志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

「美ら島」は現在に至る沖縄のリアリティーを浮き彫りにするいい戯曲、舞台だね!

2019-10-28 00:06:50 | 沖縄演劇

 

 

 

 

https://blog.goo.ne.jp/teyata/e/f248de1733f33aa21dcbec82be5354be←石油タンク基地について!CTS闘争は30年前のことになった。

一部、二部で二時間の二人芝居だが、ライブのミニ・オーケストラとチアキの歌が情感を高める。島と石油備蓄基地、海中道路、島の神女、ノロ(?)の東城カミィと町役場の臨時職員政吉の二人芝居は、CTS闘争からすでに30年以上になる現在に至っても、褪せることのない沖縄のリアリティー、重さがドスンとやって来た。

以前平良トミサさんの舞台を見たが、すっかり頭から記憶が消えつつあって、びっくり!激しいCTS闘争があった。孤島苦と海中道路の利便と失ったもの。石油タンク基地と島から飛び出した多くの島人たち。開発と島の利害がもたらしたものは大きい!

カミィは新城カメー、正吉は栗野史浩、舞台は丸い台と一本の棒(ポール)が立っている。舞台下手にデイゴの木を暗示する一本のポール。丸い台の後ろの方には小さな位牌。小さなテーブルが真ん中にある。

新城カメーは自然な演技に見えた。台詞が滑らかに流れないところがあったが、天然に見える雰囲気でおよそ二時間、島の神女として、戦中から戦後にいたる島の物語を若者を相手に、すでに亡霊になった夫や息子たち相手に語りかけた。歌が物語に味付けをする。しかし大和口の正吉はどう聞いてもうちなーの青年の語りには聞えてこない。時に大和口とうちなーの青年がかぶさるような点も感じられたが、しかし、やはりうちなーの若者ではない。それが違和感をもたらした。それは変わらなかった。役者の実績を踏んだ栗野さんは、笑いも引き起こしていた。しかし、沖縄ニーセーには聞えない。

カメーさんの天然に見える演技は、ある面抑揚がなかった。それが、一部はまだいいとしても、二部は中身が重たいゆえに、語りの対象の多様さに対する変化をもっと見せてほしかった。二部にいたって「重い」と感じた。しかし筋立ては「戯曲」として疾走感があり、町の役所の若者が島に一人残ったオバーを息子の銅像の序幕式(石油基地を誘致し、海中道路を作らせることになった功績ゆえ名誉町民第一号)に連れ出すという筋書き、実はそれは一人島に残った頑固なオバーを施設に入院させるというもくろみである。役所の若者が島で頑固に生活するカミィを迎えに来て、序幕式(施設)に向かう道行の間に、戦時中の悲惨な出来事(ハワイ帰りの弟がスパイ容疑で島民に殺される)や若者の島を出てからの大阪東京にいたる集団就職や、挫折を聞きだす。戦中の出来事は島コミュニティーの残虐さも晒す。島民が海中道路を皆で懸命に海中の石を掘り起こして作ろうとしたことなど、台風で流されたこと、そして死んだ夫や戦争で防衛兵に徴兵された障害のあった息子の事、島民が心から願った海中道路ができたものの、交通事故で死んだ松男だった。カミィは死者の霊に取り囲まれているのだ。

序幕式の前で死んだ霊が現れる。霊との交流を通してカミィは施設に行くことなく、島に残る決意をする。序幕式の花火を遠くに見て。そして役所の若者に歩いて戻ると言い放つ。島で祈るのが神女の任務なんだ。

それにしてもカミィの家族に象徴される物語(戦時中の弟の悲惨さ、障害を持つ息子の戦争犠牲、海中道路の夢を達成させた息子の事故死)が悲劇に包まれている。島のデイゴの赤い花が象徴的に悲劇のイメージを押し広げる。死んだ者たちの霊を運んでくるのは海鳥たちである。悲しみは海が流し、引き取ってくれる。歌は、カミィの闘いの同行者。

自ら歌い、踊る。戯曲の中の一人芝居(スーヤぬパーパー)が別のものに変わったのは残念。またツラネが割愛されたのもちょっと残念だった。チアキの歌が澄んで流れる。民謡は「だんじゅかりゆし」で情歌は流れない。演出家が藤井ごうさんゆえか、詩劇のよさを見せながらどこか、島の根の色愛は消される。

正吉のボクシングの経験の語りにはあえて具志堅用高の固有名詞を入れるのは、分かりやすくでインパクトがあったが、戯曲にはない。テキストレジーである。それはそれでいいと思えたがー。

島チャビを生きることの大変さと、カミイおばーの頑固さ、悲哀《悲劇の物語》を飲み込んだ島の主のような魂がある。その魂にエールを送りたい。何回も上演を繰り返す中でカメーさんはカミィ《島魂》になっていくのだろう。

 

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