感じさせますが、速くリズミカルな低音が求められるからなのでしょうか、ファゴットがしっかり頑張って、快速の低音を構成していることがわかります。このあたり、楽器の特徴を生かしたものになっていると感じました。

ああ、良かった。本日も、良い演奏会でした。終演後のインタビューでの鈴木舞さんの応答も、とても好感の持てるものでした。山響のサウンドの質の高さ~澄んだ音~に感動しておられたようで、機会があればチャイコフスキーの協奏曲なども演奏してみたい、とのことでした。なるほど、似合うかもしれない、と思いました。飯森さんのインタビューでは、われらが飯森+山響が、韓国の音楽雑誌に4頁も取り上げられているとのこと。思わずへぇ~でした。うれしいことです(^o^)/



(*):飯森範親&山形交響楽団配信開始!~e-onkyo music
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