志情(しなさき)の海へ

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2012年、観たいと思っていて実は観ていなかったCooco主演映画『KOTOKO』がアマゾン・プライムで観れた!素の迫力に圧倒された!リストカットなど、観るのはつらかったが~!

2024-02-04 00:53:37 | 映画
パニック障害、リストカット、拒食症など、実際にCoccoさんが潜り抜けてきた人生そのものが作詞作曲した歌に表象され、そして生身で演じていくという、凄まじい映画だった。
 少女のリストカットは実際、この家に一時避難してきたような少女のリストカットの傷跡を見て知った。生きているという実感を得るために自らの手首を剃刀で切った痕は信じられなかったけれど本当だった。自傷行為の原因は学校での教師によるパワハラのようだった。剣道もしていた少女が精神的に追いつめられていったことがうかがわれた。
 映像の中のリストカットは生々しく、赤い血が眼を背けさせる。生きるとは、生身の血を流すほどの熾烈さをたたえている。実際の血が流れるだけではなく、精神が血を流している。それは多少の差があろうけれど、生きるとは、身体や精神から血を流していることを意味するのかもしれないと、思ってしまった。
 凄い映像だった。繰り返し観たいとは思わない凄さだ。血が鮮烈でグロテスクで、眼を背けさせた。しかし、心の葛藤、精神のカオスのような虚構とリアルの峡間でたたずむ一人の女性の姿は痛ましく、他所事にも思えなかった。
 生きるとは痛い。痛い、痛いと叫んでもその痛みを分かちあえる誰かがいない時、苦しいに違いない。塚本晋也が演じた田中という作家の姿も痛ましかった。
男性の手の甲にフォークを突き刺す琴子である。男性を殺傷してしまう行為はサデイズムとマゾヒズムの極致がなせるものなのか。脅迫観念、怯え、不安、恐怖感、物事が、人間が二重に見えてしまう錯乱から来るのか。人間の心や精神の深い迷路、闇が照らされているような映像だった。
 パニック症状の知人がいた。演技性パーソナリティ障害 にも見えた。自ら物語の主人公を演じるのだが、作った虚構が独り歩きして、それが語られていた。
 素の姿で(化粧などしていない顔に見えた)、拒食症の姿で、演じ歌うCoccoの役者としての、歌手としてのこれは凄みとしかいいようがない、映像に、息子を守ろうとする姿は、追いつめられた母親の姿でもあった。
 追いつめられる母親たちがいる。
「月ぬ美しや」などの八重山民謡、Coccoの「のの様」「W/out u」「Lollypop」などの歌が良かった。アーティストの深層をえぐっているような作品にも見えた。人はそれぞれに内に秘められた闇と光を持って存在する。そのバランスはそれぞれの領域だ。闇が照らされても闇になるのか。光を闇は襲うのか、満月も雲に隠れると見えなくなる。雨雲だと辺りは暗くなる。月の満ち欠けと同様、人の心も、身体も満ちたり欠けたりしているのかもしれない。
 
上のサイトで紹介された中身です。転載です。
KOTOKO(2011年製作の映画)
上映日:2012年04月07日製作国:日本上映時間:91分
ジャンル:ドラマ
3.5
あらすじ
愛する息子を守ろうとするあまり、現実と虚構のバランスを崩していく女性の慟哭と再生の物語。 琴子(Cocco)はひとり、幼い息子・大二郎を育てている。彼女には世界が“ふたつ”に見え、油断すると命にかかわる日々。だから琴子はいつも気が許せない。どんどん神経が過敏になっていく。大二郎に近づいてくるものを殴り、蹴り倒し、必死に子供を守ろうとする。彼女の世界が“ひとつ”になるのは歌っているときだけだ。小さな体をまるごと琴子に預けてくる大二郎。大二郎の喜ぶことはなんでもする。お手製の玩具を作る。散歩に連れていく。でも大二郎は激しく泣き続けるばかり。外に出る、高い所に立つ。もしも抱いている手を離してしまったら?強迫観念が琴子を追い詰める。ついには幼児虐待を疑われ、大二郎は遠く離れた彼女の姉のもとに。琴子は自分の体を切ることで、確認しようとする。「存在していいか」と。体は「生きろ」と言う。姉から連絡がくる。大二郎に会うために沖縄へ向かうリムジンバスの中で、歌をくちずさむ琴子。車内には彼女を見つめるひとりの男。沖縄の自然の中、大二郎はすくすく育っていた。家族の中で笑顔を取り戻す琴子。しかし貴重な時間は短い。彼女は再び大二郎と別れ、東京へ。ひとりで毎日を過ごす琴子に、小説家の田中(塚本晋也)が近づいてくる。バスの中で聞いた琴子の歌声に魅了されたという彼を、彼女は暴力で遠ざける。田中は傷だらけになりながらもやってくる。ついには結婚指輪を携えてきた。自分では答えを出せない琴子は、田中とふたりで大二郎のいる沖縄を訪れる。沖縄で、田中とともに穏やかに眠る大二郎を見て、琴子は心を決める「私は幸せになる」。しかし琴子に、憎しみと恐怖の遠い記憶が甦る。一緒に暮らし始めた田中を縛り上げ、ボコボコにする琴子。制御のきかない自分を恐れ、暴れる彼女に、田中は「大丈夫です、大丈夫です」と繰り返し、血まみれの体で抱きしめる。「あなたを好きで居続けるってのが仕事だったらいいのにな」。琴子は、これまでずっとひとりで歌ってきた歌を田中に捧げる。世界はひとつになった、と感じた途端・・・。

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