ブログのコメントでこの台湾のロックを教えていただきました。日本ではタブーの痛みが作品として再現されているのですね。若い特攻隊のみなさんの潔い、無理強いされた死の背後で聞こえてくる声の正体!偉大なるフィクションを生き生かされる私たちでしょうか?フィクションの体系、に囚われる観念をも生きていきます。そんな嘘に騙されずにいきたいのですが、この世は絶えず虚構〈フィクション)の罠が張り巡らされるのですね!凝視するのもつらいが、何が嘘で何が本当か?嘘の虚構の美もあるが、嘘の虚構〈体系)に身をすりつぶしたくはありませんね。以下は転載ですが、文字のフォームが固定化されて大きくなっています。クリックしたらオリジナルのブログにたどり着くはずです。
http://blog.goo.ne.jp/torumonty_2007/c/b0f94fac96b84e4aafcdd4591c0259bb←このブログです。直接お尋ねください!こちらに転載するとなぜか文字が大きくなっています。訂正もできません!しかし、びっくりです。このブログの管理人はなぜか台湾通の方ですね。
さきほど、台湾のロック・グループ「ソニック」(ChthoniC 閃靈樂團)による「玉砕」を(Broken Jade)を初めて聴いた。2011年リリースされたCD「高砂軍」の一曲だそうだが、その内容に衝撃を受けた。
次のYouTube映像を見ていただければ分かるが、「玉砕」は帝国海軍の特攻隊をテーマにした曲で、後半部分には天皇の玉音放送(1945.8.14)が含まれている。日本の音楽業界では全くのタブーとなっているテーマを採り上げ、しかも特攻に命を捧げた日本軍兵士に最大限の尊敬(リスペクト)を示している。
CD「高砂軍」
Track listing (Songs)
1. 冥河島 / The Island (2:15)
2. 殘枝 / Legacy Of The Seediq (4:21)
3. 皇軍 / Takao (4:19)
4. 震洋 / Oceanquake (3:44)
5. 南十字星 / Southern Cross (3:53)
6. 空 / KAORU (5:38)
7. 玉碎 / Broken Jade (5:43)
8. 歸根 / Root Regeneration (1:24) 9. 大天 / MAHAKALA (4:02)
次のYouTube映像を見ていただければ分かるが、「玉砕」は帝国海軍の特攻隊をテーマにした曲で、後半部分には天皇の玉音放送(1945.8.14)が含まれている。日本の音楽業界では全くのタブーとなっているテーマを採り上げ、しかも特攻に命を捧げた日本軍兵士に最大限の尊敬(リスペクト)を示している。
CD「高砂軍」
Track listing (Songs)
1. 冥河島 / The Island (2:15)
2. 殘枝 / Legacy Of The Seediq (4:21)
3. 皇軍 / Takao (4:19)
4. 震洋 / Oceanquake (3:44)
5. 南十字星 / Southern Cross (3:53)
6. 空 / KAORU (5:38)
7. 玉碎 / Broken Jade (5:43)
8. 歸根 / Root Regeneration (1:24) 9. 大天 / MAHAKALA (4:02)
10. 鎮魂醒靈寺 / Quell The Souls In Sing Ling Temple (5
このアルバムの内容については、下記のブログに詳しく書かれていて、なるほどと得心した。
「ぴこにゃんの真向勝負~鋼鉄篇~}2013.8.15
今年もまた、8月15日がやってきた。
終戦の日。1945年(昭和20)のこの日、昭和天皇の肉声による「終戦の詔書」の録音盤が、ラジオ放送で再生された(玉音放送)。頭を垂れて聞いていた国民は、帝国の敗北を知った。現代日本を大きく規定するこの事象を、多くの人が偲び、または考え、戦争というものについて思いをめぐらせていることだろう。
ここに、1枚のCDがある。
台湾のヘヴィメタルバンド、CHTHONIC(閃靈、ソニック)の『TAKASAGO ARMY / 高砂軍』。2011年に発表された珠玉の芸術作品だ。魂の激音、そして絶唱。終戦の日を想う心に、容赦なく突き刺さる。
この作品に初めて触れたのは今年の3月。聴き進めるうちに、全身がガタガタと震え、身動きできなくなった。空前絶後の衝撃。
CHTHONICというバンドが台湾独立派で、ベーシストのドリスがモデル活動も行うキャラの立った存在であることは知っていた。LOUD PARK 10でのライヴでも、優れた音楽を奏でるバンドであることがよくわかった。
メタルバンドとしての根幹には、DEATH、EMPEROR、CRADLE OF FILTH、CHILDREN OF BODOM、MEGADETH、マイケル・アモット時代のCARCASSなどの影響があるように感じられる。上記のバンドが好きなら気に入る音だ。さらに、CHTHONICは二胡、琴、尺八など東洋の響きを用いるのだが、付け焼き刃では決してなく、音楽性の芯にまで入っている。時折入ってくる演歌の調べも良い。音だけでも、他に類を見ないオリジナリティとクオリティを誇る楽団だ。
その上で、彼らが歌い上げる歌詞世界こそが、自身を一介の極東ブラックメタルバンド以上の存在に押し上げている。唯一無二。海外のアーティストなのに、日本人の内面を激しくえぐってくる。こんな音楽には、これまで触れたことがなかった。
『高砂軍』ではタイトルの通り、大日本帝国が台湾を統治していた戦時、先住民族たち(総称で高砂族と呼称)が高砂義勇隊に志願し、南方戦線に向かう史実が描き出されている。終戦後、「旧帝国臣民」の台湾人は、新たな支配者としてやってきた蒋介石率いる中国国民党と衝突する。
日本と台湾の歴史を知る者なら、CHTHONICが歌い上げる『高砂軍』の物語に胸を打たれないはずがない。言うまでもなく、音楽として優れているからこそストーリーも輝く。何も考えずに聴いたとしても素晴らしいアルバムだが、私は日本人なので、様々な感慨が交錯する。時代に翻弄され、命を散らしていった青年たちに感情移入して聴いてしまう。
歴史の詳細については関連書籍をご参照のこと。CDに封入されている前田岳彦氏(BURRN!誌編集者)のライナーノーツでも触れることができるので、ぜひ手に取り、考えていただきたいと切に願う。
アルバム3曲目の「Takao / 皇軍」は、1930年の霧社事件(史実。日本統治時代後期の抗日反乱事件)で両親を日本人に殺されたセデック族の青年が、葛藤を経て「日本人」としてのアイデンティティを獲得し、出征するシーンが歌われている。Takaoとは台湾南部の都市、高雄のこと。打狗(ターカウ)と呼ばれていた当地を、日本が内地の高雄から拝借するかたちで改名したまちだ。歌詞は基本的に英語だが、サビは台湾語で勇ましく歌い上げられる。
「大港起風湧 堂堂男兒欲出征 氣勢撼動高雄 齊開向你我前程」
(嵐吹き荒れる港 覚悟を決めた兵士達 士気の高揚が高雄港を揺らす いざ戦場へ)
この曲のプロモーションビデオでは、頬に民族的な刺青を入れた女性が、和装で登場している。少数民族、日本という当時の「公」、東亜の開放を信じる心、そして見送る側の悲しみ。さまざまな要素が映像に表れている。
帝国陸軍は、台湾の先住民族が森林戦に長け勇敢であることに着目し、南方のジャングルで活用しようとした。志願兵の倍率は400倍を超えたという。歴史好きにはよく知られた話だが、彼らは実際に活躍し、日本人兵士たちから尊敬を受けたと語り継がれている。戦死率も高かった。
アルバム6曲目「Kaoru / 空」は、特攻隊「薫空挺隊」について歌われている。当時の戦局から大いにありうる話だが、恥ずかしながら、このアルバムを聴くまで高砂義勇隊の特攻があったことは知らなかった。皆、普通の若者だったはずなのに、戦場はひとつの生命を肉弾兵器に変えてしまう。
私は以前、台湾で生まれ育った女性に話を伺ったことがある。大戦末期の1945年、彼女は当時14歳で、自宅近くの料亭に特攻隊員たちが下宿していたそうだ。「神様みたいな人たちだと思ったら、普通の優しいお兄さんだった」。一人の若者と恋におち、プラトニックな交際を重ねた。しかし、「ある日突然いなくなった」。沖縄に出撃したのだ。さよならも言えなかった。彼女は戦後、同じ部隊の元特攻隊員と結婚。夫は「なぜ、自分だけ生き残ったのか」という悔恨にさいなまれ、そこから自由になることは亡くなるまでなかったそうだ。病没した彼の辞世の句には、「俺も行く」といった内容の言葉がしたためられていたという。
アルバムのクライマックスとなる7曲目「Broken Jade / 玉碎」では、昭和天皇のスピーチが入ってくる。玉音放送。当時の日本人(台湾人も含む)が頭を垂れて聞いた、あの声だ。
これは、日本のバンドでは実現できなかっただろう。様々な意味で。
何故か。それは、日本人自身が先の大戦を総括できていないからだ。
戦争という国家の政策について「大東亜戦争」として語れば右、「太平洋戦争」として語れば左と簡単にレッテル貼りをしてしまう。これは思想的貧困である。史上最大の負け戦を当事者として担った影響は、こんにちの現実社会にも及んでいる。社会一般において戦争の総括ができていないから、いまだに揉める。
きょう、靖国神社に3閣僚が参拝し、大きく報道された。参拝の是非は別にして、日本人が今もなお戦争の呪縛のもとにいるわかりやすい例ではある。しかし残念ながら、本邦の「戦争を語る土壌」は、終戦から68年が経過しているのにも関わらず、いまだに熟していない。軍人目線で見れば右、反戦目線で見れば左。ほんの少しでも勉強すればわかることだが、そんな単純なものではない。
そのような中、CHTHONICは、台湾人が帝国軍の「当事者」だからこそ、戦争のストーリーを心の深いところに訴えることに成功した。物語を音楽に落とし込む上で、もっとも適した表現形態がブラックメタルだった、とすら思える。無慈悲な暴虐サウンドと、冷徹な美しさの双方が要求されるジャンルだが、そこに二胡や琴の幽玄な響きが加わることで、音楽としての完成度が劇的に高まった。
アルバムの終幕を飾る「Quell The Souls In Sing Ling Temple / 鎮魂醒靈寺」では、台湾にやってきた中国国民党との凄惨な戦いが描かれている。「元日本人」の台湾人たちは、何を想ったことだろう。物語の主人公は、迫り来る死を前に、日本語で叫ぶ。
「ただ正源が鬼神と戦ひ 哀しき運命(さだめ)の輪廻を断つを求む」