休日の日曜日、久しぶりにのんびりとNHK-FMを聴きました。「名演奏ライブラリー」、今回の特集は、
ブラジル出身の名ピアニスト、マグダ・タリアフェロです。有名な録音も多くないし、たぶん現代ではあまり有名でない女性ピアニストではないかと思いますが、私にとっては若い頃に廉価盤LPレコード(エラート1000シリーズのRE-1018-RE)でフランスの近代ピアノ音楽を知った懐かしい名前でした。ただし、このLPには曲の解説はあっても演奏家の情報は皆無で、いい演奏だとは思いつつ、ピアニストについてはほとんど知ることはありませんでした。番組は満津岡信育さんの解説で、このピアニストについて初めて知ることになりました。
今回の放送で取り上げられた曲は、
というものです。協奏曲と独奏曲、得意なフランス近代音楽とスペインやブラジルの音楽と、ほぼまんべんなく目配りをした選曲かと思います。
マグダ・タリアフェロは1893年生まれで没年は1986年とのことですから、ジョージ・セルより4歳年長とはいえ、ほぼ同世代です。ブラジルに生まれ、アントナン・マルモンテルとアルフレッド・コルトーに師事し、1908年にパリでデビュー、ガブリエル・フォーレに要望されてその演奏旅行にしばしば同行するなど、フランス音楽の専門家として活躍した人のようです。米国での演奏旅行中に第二次大戦が勃発、主たる活躍の場を母国ブラジルに移しますが、間もなくヨーロッパでの活動を再開、パリ音楽院で指導すると共に、母国に財団を設立して若い音楽家の育成にも力を入れたとのことでした。
このうち、サン=サーンスの協奏曲が1953年のモノラル録音、ファリャとアルベニスの3曲、それにヴィラ・ロボスのピアノ独奏曲が1960年のステレオ録音、作曲者ヴィラ・ロボス自身が指揮をした「カーニバルの道化師」が1951年のモノラル録音、最後のシャブリエ、セヴラク、ドビュッシーが1968年のステレオ録音だそうです。
さすがにモノラル録音は時代を感じますが、意外なほどシャキッとした演奏で、しかも緩徐楽章は味わいがあります。スペイン音楽のほうは低音がボヤけ気味の音でしたが、演奏はリズムの切れ味が良く、最後のフランス近代のピアノ曲は録音もだいぶ鮮明で、感覚的な楽しみも満たされるというものです。いや、むしろ若い頃に廉価盤LPレコードで楽しんだ録音でしたので、格別に印象深く受け止めました。
YouTube に、彼女の演奏するフォーレの夜想曲がありました。
MAGDA TAGLIAFERRO playing Fauré Nocturne n.4 op.36
もうひとつ、実際の演奏の姿が映像として見られます。すごく姿勢が良くて、堂々としています。
Magda Tagliaferro plays Falla - Danza No.1 from "La vida breve"
最後に、92歳のときのドビュッシーの演奏。
MAGDA TAGLIAFERRO playing DEBUSSY POISSON D´OR ( LIVE! 92 y old)
昔、若い頃にLPレコードで親しんだ1970年代前半には、まだ70代で80歳にはなっていなかったのですね。当時は詳しく知ることもできなかった演奏家のことを知ることができ、また実際に様々な演奏に接することができるのですから、時代は変わったことを痛感させられます。
ブラジル出身の名ピアニスト、マグダ・タリアフェロです。有名な録音も多くないし、たぶん現代ではあまり有名でない女性ピアニストではないかと思いますが、私にとっては若い頃に廉価盤LPレコード(エラート1000シリーズのRE-1018-RE)でフランスの近代ピアノ音楽を知った懐かしい名前でした。ただし、このLPには曲の解説はあっても演奏家の情報は皆無で、いい演奏だとは思いつつ、ピアニストについてはほとんど知ることはありませんでした。番組は満津岡信育さんの解説で、このピアニストについて初めて知ることになりました。
今回の放送で取り上げられた曲は、
- 「ピアノ協奏曲 第5番 ヘ長調 作品103」、サン・サーンス:作曲、(ピアノ)マグダ・タリアフェロ、(管弦楽)ラムルー管弦楽団、(指揮)ジャン・フルネ(29分27秒)、<ユニバーサル UCCP-9367>
- 「バレエ組曲「三角帽子」から 粉屋の踊り」、ファリャ:作曲、(ピアノ)マグダ・タリアフェロ、(2分07秒)、<東芝EMI TOCE-15039>
- 「スペインの歌 作品232から セギディーリャ」、アルベニス:作曲、(ピアノ)マグダ・タリアフェロ、(2分50秒)、<東芝EMI TOCE-15039>
- 「スペインの歌 作品232から コルドバ」、アルベニス:作曲、(ピアノ)マグダ・タリアフェロ、(5分17秒)、<東芝EMI TOCE-15039>
- 「「ブラジル風連作」から セレナード弾きの印象」、ヴィラ・ローボス:作曲、(ピアノ)マグダ・タリアフェロ、(5分46秒)、<東芝EMI TOCE-15039>
- 「赤ちゃんの一族 第1番「赤ちゃんの家族」から 第7曲「ポリシネル(道化)」」、ヴィラ・ローボス:作曲、(ピアノ)マグダ・タリアフェロ、(1分36秒)、<東芝EMI TOCE-15039>
- 「カーニバルの道化師」、ヴィラ・ローボス:作曲、(ピアノ)マグダ・タリアフェロ、(管弦楽)フランス国立放送管弦楽団、(指揮)エイトル・ヴィラ・ローボス、(22分37秒)、<EMI CZS 7 67229 2>
- 「「絵画風の小曲集」から スケルツォ・ヴァルス」、シャブリエ:作曲、(ピアノ)マグダ・タリアフェロ、(5分01秒)、<ワーナー WQCC-175>
- 「「絵画風の小曲集」から 牧歌」、シャブリエ:作曲、(ピアノ)マグダ・タリアフェロ、(3分27秒)、<ワーナー WQCC-175>
- 「「セルダーニャ~5つの絵画的練習曲」から らば引きたちの帰還」、セヴラック:作曲、(ピアノ)マグダ・タリアフェロ、(4分51秒)、<ワーナー WQCC-175>
- 「ピアノのために」、ドビュッシー:作曲、(ピアノ)マグダ・タリアフェロ、(12分51秒)、<ワーナー WQCC-175>
- 「アラベスク 第1番」、ドビュッシー:作曲、(ピアノ)マグダ・タリアフェロ、(3分31秒)、<ワーナー WQCC-175>
というものです。協奏曲と独奏曲、得意なフランス近代音楽とスペインやブラジルの音楽と、ほぼまんべんなく目配りをした選曲かと思います。
マグダ・タリアフェロは1893年生まれで没年は1986年とのことですから、ジョージ・セルより4歳年長とはいえ、ほぼ同世代です。ブラジルに生まれ、アントナン・マルモンテルとアルフレッド・コルトーに師事し、1908年にパリでデビュー、ガブリエル・フォーレに要望されてその演奏旅行にしばしば同行するなど、フランス音楽の専門家として活躍した人のようです。米国での演奏旅行中に第二次大戦が勃発、主たる活躍の場を母国ブラジルに移しますが、間もなくヨーロッパでの活動を再開、パリ音楽院で指導すると共に、母国に財団を設立して若い音楽家の育成にも力を入れたとのことでした。
このうち、サン=サーンスの協奏曲が1953年のモノラル録音、ファリャとアルベニスの3曲、それにヴィラ・ロボスのピアノ独奏曲が1960年のステレオ録音、作曲者ヴィラ・ロボス自身が指揮をした「カーニバルの道化師」が1951年のモノラル録音、最後のシャブリエ、セヴラク、ドビュッシーが1968年のステレオ録音だそうです。
さすがにモノラル録音は時代を感じますが、意外なほどシャキッとした演奏で、しかも緩徐楽章は味わいがあります。スペイン音楽のほうは低音がボヤけ気味の音でしたが、演奏はリズムの切れ味が良く、最後のフランス近代のピアノ曲は録音もだいぶ鮮明で、感覚的な楽しみも満たされるというものです。いや、むしろ若い頃に廉価盤LPレコードで楽しんだ録音でしたので、格別に印象深く受け止めました。
YouTube に、彼女の演奏するフォーレの夜想曲がありました。
MAGDA TAGLIAFERRO playing Fauré Nocturne n.4 op.36
もうひとつ、実際の演奏の姿が映像として見られます。すごく姿勢が良くて、堂々としています。
Magda Tagliaferro plays Falla - Danza No.1 from "La vida breve"
最後に、92歳のときのドビュッシーの演奏。
MAGDA TAGLIAFERRO playing DEBUSSY POISSON D´OR ( LIVE! 92 y old)
昔、若い頃にLPレコードで親しんだ1970年代前半には、まだ70代で80歳にはなっていなかったのですね。当時は詳しく知ることもできなかった演奏家のことを知ることができ、また実際に様々な演奏に接することができるのですから、時代は変わったことを痛感させられます。
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