電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響サンクスコンサートでベートーヴェン、J.シュトラウスII世の音楽を聴く

2022年03月18日 06時00分53秒 | -オーケストラ
突然の地震のため、一日遅れとなった記事です。16日の午前中にサクランボ果樹園の剪定をして庭木の雪囲いを一部外し、午後は老母の通院の付き添い、夕方から山響サンクスコンサート2022に出かけました。サンクスコンサートというのは、天童市に工場を構える日新製薬が企業メセナの一環として地元オーケストラ山形交響楽団の演奏会を開催し、これに希望者を無料招待するというものです。2016年、2017年、2018年と続けて参加できましたが、ここ数年はコロナ禍もありチャンスがありませんでした。今年は山響の定期演奏会でチラシを入手し、往復はがきで申し込んで聴くことができたものです。開演前の主催者挨拶で、西濱事務局長の紹介で登場した日新製薬の会長さんは、昨今のウクライナ情勢から音楽の共感へと話題をつなぎ、なかなか硬派の挨拶。

今回のプログラムは、休憩をはさんで前半がベートーヴェンの交響曲第7番、後半がJ.シュトラウスII世の「名曲の花束」というものです。



天童市民文化会館のステージには、左から第1ヴァイオリン(8)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)、第2ヴァイオリン(8)、左後方にコントラバス(3)というふうに、対抗配置の弦楽セクションが並び、正面後方にフルート(2)、オーボエ(2)、その奥にクラリネット(2)、ファゴット(2)、さらにその奥にホルン(2)、トランペット(2)、ティンパニという二管編成。もちろん、ホルンとトランペットはバルブのないナチュラル・タイプでティンパニもバロック・ティンパニを用い、弦もヴィブラートを多用しない古楽奏法を取り入れたものという具合に、作曲当時の時代考証を踏まえたものになっているというあたりが山響の独自性と言えます。

団員の皆さんは黒のスーツ又はドレスで、男性はそれぞれの色のネクタイを締めて、いつもの定期演奏会よりはフォーマルでない雰囲気です。コンサートマスター席には犬伏亜里さんが座り、指揮は常任指揮者の阪哲朗さんです。管楽器奏者はノーマスクでしたが、弦楽器奏者はみなさん白または黒などのマスクをしての演奏。このあたりも、コロナ禍の中でいたって普通の風景になりました。

前半のベートーヴェン「交響曲第7番」イ長調Op.92は、作曲者41歳のときの作品だそうですが、最近は「のだめカンタービレ」のテーマ曲としておなじみの曲です。やわらかい優雅さを持ちながら、活力と推進力を持った音楽を楽しみました。

後半のJ.シュトラウスII世の音楽は、トロンボーン(3)とハープが加わり、ティンパニも現代ティンパニに代わります。また、ステージ右側にパーカッションがずらりと並び、華やかさ、にぎやかさを添えます。
演奏は、いかにも幕開けにふさわしい、喜歌劇「こうもり」序曲からです。続いて愉しいポルカ・シュネル「チクタク・ポルカ」。舞台裏での「ティクタク」の声は、ステージマネージャーの南條さんだそうです(^o^)/good job

恒例の「指揮者に挑戦!」は、ビゼーの「カルメン」第1組曲より「闘牛士の行進」です。1人目、9歳の小さな男の子は、恥ずかしそうにゆっくりとしたテンポで指揮棒を振り、オーケストラはそのテンポにきっちりと合わせて「闘牛士というよりは牛の行進」を完奏しました。さすがプロ(^o^)/
2人目は年代不詳の女性の方で、こちらも最後にテンポを追い込んで盛り上げますが、オーケストラはきっちりと合わせて演奏(^o^)/ この女性にはきっとすごくいい記念になったのではないでしょうか。

J.シュトラウスの音楽は、ワルツ「春の声」、ポルカ・シュネル「狩り」と続きます。「狩り」では最後に銃声が見せ場となりますが、ステージマネージャーの南條さんたちがピストルを撃ち、そのタイミングがぴったりでした!
最後に、トロンボーン(2)が退いてテューバが加わり、ワルツ「美しき青きドナウ」を演奏します。曲の紹介で西濱事務局長は「天童市で言えば倉津川」と紹介していましたが、いえいえ、天童市は乱川と立谷川に挟まれた扇状地に成立しており、温泉街を流れる小さな川が倉津川ですので、「美しき青きドナウ」をイメージするにはやはり最上川でしょうね〜(^o^)/ しかし、いつ、何度聴いてもこの曲、ステキな音楽ですね〜(^o^)/

トロンボーン(2)が再び加わり、最後はみんなで「ラデツキー行進曲」で締めました。いや〜、今年も楽しかった。ヤンネさんや矢口さん、倉田さんなど、黒マスク組はオシャレに決まっていましたし、ウィーンフィルのニューイヤー・コンサートは実際はリアルタイムでなくて15分遅れで放送しているとか、今年、阪さんが振ったNHKニューイヤー・オペラコンサート(*1)は実際にリアルタイムの生放送だとか、舞台裏の話も興味深いものがありました。企業メセナで始まったであろう演奏会も回を重ねてすっかり定着したようで、聴衆のマナーもずいぶん成熟したものになってきていました。

(*1): 「ニューイヤー・オペラコンサート2022」を観る〜「電網郊外散歩道」2022年1月


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