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【東アジア共同体研究所(EACI) News Weekly Vol.0021「沖縄戦-生存者からの聞き取り」」】

2015-05-29 23:23:15 | 沖縄の過去・現在・未来

【東アジア共同体研究所(EACI) News Weekly Vol.0021「沖縄戦-生存者からの聞き取り」」】

 
 
 

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16:50 (6 時間前)
 
 
 
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      EACI News Weekly  第21号(5月29日号)
  東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
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【目次】

【1】《今週のニュース 5/23-5/29》
 政治(2)、経済(2)、国際(2)、社会(2)

【2】《UIチャンネル放送予告 No.105》
6月1日(月)20時 鳩山友紀夫×高野孟対談
http://live.nicovideo.jp/watch/lv222564199

【3-1】《EACIレポート─その1─》
6月6日(土)東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター主催シンポジウム「やんばるから平和の発信を」開催!

【3-2】《EACIレポート─その2─》
6月7日(日)東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター主催
「元総理と語る会」開催!

【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「沖縄戦-生存者からの聞き取り」

【5】《連載》検証・フテンマ(琉球新報より)
 第3部 揺らぐ「承認」 vol.21 「焦る国」

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【1】《今週のニュース 5/16-5/22》
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【政治】
■「他国で戦わず」崩れる 安保法案審議 首相ら否定せず
(東京新聞 2015.5.28)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015052802000139.html

■安保論戦:重要影響事態 「経済」のみで判断せず
(毎日新聞 2015.5.29)
http://mainichi.jp/select/news/20150529k0000m010178000c.html

【経済】
■TPP 難航分野なお課題 首席交渉官会合が閉幕
(日本農業新聞 2015.5.29)
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=33483

■TPP実現へ重大な責任を負う米議会
(日経新聞 2015.5.25)
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO87225230V20C15A5PE8000/

【国際】
■シャーツ米上院議員「全力で協力したい」 辺野古阻止要請に
(琉球新報 2015.5.29)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-243552-storytopic-271.html

■漂流するロヒンギャ族難民、密航業者とミャンマー軍に癒着疑惑も
(ロイター 2015.5.27)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OB2P020150526#1

【社会】
■鹿児島・口永良部島で爆発的噴火 全島約140人避難指示
(共同通信 2015.5.29)
http://www.47news.jp/CN/201505/CN2015052901001159.html

■インド、熱波で560人死亡 南、東部
(共同通信 2015.5.25)
http://www.47news.jp/CN/201505/CN2015052501002130.html
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【2】《UIチャンネル放送予告 No.105》
6月1日(月)20時 鳩山友紀夫×高野孟対談
http://live.nicovideo.jp/watch/lv222564199
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第105回目となります、6月1日(月)20時からのUIチャンネル放送は鳩山友紀夫×高野孟対談「翁長知事訪米の意味」をお送り致します。
米軍普天間飛行場の早期返還と名護市辺野古の新基地建設反対などに対する沖縄の民意、さらにはその民意への共感が全国的な広がりを急速に強めている現状を直接訴えるため、5月27日から6月5日までの日程で訪米する翁長雄志沖縄県知事。その最新動向をお送り致します。

■6月1日(月)20時 鳩山友紀夫×高野孟対談
http://live.nicovideo.jp/watch/lv222564199

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【3-1】《EACIレポート─その1─》
6月6日(土)東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター主催シンポジウム「やんばるから平和の発信を」開催!
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6月6日(土)15時より名護市民会館にて東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター主催
シンポジウム「やんばるから平和の発信を」を開催致します。
詳細はコチラから→https://goo.gl/L5I5GY

日 時:2015年6月6日 (金) 15:00~17:15(開場:14:30)

場 所:名護市民会館(大ホール)
〒905-0014 沖縄県名護市港2-1-1
    TEL.:0980-53-5427
http://www.city.nago.okinawa.jp/8/7141.html

参加費:無料

主 催:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター

お問合先:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター
     TEL:098-963-8885 E-mail:info-oki@eaci.or.jp

■講演内容等
(1)     挨拶
       稲嶺 進氏(名護市長)

(2)     基調講演
       鳩山由紀夫氏(東アジア共同体研究所理事長)
       「沖縄を東アジアの拠点・平和の要石に」

(3)     パネルディスカッション:

      「訪米報告」糸数慶子氏(参議院議員)
      「辺野古現場報告」安次富浩氏(ヘリ基地反対協共同代表)
      「北部の振興・名護の未来」岸本洋平氏(名護市議会議員)
      「東アジア情勢の中の沖縄」高野孟氏(ジャーナリスト)

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【3-2】《EACIレポート─その2─》
 6月7日(日)東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター主催
「元総理と語る会」開催!
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6月7日(日)10時より健康文化村フェストーネにて(宜野湾市真志喜3-28-1)、沖縄県内の高校生を対象に「元総理と語る会-沖縄の可能性、きみたちの可能性-」(主催:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター)を開催致します。
※席に余裕がありましたら、大学生、専門学生も参加可能です。
詳細はコチラから→https://goo.gl/RE2LJF

日 時:2015年6月7日 (日) 10:00~12:15(開場:9:30)

場 所:健康文化村フェストーネ(定員60名)
〒901-2224 沖縄県宜野湾市真志喜3-28番1号
TEL.:098-898-1212
http://festone.jp/content/view/21/36/

参加費:無料

主 催:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター

申込方法:メール、FAXまたはお電話にて下記事項を添えてお申込み下さい。
     1.住所・氏名(ふりがな)・学校名
     2.連絡先

申込先:一般財団法人東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター
    那覇市久茂地1-2-3 パレットパーキングビル2F-B
    電話:098-963-8885   FAX:098-963-7858
    E-mail:info-oki@eaci.or.jp
   ※希望者多数の場合は抽選になりますので、ご了承ください。

■講演内容等
(1)基調講演
    鳩山由紀夫氏(第93代内閣総理大臣)
    「沖縄の可能性、きみたちの可能性」

(2)質疑応答、学生たちとのフリートーク

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【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「沖縄戦-生存者からの聞き取り」
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沖縄戦―生存者からの聴き取り
「ちぎれた手足が飛んできよったよ。道は死体でいっぱい。みなさん死体見たことあるね。
死んでしばらくしたら膨れて、真っ黒になって大変よ。何万人も道端にころがって、思い出したら夜も眠れなくなる。だから私は87歳までこんな話はしなかった。」
こう語るのは糸満市米須に住む93歳の久保田千代子さん。戦争中は教員をしていた。終戦の時は23歳。我々ピースウォーキングの参加メンバーのために戦争体験を話してくれた。ずっと立ったままだ。さすが元教員、時々こちらに質問を投げかけながら「戦争体験の話」が進行する。最初は90歳過ぎた女性と聞いて、果たしてちゃんとした話が聴けるか、と懸念した。声だけ聞いていると30歳くらい若いような感じだ。

沖縄戦の生き残りは少なくなっている。戦後70年企画~上陸地点から摩文仁までを歩く「沖縄戦ピースウォーキング」は、沖縄戦を知る大変良い試みだ。70年前の4月1日の米軍の沖縄本島上陸から日本軍の組織的抵抗が終了する6月23日まで、4回にわたってかつての激戦地をほぼ同じ時期に同じ場所を歩く。現場で生死をさまよった生き残りの人々に話を聞く。幸いにして現地を歩く4回の行動すべてに日程を合わせることが出来た。今回は3回目。ピースウォーキングは既に21回目。配布資料を紹介しよう。

戦後70年企画~上陸地点から摩文仁までを歩く3
沖縄戦を知るピースウォーキング Part21
地獄の戦場、糸満市真壁~米須
首里の司令部壕を壊滅させた米軍は破竹の勢いで沖縄本島を南下し、喜屋武半島を猛烈に攻撃します。火炎放射、艦砲射撃、戦車、手榴弾などで、あらゆるものが破壊され焼き尽くされる「鉄の暴風」です。住民は日本兵とガマで共生を余儀なくされ、それがさらなる悲劇を生みました。戦後、沖縄市には「一家全滅の屋敷」跡が多く残されました。長年、その戦跡を撮り続けてきた報道写真家大城弘明さんに米須集落を案内してもらい、戦争体験者の証言を聞きます。

朝8時。雨の中、自転車をこぎ出す。那覇市長田の自宅から糸満まで1時間くらいで行けるか?雨は予想以上に激しい。上下のビニールのレインコートを着けているが、上が小さすぎボタンが外れて腹が出てしまう。途中のコンビニでレインポンチョを買う。おにぎりと豚汁で朝食。既に8時半。集合時間は8時45分だ。到着はいったい何時になるのか。雨の中ひたすら自転車をこぐ。この道は日本軍の敗走ルートとほぼ同じ。軍隊以上に一般の住民が南へ南へとたどって十万人の死者を出した地獄の街道だ。
途中の交差点に大きく横断幕が貼ってあるのを見つけた。
「翁長知事 驚きのホンネ暴露!!」
「米軍を撤退させ沖縄を「中国領」にする」
翁長知事へスピリチュアル・インタビュー
スピリチュアル・インタビュー?つまりはデッチ上げ。「幸福の科学」のデマ攻撃だ。前にも記したがここの街宣車が県知事選前に「こちらは中国共産党友の会です」と触れ回っていた。ところがいつもと同じ男性なので聞いている人にはわかってしまう。どこも人材不足のようだが、翁長氏攻撃と中国共産党友の会が同じ人間の声ではバレバレではないか。

糸満市に入ったのが9時半、ひめゆりの塔、米須の方向へ自転車を走らせる。9時40分に道路の端を歩いている集団を見つけた。約60人。主催者によれば雨にもかかわらずほとんどキャンセルが出なかったという。
米須小学校着、9時55分。校内に入って右手へ上がってゆくと藪の中に鎮魂の塔がある。米須区民275世帯1253人のうち648人が死亡。半分の方々が亡くなっている。4分の1が一家全滅。この塔は有志が作った。28家族(71人)の屋号と名前だけが記されている。碑文はない。塔の後ろにウムニーガマ(壕)がある。人が一人通れるくらいの穴しかない。

米須小学校から道路を隔てたところに忠霊の塔。アガリンガマの上に建てられている。日本兵が米軍に反撃したため、ガソリンが半分くらい入ったドラム缶やガス弾を投げ入れられ、壕の入り口は重機で塞がれた。50家族159人が死亡。生き残ったのはたった一人、10歳の少女だけ。当時4歳だった(現在74歳)久保田宏さんに話を聞いた。塔に向かう前にちょっと話をした。「おびえてましたよ」と何度も言われたのが耳に残っている。塔の前に立つと緊張している。60人もの前で話をするのは初めてらしい。
「当時は4歳と8か月でした。糸満高校を出てからブラジルへ12年行ってました。子供3人はブラジル2世です。店をやってましたが今はそれもやめて農業です。」
この塔は当時の壕の上に建っている。作る時も子供だったので全然興味がなかったらしい。ブラジル行きも戦争の記憶から逃れたかったからだろう。
「6月19日、母が炊事のために壕から出て行きました。砲撃されて亡くなりました。」
しばらく話が途切れる。嗚咽しながら続く。
「母は溝にうつ伏せになって死んでいました。アンマーアンマーと呼びました。」
ほとんど後が続かない。こちらも辛くなる。祖母と母は死亡、残されたのは腰に怪我をした祖父、負傷して帰郷していた父、姉、弟あわせて5人。
「壕はどこもいっぱいで入れませんでした。それが幸いしました。(父が)死ぬ前においしい水を飲んでから死のう、と海岸近くの真水が出るスーガーというところに行きました。80メートルくらい離れた岩(の後ろの穴)に隠れました。2.5メートルくらいの奥行しかありません。6月21日朝、二人のアメリカ兵が出てこい、出てこいと銃を構えている。怪我をしている祖父と1歳の弟を残し、捕虜になりました。」
殺されると思った3人は無事生き延びた。
「祖父と弟の行方は分かりません。」
再び話が途切れる。父の「真水を飲んで死のう」という一言で命が救われた。しかし母を祖母を亡くし、祖父と弟は行方不明。一歳の弟はせめて戦災孤児でどこかで生きてくれればと願ったが可能性はゼロ。

冒頭で紹介した久保田千代子さんは当時23歳。
「昭和20年3月23日、卒業式の次の日に空襲。校長は天皇陛下の写真持って(北部のやんばるの)今帰仁に避難している。教頭は教育勅語を大事に持っていたが、私に預けて逃げた。旦那は防衛隊にとられて、いない。3歳と3か月の子供二人連れて私は(やんばるに)逃げることもできない。」
「艦砲射撃の合間に高台に行ってみると、昨日卒業式をしたレンガ造りの学校もない。慶良間の(米軍)艦船に特攻隊が突撃するのがよく見えましたよ。雨のように弾が集中して(特攻機は)墜落しよった。」
「女の先生5人くらいで慰安所にも行きました。兵隊が何百人も並んでいる。(中の女性たちは)飯炊き(の仕事)している、と言ってた。韓国人が3人、沖縄人が2人。慰安婦のことはみんな知ってたけど、戦後もずっと黙っていましたよ。」
「八重瀬の方に逃げたけど壕はどこもいっぱい。ところが山の中腹の墓が空いていた。厨子甕が30個並んで、いまだったら気持ち悪いけど、そこで2か月生活した。
(厨子甕は洗骨後の骨を納める。その前の段階は、遺体を入れた大きな甕に収める。中で肉体が溶け始める。やがて顔は崩れ骸骨が一部露出し、髪の毛はそのまま残った・・普通の神経なら正視できない遺体が中に入っている甕。それだったら腐敗臭でいられないはず。)
昼は穴の中、夜は食べ物探し。泉に死体が浮いているのをかき分けて水を汲む。朝見ると蛆が混じってる。それでもその水飲まなければ生きてゆけない。毎晩、死体をどかして水汲み。」
「道には死体がいっぱい。那覇、東風平いろんな所から南へ逃げてきた。自分のおうちにいれば助かったかもしれない。自分たちは山道も知ってるけど、よそから来た人は(普通の)道を歩く。そうすると一人残らずやられてしまう。死体はふくれて真っ黒。道を歩くのも死体をよけながら歩く。お母さんが死んで、赤ちゃんが泣いている。何人もいましたよ。そんなもの見ても、かわいそうとも助けようとも思わない。こちらもいつ死ぬか分からない。弟が弾に当たって即死。涙も出ない。道ばたの溝に置きました。(戦争が終わって)2年後、骨を拾いに行きました。」
「戦争は怖いですよ。沖縄戦は地獄。絶対に二度と起こしてはだめ。でもそんな汚い、思い出したくないことを私はいっさい話さなかったんです。子供たちには、平和な国で希望を持って生きて行ってほしい。戦争体験は87歳まで誰にも話しませんでした。ところが教科書から沖縄戦が削除されると聞いた。そうなったら誰にも伝わらない。地元からも(体験を話してくれと)依頼されるようになって初めて話し始めたんです。そうしたら教え子が、もう80歳ですよ、先生なぜあの時は話さなかったんですか、と聞いた。そんないやな地獄の体験を話してもしょうがないでしょう、子供たちに。」
「みなさん雨の中ご苦労様ですね。沖縄戦のこと少しは伝わりましたか。戦争は二度と起こしてはいけませんよ。どうぞ沖縄戦のこと知ってくださいね。」

米須地区はチネードーリ(家庭が倒れる=一家全滅)が少なくとも24家族。線香台が置かれた小さな小屋がいくつもあるが、親族が時々来て掃除をしたり線香を上げたりする所もあれば、打ち捨てられている所もある。空き家や更地が目立つ。カメラマンの大城弘明氏が米須集落を一緒に歩いて説明してくれた。紙数の関係で割愛するが写真集「地図にない村」「鎮魂の地図」(未来社)をぜひ手に取ってみてほしい。

次回は、沖縄戦―死者からの聞き取り をレポートする。

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【5】《連載》検証・フテンマ(琉球新報より)
 第3部 揺らぐ「承認」 vol.21 「焦る国」
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 「シュワブ(H25)埋立設計」
 「シュワブ(H25)水域生物等調査検討(その1)
 「同(その2)」
 防衛省沖縄防衛局のホームページに1月21日、3件の入札情報が載った。防衛省が、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、代替基地の設計や環境調査などの受注業者を募る入札の公告だ。その2日前に投開票された名護市長選で、移設を明確に拒否する現職稲嶺進が大差で再選されていた。地元が反対の民意を示した直後に移設関連の入札公告を行うのは、あくまで移設に突き進もうとする政府の意思表示だった。
 この入札3件と、防衛局がその3日後に新たに受注業者を募る入札を公告した辺野古陸上部のボーリング調査業務の計4件について、履行期限は全てことしの「11月30日」とされていた。12月に県知事の仲井真弘多の任期が満了するのを前に知事選が実施されるころに重なる。沖縄にとって重要な時期だ。普天間飛行場が再び最大の争点になるとみられる次期知事選までに、新たな基地建設に向けた作業を可能な限り進めておきたいという意図が見える。
 知事の埋め立て承認取り消しを求める行政訴訟を起こした原告弁護団事務局長の三宅俊司はこうみる。「知事選前に成果を搬入させ、(移設を)既成事実化しようとしている。埋め立てを承認した知事の在任期間中にやってしまえということなのだろ。国が焦っているのは確かだ」
 政府関係者はこう明かした。「(米軍普天間飛行場の)辺野古移設にかかる調査などに対して移設反対派が妨害しても、政府は圧倒的な勢力で排除することを検討している」。移設予定地の米軍キャンプ・シュワブ海域に反対派が入れば「刑特法で摘発する」との認識も示した。
 官房長官の菅義偉は、普天間の全面返還を決めた橋本龍太郎内閣の官房長官だった梶山静六が手掛けた移設計画が行き詰まるのを見て、敗北感を覚えたという。「菅は周辺に辺野古移設を『断固として進める』と言っている」と政府関係者は話す。
 だが、外務、防衛両省内では、県知事仲井真弘多の埋め立て承認の後ですら、移設作業が順調に進むという見方は少数だ。
 「知事選で県内移設反対の候補者が当選し、埋め立て承認の取り消しで訴訟となれば、移設作業が止まりかねない」
 沖縄をよく知る防衛省幹部は表情を曇らせる。外務省幹部も「われわれも米側も、楽観的な見方はしていない」と語った。政府が名護市長選後、移設作業の推進に前のめりなのには、こうした危機感が背景にある。
 沖縄大副学長の仲地博(行政法)は一般論として、承認などの行政処分が取り消された場合のその後の展開として、「承認を受けたほうが資本を投下した場合、承認を取り消す際に補償問題が生じる可能性がある」と指摘する。
 国が次期知事選までに作業を可能な限り進めるのには、移設を既成事実化する狙いがある。仮に移設反対派の知事が誕生した場合は、損害賠償などをちらつかせて、承認取り消しの動きを封じ込めようと圧力をかけるような事態も想定される。
 移設作業の行方を大きく左右する次期知事選に対する安倍政権の関心は当然高い。1月の自民党大会では、国政と密接に関わるとして秋の沖縄知事選の必勝を期す方針を掲げた。
 「移設を推し進めるには知事選で勝利するしかない」と政府関係者は言い切る。安倍政権は名護市長選でもそうだったように、知事選にも全精力をつぎ込む構えを早くも見せている。(敬称略)(「日米廻り舞台」取材班)琉球新報提供

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