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電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

佐伯一麦「Nさんの机で~ものをめぐる文学的自叙伝~ワープロとパソコン(6)」を読む

2014年04月29日 06時02分55秒 | コンピュータ
2014年4月23日付の山形新聞に、佐伯一麦さんの連載「Nさんの机で~ものをめぐる文学的自叙伝」が掲載されました。そこでは、「ワープロとパソコン(6)」と題して、奥さんの留学先のオスロで使っていたパソコンで、動作の遅いワープロソフトではなく、きびきびと動くテキストエディタとして、QXエディタに出会ったことを述べています。パソコン通信を介して出会ったこのエディタは、縦書きができたことや動作が安定していたこと、加えて各種マクロが充実していたことから、以後、愛用することとなります。
2000年に、「文学界」において「作家たちの執筆現場~ワープロ・パソコンVS原稿用紙」というアンケートが組まれたとき、テキストエディタと回答したのは140人中2人だったとのこと。これは、やや意外です。長編を執筆する人なら特に、テキストエディタに勝るものはないと思うのですが。



また、雑誌「本とコンピュータ」のインタビューで、当時視覚障がいをかかえていた80歳の水上勉氏が、「コンピュータは健常者のためだけでなく、障害者の役に立つものでもあると思うんです。目を悪くしてから、こうした道具への興味が、いっそう湧いてきましたね。」と答えたことなどを紹介しています。同誌のこの記事は、私も読んだ記憶があり、視覚に障がいを抱えた老作家が、新しいものを自分には無縁のものとして拒否するのではなく、情報技術の本質的な価値を認識していることに共感したものでした。
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