電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

香月美夜『本好きの下剋上』第2部「神殿の巫女見習い」第2巻を読む

2017年12月27日 06時03分24秒 | -香月美夜
孤児院の改革で孤児たちに仕事と食事を与えたマインは、灰色神官をも味方につけ、少しずつ神殿の暮らしになじんでいきます。絵本作りには絵師が必要と、絵の上手な灰色巫女のヴィルマを側仕えに希望したら、神官長には音楽教師としてロジーナもつけられてしまいます。ベンノが作るイタリアン・レストランの準備を進めながら、同時進行で聖典絵本に必要なインク作りに着手、油性インクを作り出すことに成功します。ところが、聖典絵本の原稿を読んだ神官長は、幼女には考えられないほどの文章力に驚き、どこで教育を受けたのかと疑いの目で見られることになってしまいます。

紙作りや本作りは順調でも、神殿内の立場は必ずしも順調とはいきません。神殿長派の青色神官が図書室を荒らしたり、嫌がらせが起こります。怒っていきり立つマインは、神官長の「片付ける事さえできない」という言葉に反応、「マイン十進分類法」で片付け整理してしまいます。見た目幼女が知っている十進分類法は神官長には全く心当たりがなく、疑惑はさらに深まります。
魔力の奉納のため、冬季間は神殿にこもるように神官長に言われたマインは、冬支度の準備に努めますが、その経費として、子供向けの聖典絵本を売ることにします。これまでにない印刷技術で作られた植物紙の本。この影響が表面化する前に、騎士団からの要請が届きます。

騎士団からの要請とは、魔木トロンベを倒した後の土地に魔力を回復させること。トロンベのスゴさも破天荒ですが、それを倒した神官長の強さもすごいし、荒廃をみるみる復活させたマインの力も実に規格外です。当然のことながら、幼女でこれだけの魔力を持つマインが成人したらどうなるのか、危険性を判断するために神官長はマインの記憶を覗きます。現代人の生活を覗き見た神官長は、さぞやびっくりしたことでしょう!



この巻は「魔力の本格デビューの巻」みたいなもので、ファンタジーの世界が一気に開けます。シキコーザという「嫌な奴」は、さしずめ光を際立たせる暗背景を作る役割のようで、ダームエルは狂言回しのような存在でしょうか。


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