(琉球新報 8月10日、書評欄)
「つるは一度も恋をしたことがなかった」とさゆきさんが書いているのが気になりました。彼女の人生の旅路に登場してくる男性たちがいますが彼女は、一度も恋をしたことはなかったのだろうか?恋をしないと出せない、歌えない「歌」の味があると書かれていました。ああ、恋をしなければ、とつるさんは思ったようですが、まだ十代から二十代にかけてですね。つるさんの三線放浪の人生のすべてにほれ込んだのは寛淳さんだったのでしょうか?彼女は彼に恋したのではないのでしょうか?寛惇さんの前に自らの人生を語っていったつるさん、もちろんそこには語ることはないとあえて話さなかったことや、省略したこと、強調しすぎたところなど、もありますね。「お二人の出会いがもたらした豊饒さ」にわたしは関心を持っています。