1月もすでに下旬となった日曜の夜、山形市の文翔館議場ホールで、山形弦楽四重奏団の第86回定期演奏会を聴きました。このところ、鼻炎の悪化による鼻づまりで鼻呼吸ができず、睡眠障害の日々が続いていましたが、耳鼻咽喉科を受診しようやく改善の兆しが見えてきた今日この頃です。さすがに運転時に一瞬意識が途切れる事態はなくなりましたが、音楽を聴くには充分とは言えない体調です。それでも、そんなことを言っていると好きな演奏会にも行けなくなりそうで、思い切って出かけることにしました。チケットは購入しておらず、当日券を当てにしての出発です。
今回のプログラムは、
というものです。フィアラ? ヴァンハル? 知らないなあ(*1)。ベートーヴェンは知っているけれど、弦楽三重奏曲第4番だってそれほど有名な曲じゃないと思いますので、間違いなくマニアックの極みの選曲(^o^)/
でも、だからこそ、この機会を逃したら当地でこの曲の実演を耳にすることは二度とないだろうと思います。茂木さんのプレトークでも、フィアラやヴァンハルといった作曲家をさらりと紹介。
フィアラはチェコ出身の作曲家で、1748年に生まれ、1816年に没していますので、まるっきりハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンなどと同時代に生きた人で、貴族に仕え、オーボエ奏者、作曲家、教育者として生きた人らしい。今回取り上げているこの作品は、作曲年代などは不詳で、未発表となっていた作品を現代ドイツのオーボエ奏者が再構成し出版したものだそうです。
ヴァンハルのほうは、1739年にボヘミアに農奴の子として生まれ、1813年に没していますが、その間、村の教師兼オルガニストから音楽の手ほどきを受け、オルガンやヴァイオリン演奏などが貴族に認められて農奴の身から解放され、その後は貴族に仕えずに自立した作曲家・演奏家として活動したのだそうです。なんだか小説の題材になっていそうな話ですが、実際に音楽を聴くのはもちろん初めて。
1曲め、フィアラのオーボエ四重奏曲は、ステージ左からオーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという楽器配置です。第1楽章:アレグロ・モデラート、第2楽章:メヌエット、第3楽章:ロンド・ポコ・アンダンテ〜アレグロ。オーボエの音色を活かし、弦楽もとても聞きやすい、耳に快い音楽でした。
2曲め、ベートーヴェンの弦楽三重奏曲第4番 ハ短調 Op.9-3 は、第77回定期でも取り上げています(*2)ので、今回は再演ということになります。オーボエの柴田さんがお休みで、ステージ上は左からヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという配置。第1楽章:アレグロ・コン・スピリト、第2楽章:アダージョ・コン・エスプレッシオーネ、第3楽章:スケルツォ、アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ、第4楽章:フィナーレ、プレスト。冒頭のシリアスな響きからも感じられますが、作曲されたのが1797〜8年頃といいますからちょうど「悲愴」ソナタなどが作曲された頃でしょうか、若いベートーヴェンの、充実した作品のようです。
休憩をはさんで、3曲めはヴァンハルのオーボエ四重奏曲。第1楽章:モデラート、第2楽章:カンタービレ、アレグロ・モデラート、第3楽章:メヌエット、第4楽章:アレグロ。オーボエの音色もありましょうが、時に陰りを見せながらも全体として明るい親しみやすい音楽で、とりわけ終楽章の快活さは聴いていて楽しい作品と感じました。おそらく、私が知らないこういう音楽がまだまだたくさんあるのでしょうね。実演で、録音で、音楽の楽しみを長く味わいたいものです。
なお、次回の第87回定期演奏会は、4月30日、文翔館議場ホールにて、山響の河村佳奈さんを迎えてベートーヴェンの弦楽四重奏曲第4番 ハ短調 Op.18-4 と、モーツァルトの弦楽四重奏曲第19番 ハ長調 K.465「不協和音」というプログラムの予定とのこと。年内に文翔館の改修も予定されているそうで、秋の第88回は会場が変更になるのかもしれません。
(*1): 実は2019年12月の山響第281回定期で、ヴァンハルの「交響曲ニ短調」を聴いています。
(*2): 山形弦楽四重奏団第77回定期演奏会でオネゲル、ベートーヴェン、モーツァルトを聴く〜「電網郊外散歩道」2020年10月
今回のプログラムは、
- J. フィアラ オーボエ四重奏曲 変ロ長調
- ベートーヴェン 弦楽三重奏曲第4番 ハ短調 Op.9-3
- J.B. ヴァンハル オーボエ四重奏曲 変ロ長調 Op.7-2
柴田祐太(Ob, 山形交響楽団)、中島光之(Vn)、倉田譲(Vla)、茂木明人(Vc)
というものです。フィアラ? ヴァンハル? 知らないなあ(*1)。ベートーヴェンは知っているけれど、弦楽三重奏曲第4番だってそれほど有名な曲じゃないと思いますので、間違いなくマニアックの極みの選曲(^o^)/
でも、だからこそ、この機会を逃したら当地でこの曲の実演を耳にすることは二度とないだろうと思います。茂木さんのプレトークでも、フィアラやヴァンハルといった作曲家をさらりと紹介。
フィアラはチェコ出身の作曲家で、1748年に生まれ、1816年に没していますので、まるっきりハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンなどと同時代に生きた人で、貴族に仕え、オーボエ奏者、作曲家、教育者として生きた人らしい。今回取り上げているこの作品は、作曲年代などは不詳で、未発表となっていた作品を現代ドイツのオーボエ奏者が再構成し出版したものだそうです。
ヴァンハルのほうは、1739年にボヘミアに農奴の子として生まれ、1813年に没していますが、その間、村の教師兼オルガニストから音楽の手ほどきを受け、オルガンやヴァイオリン演奏などが貴族に認められて農奴の身から解放され、その後は貴族に仕えずに自立した作曲家・演奏家として活動したのだそうです。なんだか小説の題材になっていそうな話ですが、実際に音楽を聴くのはもちろん初めて。
1曲め、フィアラのオーボエ四重奏曲は、ステージ左からオーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという楽器配置です。第1楽章:アレグロ・モデラート、第2楽章:メヌエット、第3楽章:ロンド・ポコ・アンダンテ〜アレグロ。オーボエの音色を活かし、弦楽もとても聞きやすい、耳に快い音楽でした。
2曲め、ベートーヴェンの弦楽三重奏曲第4番 ハ短調 Op.9-3 は、第77回定期でも取り上げています(*2)ので、今回は再演ということになります。オーボエの柴田さんがお休みで、ステージ上は左からヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという配置。第1楽章:アレグロ・コン・スピリト、第2楽章:アダージョ・コン・エスプレッシオーネ、第3楽章:スケルツォ、アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ、第4楽章:フィナーレ、プレスト。冒頭のシリアスな響きからも感じられますが、作曲されたのが1797〜8年頃といいますからちょうど「悲愴」ソナタなどが作曲された頃でしょうか、若いベートーヴェンの、充実した作品のようです。
休憩をはさんで、3曲めはヴァンハルのオーボエ四重奏曲。第1楽章:モデラート、第2楽章:カンタービレ、アレグロ・モデラート、第3楽章:メヌエット、第4楽章:アレグロ。オーボエの音色もありましょうが、時に陰りを見せながらも全体として明るい親しみやすい音楽で、とりわけ終楽章の快活さは聴いていて楽しい作品と感じました。おそらく、私が知らないこういう音楽がまだまだたくさんあるのでしょうね。実演で、録音で、音楽の楽しみを長く味わいたいものです。
なお、次回の第87回定期演奏会は、4月30日、文翔館議場ホールにて、山響の河村佳奈さんを迎えてベートーヴェンの弦楽四重奏曲第4番 ハ短調 Op.18-4 と、モーツァルトの弦楽四重奏曲第19番 ハ長調 K.465「不協和音」というプログラムの予定とのこと。年内に文翔館の改修も予定されているそうで、秋の第88回は会場が変更になるのかもしれません。
(*1): 実は2019年12月の山響第281回定期で、ヴァンハルの「交響曲ニ短調」を聴いています。
(*2): 山形弦楽四重奏団第77回定期演奏会でオネゲル、ベートーヴェン、モーツァルトを聴く〜「電網郊外散歩道」2020年10月
古い記事ですが、このへんの経緯に少し触れたことがあります。「文翔館を見学する」
https://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/ad5088a307da01100942d41badb6e673
当時の山形県知事の見識と英断の賜物でしょうね。
でも、わが青春の街・仙台も、貴重な財産も多いですよ。例えば東北大の漱石文庫
https://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/42c8726255d738f2d1577d77b3e415e1
とか、藤野先生の主筆が入った魯迅の仙台医専在学時代のノートの写しとか。
https://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/e47cb250b25c5068b178ea1afd86eb76
こういうのはさすがの歴史と伝統を感じます。
山形と音楽の関わりは、山形大学教育学部の特設音楽科と巌本真理弦楽四重奏団のチェリストだった黒沼俊夫さんなどさまざまな歴史もありますが、やはり山響の創立の影響が大きいでしょうね。山響の公演が定着しているから、ホールを改修する時に、オーケストラがよく響くように、という条件が付けられるのだと思います。
もちろん空襲で相当の被害があったことなどもあると思いますが、歴史的なもの伝統的なものを復活させることにも消極的です。
昔、首都遷都構想などがあって、リトル東京を目指したりしてつまらない街になってしまったと思います。