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ヨハン セバスティアンバッハを聴きながらやっと『人新世の「資本論』』を読み終えた!

2021-03-13 08:55:09 | 書評
取り寄せて読まずにいた評判の本を読み終えた。「SDGsは現代のアヘンである』に衝撃を受けたが、なるほどだった。資本主義の超克のことばが言われてきたが、その可能性が見えた気がした。備忘録としてメモのつもりで書き留めておきたい。中身は豊かで手元に置いて読み返したい。
偉大なるヨハン セバスティアンバッハ


上野千鶴子さんの「みんなで貧しくなりましょう」の発言に批判の目が集中していて、YouTuberの方の発言でも外車を乗り回し、恩恵を受けている逃げ恥世代だと揶揄されていた。しかしこの著書を読むと、上野さんの発言の根拠もなるほどに思えた。資本主義が限りなく利潤を追求する「価値を絶えず増やしていく」終わりなき運動であるかぎり、つまり世界中の労働力や資源を利用し、新しい市場を開拓し、僅かなビジネスチャンスも見逃さないシステムが世界を覆い尽くしているかぎり、地球惑星の資源が枯渇し、自ずと破滅が目の前にある、ということが事実ならば、斎藤幸平さんの鋭い新しいマルクスの「資本論」、正確には晩年の氏の論稿を再解読・評価した視点から現況の資本主義の陥穽(1%対99%の格差構造)を克服するためのこのビジョンは可能性への希望が見えてくる。

昨今のコロナパンデミックで富を62兆円も倍増させたアメリカのスーバーリッチ階層やGAFAなどのIT帝国の問題も含め、一方でアメリカのドタバタ選挙騒動(この中ではトランプ的MAGAはClimate changeにも反の立場ゆえに否定的)には触れることなく、資本主義の超克(脱成長コミュニズム)を掘り進めて論を展開している。

Climate Justice気候正義がコアになっている。2100年までに4度以上気温が上昇する地球の壊滅的なビジョンがある。← しかし気候変動、二酸化炭素と温暖化が実際の科学的データに基づいているのか、曖昧な点もある。欧米の思潮に呑み込まれた思想ではないのか、という点もいなめない。すでに人工的に気象変動がなしえる現代の科学・軍事技術がある。

それを解決するために、今要求されていることが問われている。SDGsは、現代の限りなく欲望を希求する、「特に1%によって好き勝手に地球規模の法律を改変し、彼らの価値基準によって社会や国の仕組みが変えられていく」グローバル資本の元では不可能ということになる。

コモンズの運動、相互扶助、共同体、共同する様々な運動体が重要だと指摘している。生産の場における協働、市民レヴェルで労働管理する経営。食や農の問題。エッセシャルワーカーの重要性などなど。現在から未来に生きるための指針が散りばめられている。

どのように現況を変革させていくか、ローカルにグローバルに、その可能性がありそうだが、今UPしていたYouTubeのDemocracy Now!ではノーベル賞受賞者のVandana Shivaさんがビル・ゲイツを批判している。「キャッシュ社会のインドをキャッシュレスのデジタルキャッシュに変えようとしている。慈善資本主義でインドを搾取してるとの告白である。GMOと協力してゲイツがインドの農民を搾取している。BIG Tech カンパニーなどのCEOが50億の人々の収入と匹敵する収益を得ている。」

 どうもこれは2年前の動画だが、この斎藤さんの著書の中にビル・ゲイツの名前が一回だけ登場する。ポジティブに言及されている。←斎藤さんの視点も注意深く見据える必要があるようだ。

若い頃読んだマルクスの共産党宣言やドイツ・イデオロギーなどは確かに唯物論で楽観的進歩史観だと思った。しかし、資本主義の限界が問われて久しい。社会のシステムの大胆な変革が問われているようだ。いかに?その実践的な方向性もこの著書は示唆していると思える。主人公は私達一人一人でいかに持続可能な地球、社会環境、民主主義を維持していくか問われている。

革命的なコミュニズム、脱成長コミュニズムとは?都市農業や共同組合など具体的な事例も紹介されている。グローバルサウスを搾取して成り立っている事実があり、グローバルサウスから学ぶことが多い。
脱成長コミュニズムについて第7章で詳しく展開している。
①使用価値経済への転換
②労働時間の短縮
③画一的な分業の廃止
④生産過程の民主化
⑤エッセンシャル・ワークの重視

アメリカの若者たちは資本主義より社会主義がいいと昨今のアンケートに答えている。かといってアメリカの2020年の選挙不正は、行き過ぎた不正だったと思う。民主党が州法を改正させてまで政権を勝ち取ろうとした激しい執念は凄いが、地球惑星の未来を見据えてのトランプ政権のMAGAへの反発があったのだろうけれど、システムの改ざんや不正は志を後退させるのではないだろうか。トップダウンで急速にアメリカ社会を社会主義の方向に転換させる意図が働いているのだろうか?

 この著書の中では経済と社会の動向は扱っているが、具体的な科学技術や軍事問題などは取り上げていない。グローバル無国籍企業が国家を超えている動向やAI・IT/監視社会の動向も視野に置いていない。しかし。暗示はしている。気候ファシズムと気候毛沢東主義がアメリカと中国を象徴しているように~。そのどちらでもない方向性が示されている。さて日本はどこへ向かっているのだろうか?

そして沖縄は、日本の中のグローバルサウスだろうか。沖縄に押し付けられたものを斎藤幸平さんはどう認識しているのだろうか。



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