メディア戦略、大衆戦略、政府はうまくやってのけているということですね。民意を大事に、国の戦略に取り込まれない沖縄県知事の選択が狭まれています。世論はムードで情緒的に動くのですね。ちょっとした見せかけの「やさしさ」「そぶり」に簡単に騙される私たちです。
其の点、山本太郎さんの国会での追及は正面から世界の帝国アメリカ追従の日本を追求していますね。アメリカのシナリオを演じる日本政府(首脳)、それが世界のサバイバルゲームさ、と言いたげです。しかし、イラク問題を追及した山本太郎は「世界の良識」に根ざしています。来る未来からの眼差しが必要なんですね。弱肉強食、適者生存が貫かれている人類史・地球史です。されど、よりよき良識の在り処、その実現としての地球社会が求められています。
安倍内閣の支持率はなぜ「回復」したのか
世論調査の安倍内閣支持率に変化が見られます。(カッコは前回)
◎ NHK(8月7~9日実施)・・・ 支持 37%(41%) 不支持 46%(43%)
◎ 毎日新聞(8月8、9日実施)・・・ 支持 32%(35%) 不支持 49%(51%)
◎ 共同通信(8月14、15日実施)・・・支持 43・2%(37・7%)不支持46・4%(51・6%)
◎ 読売新聞(8月15,16日実施)・・・ 支持 45%(43%) 不支持45%(49%)
NHKと毎日の調査では安倍内閣の支持率は前回よりもさらに低下し(NHKは不支持がさらに上昇)、共同と読売は支持が前回より上昇し、不支持が低下しています。共同と読売を見る限り、安倍内閣の支持率は「回復」しつつあるようにみえます。
NHK、毎日と、共同、読売で逆の結果になっているのはなぜでしょうか。
その違いは、調査実施日です。NHK、毎日が8月9日までの調査で、共同、読売は14日以降の調査です。つまり9日~14日の5日間に支持率に変化が生じたと推測できます。この5日間にいったい何があったのでしょうか。
①川内原発再稼働(11日)、②沖縄沖米艦船に米軍ヘリ墜落(12日)、③「戦後70年安倍談話発表」(14日)
①と②はどうみても支持率にはマイナス要因です。③は共同の調査で44・2%が「評価」(「評価しない」37・0%)という信じがたい結果がでていますからプラス要因になったことは考えられます。しかしそれにしても、③だけで①②のマイナス(他にも側近たちの妄言などマイナス要因は多々あります)をカバーしさらに支持率を上げることができるでしょうか。
ここで忘れてならないのが、この間にあったもう1つの重要な出来事です。それは、菅官房長官と翁長沖縄県知事の「会談」です(写真中、NHKより)
安倍政権と翁長氏の間で、「辺野古工事中断」と「埋立承認取消の棚上げ」をバーターし、「1カ月集中協議」することにした、その1回目の会談です。
支持率がなぜ「回復」したのか、共同も読売も直接言及はしていません。ただ、共同の調査で、「安保関連法案」(戦争法案)の今国会成立についての賛否が、賛成29・2%(前回24・6%)、反対62・4%(同68・2%)で引き続き反対が圧倒的に多いものの、賛成の割合が増え、反対の割合が減っていることが気になります。「安保法案」つまり安倍政権の「安保(戦争)政策」に対する批判が減少していると言えなくもありません。
翁長氏は12日の会談でも、また18日の第2回協議でも、「安保法案」には一言も触れていません。それどころか、リアルタイムで起こった米軍ヘリ墜落に対しても、「同機種の飛行停止」すら求めていません(県議会は19日に全会一致で決議)。治外法権の根源である日米地位協定の抜本的見直しも求めていません。
「集中協議」で翁長氏は、沖縄の基地の「歴史」や「抑止力」については論じても、安倍政権の安保(戦争)政策については何一つ正面から批判していないのです。
そうした中で、沖縄の声を聞く「傾聴演出」(19日付沖縄タイムス)の「集中協議」が粛々と進行していることが、安倍政権への批判を緩め、支持率「回復」に作用していると考えるのは的外れでしょうか。
この「集中協議」には、「支持率低迷に手を焼く安倍政権が、辺野古新基地建設では、作業中断、集中協議で『沖縄に向き合う姿勢』を浸透させる狙い」(19日付沖縄タイムス)があります。「沖縄との協議に応じる政府の腹には、常に『国内世論対策』が渦巻いている」(同)のです。
支持率「回復」の調査結果は、「集中協議」にかけた安倍政権の狙いが的中しつつあることを示していると言えるのではないでしょうか。
安倍政権を助ける「集中協議」は即刻中止し、翁長氏は「辺野古埋立承認取り消し」の公約を直ちに実行すべきです。