電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

最近の筆記具が細字化の方向に向かう背景

2024年04月25日 06時00分57秒 | 手帳文具書斎
最近、三菱鉛筆のベストセラー・ボールペン「ジェットストリーム」に、新しいインクが開発されて製品化された(*1)と知りました。私自身、従来のジェットストリーム・ボールペン、特に 1.0mm と 0.7mm を愛用しておりますが、0.5mm のほうは独特の滑らかさを感じるよりも前に、むしろ固さや引っかかり感など、ジェットストリームらしからぬイメージをもっていましたので、おそらくは最も需要の多い 0.7mm の他に、この 0.5mm の細字方向の滑らかな書き味を改善したのだろうと推測しております。

また、ボールペンでも 0.38mm や 0.28mm といった極細字化が進んでいますし、最近ではシャープペンシルでもこうした極細化の動きが見られるようです。以前も、証券用などのボールペンで細字で書ける筆記具はあったわけですが、このところの急速な技術開発や商品展開は驚くばかりで、細字化、極細字化の方向性は止まりそうがありません。

例えば米国製のスクール用として用いられているボールペンなどは、かなり太字のものが普通のように記憶していますが、日本のボールペンの細字志向の背景は何なのだろう。おそらくは、小さな漢字をびっしりと書く必要のある人が多いから、なのでしょう。役所など、手書きで記入する用紙でも、もう少しゆったりしたスペースならいいのに、と思うことがすくなくありません。ワープロ等で作られた書式がベースになっているものだから、そこで想定されたポイントの文字数でも、手書きで書くにはスペースが小さすぎる。いきおい、小さな字でみっちりと書かなければいけない、ということなのでしょう。

また、スマートフォン等の利用が増えたとはいえ、まだまだ手書きの手帳を愛用している人は少なくないでしょうから、小さな枠内にごく小さな文字で書き留める必要があり、それには消せる筆記具や細字よりも極細ペンを求めてしまう、という需要があるからでしょう。

逆に、引退世代は、老眼のために視認性を重視し、ハッキリしたインク色の太字の筆記具を求めるという理由の他に、このチマチマした筆記習慣を離れて、自由な枠組みでのびのびと書きたいという無意識の願望があるのではなかろうか。

(*1): 『JETSTREAM Lite touch ink』登場〜三菱鉛筆プレスリリース

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