電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

身体も精神も「鍛えれば鍛えるほど強くなる」のか?

2018年02月17日 06時01分36秒 | 健康
若い頃は、身体も精神も、「鍛えれば鍛えるほど強くなる」ものと思っていました。体を鍛え、心を鍛える。長距離走をしたり山登りをしたり、弓道で寒稽古をしたりするのも、そんな意識があったからでしょう。スポーツ選手の引き締まった身体はいかにも強靭に見えて、鍛錬の成果であろうとうらやましく思いました。ところが、若い頃から知っているスポーツ選手が意外に短命であったり、身体を鍛えていたはずのスポーツマンが病気に倒れたり、どうも頑健なはずの人が、案外にもろいのです。

また、睡眠時間を削って勉強していた学生が心の病を発症したり、過酷な勤務に耐えていたお医者さんがパーキンソン病を発症したりするのは、どうも精神的な弱さや鍛え方の不足というような問題ではないようです。若い頃に慢性的な睡眠不足の生活を送ると、脳の代謝が変調をきたし、やがてアルツハイマー症を発症するというのも、どうやら共通の現象なのではないか。心肺能力や筋力などは一時的に強化することができますが、それは全体的な健康、バランスの取れた健康とは必ずしも結びつかない。充分に睡眠や休養を取らずに緊張が連続する生活を続けると、脳は変調をきたしてしまうようです。

日本刀ならば「鍛えれば鍛えるほど強くなる」のでしょうが、身体や精神は日本刀と同じではない。生身の体です。その人に合った適度な運動やほどよい緊張感のある環境は、健康にとって重要ですが、修験道の行者のような修業をいきなり実行したら、たぶん命にかかわる場合もあるでしょう。もしかしたら、弱い人間を振るい落とし、強い人間をスクリーニングする手段として、戦国の世には適していたかもしれませんが、現代人の誰にでも適しているとは言えないでしょう。

適度な運動、ほどよい緊張、腹八分目の食事と睡眠・休養。鍛錬主義からはかけ離れますが、そのあたりの塩梅・匙加減が、どうやら健康の秘訣なのかも。

コメント (2)