(琉球新報 2015年8月10日)
独国民、ヒトラーと”共犯”に!の見出しが強烈ですね。
ヒトラーの政権下1933年から39年までの6年間、ドイツでもっともうまくいっていた時代だという。そして魔の1940年だろうか?ナショナリズムが高揚し、残虐な侵略と虐殺がはじまったのでした。沈黙して見て見ぬふりをした大勢のサイレント・マジョリティーがいた!のですね。
イオネスコの不条理劇「授業」が念頭に浮かびます。あの作品もまたサイレントマジョリティを暗に描いています。表は知識人=権力=宗教による殺害(純粋な女子学生)だが、召使はそれを是認していますね。繰り返される強姦と殺人です。人類史を見据えると、「恐ろしい」ということになります。しかし日常では、リストラで株が上がるように、どの組織でもトカゲのしっぽを切って首脳陣がほくそ笑む構図があるように、組織の中でぬくぬく温存された生、はじかれる生、エロス/タナトス、生存競争&弱肉強食&適者生存の物語は、多彩に、身近の善人、教養人がサドの顔をすまして隠しているのも事実のこの明るい世、でもあるのですね。何百万人も殺せるシステムが恐ろしい。理性と人道的な感性をもっているはずの多くの人間がまた沈黙して、牙をむきだしていたのだから、んんん、天女と夜叉?サドの集団?善人と悪人、天国と地獄、楽観と無関心、存在は政治そのもの、実存はこの地球の宇宙の総体とからみあって、この小さな島の劇場でもかなたとつながっているのです。
鞭を振って破壊に突き進むリーダーと共犯者になることを拒否することができなかったドイツ国民なんですね。日本もまた麗しい幻想と一体≪共犯≫になっていったのでしょうか?あの暴風雨≪修羅≫の中を生き延びてきた方々の声をもっと聴きたいものです。