電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ハイドンの「弦楽四重奏曲第20番ニ長調Op.17-6」を聴く

2019年08月24日 06時01分45秒 | -室内楽
ハイドンの作品17の弦楽四重奏曲六曲の中で、いちばんお気に入りになったのは、第20番ニ長調、Op.17-6です。この曲は、1771年、作曲者39歳ころの作品で、ボッケリーニの弦楽五重奏曲(*1)と同じ時期の作品みたいです。

ふーむ。ハイドンが39歳のとき、ボッケリーニは28歳、モーツァルトがまだ中高生と考えると、喩えは悪いですが、野球のイチローが39歳のとき楽天の嶋基宏捕手が28歳、そして大谷翔平クンがまだ高校生、というようなものでしょうか。18世紀の当時、どの程度に情報伝達が可能だったのかは不明ですが、おそらくは楽譜を通じて互いに知るところがあったのではなかろうか。互いに影響しあい、競いあうと同時にリスペクトする才能の連鎖を想像してしまいます。



第1楽章:プレスト、8分の6拍子、明るくスキップするような音楽。第2楽章:メヌエット、4分の3拍子、優雅で伸びやかな舞曲。第3楽章:ラルゴ、4分の4拍子、穏やかでゆっくりしたテンポの緩徐楽章。第4楽章:アレグロ、4分の2拍子。快活ですが一部転調して表情を変えます。推進力に富む終楽章。

全体に、BGM 的に聞き流そうとすればほどよく耳に快く、またじっくりと耳をすませば実に聴き応えのある音楽です。こういう音楽を作ってくれる楽長ハイドンを、雇い主であるエステルハージ侯は高く評価していたのでしょう。また、楽員それぞれに聴かせどころを用意し(時には侯自身がチェロ等で参加することもあったかもしれない)、特に第1ヴァイオリンには腕前を存分に発揮する場面を用意するなど、きっと仲間にも評判が良かったのではなかろうか。

(*1):ボッケリーニの「弦楽五重奏曲ホ長調(G275)」を聴く〜「電網郊外散歩道」2018年3月

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