志情(しなさき)の海へ

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アンチ沖縄本の真実Part(2) 東アジア共同体研究所News Weeklyです!←いいね!

2016-03-11 21:22:32 | アジアの過去・現在・未来

 EACI News Weekly 第61号(3月11日号)
   東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
    http://eaci.or.jp/

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 【目次】

 【1】《今週のニュース 3/5-3/11》
 社会(6)、政治(3)、経済(2)、国際(2)、

 【2】《UIチャンネル放送予告 No.143》
 第143回UIチャンネル生放送 鳩山友紀夫×波頭亮 LIVE対談
 「『アベノミクスの総括』と今後の日本経済のありかた」
  http://live.nicovideo.jp/gate/lv255279251

 【3】《EACIレポート》
  高野孟(東アジア共同体研究所 特別研究員)
「強気が一変、安倍政権が『辺野古和解』に急転したウラ事情」

 【4‐1】《研究員コラム》
  鳩山由紀夫(東アジア共同体研究所 理事長)
 「東日本大震災から5年をむかえて」

 【4‐2】《研究員コラム》
  緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
  「アンチ沖縄本の真実Part.2」
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 【1】《今週のニュース 3/5-3/11》
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【社会】
■天皇陛下 東日本大震災追悼式でのおことば(全文)
 (NHK 2016.3.11)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160311/k10010439811000.html

■震災5年 関連死含む死者と不明者2万1000人超
 (NHK 2016.3.11)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160311/k10010438801000.html

■【震災から5年】「空撮 ふくしまの今」
(福島民報 2016.3.8)
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2016/03/post_13415.html

■<震災5年>復興の限界感 「出る杭」まず伸ばそう
(岩手日報 2016.3.11)
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2016/m03/r0311.htm

■<震災5年>忘れてはならない日々―伊集院静
(河北日報 2016.3.11)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201603/20160311_15009.html

■論点 大震災5年 「集中復興」の評価と課題
(毎日新聞 2016.3.11)
http://mainichi.jp/articles/20160311/ddm/004/070/028000c

【政治】
■伊波氏擁立を再確認 「オール沖縄」選考委が一致
(毎日新聞 2016.3.10)
mainichi.jp/articles/20160310/rky/00m/010/005000c

■辺野古訴訟 敗訴でも知事に阻止権限 翁長氏が見解
(東京新聞 2016.3.9)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016030902000114.html

■辺野古訴訟~和解の落とし穴~
(ハフィントンポスト目黒博 2016.3.10)
http://www.huffingtonpost.jp/hiroshi-meguro/henoko-settlement-problem_b_9418808.html

【経済】
■TPP 国会承認求める議案と関連法案 閣議決定
 (NHK 2016.3.8)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160308/k10010435391000.html

■「フクシマ後」のエネルギー政策 米欧が歩む道
 (日経新聞 2016.3.6)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO98090350V00C16A3TZG001/

【国際】
■国有企業改革が本当はできない中国――大切なのは党か国か人民か?
 (Newsweek 2016.3.10)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/post-4672.php

■ミャンマー新大統領にスー・チー氏側近選出へ
 (TBS 2016.3.10)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2722589.html

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【2】《UIチャンネル放送予告 No.143》
 第143回UIチャンネル生放送 鳩山友紀夫×波頭亮 LIVE対談
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 3月14日(月)20時からの第143回UIチャンネル放送は、東アジア共同体研究所の理事であり株式会社XEED代表の波頭亮氏をお招きして、鳩山友紀夫×波頭亮LIVE対談「『アベノミクスの総括』と今後の日本の政治経済のあり方」を生放送でお送り致します。
番組の予約・詳細はコチラから→
http://live.nicovideo.jp/watch/lv255279251

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【3】《EACIレポート》
高野孟(東アジア共同体研究所 特別研究員)
「強気が一変、安倍政権が『辺野古和解』に急転したウラ事情」
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 東アジア共同体研究所の高野孟氏が発行するメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』の今週号は、辺野古問題を取り上げ、沖縄県が辺野古への基地定着を避けるために取るべき対策を具体的に示しています。3月4日、辺野古基地移設問題を巡り突如裁判所の和解勧告を受け入れた安倍総理。この動きを「政権の余裕の現れ」とする意見もありますが、高野さんは「和解勧告の内容を精査した官邸が、国が敗訴するリスクの高さを察知し腰が引けた結果」と断言しています。

■強気が一変、安倍政権が「辺野古和解」に急転したウラ事情
 (高野孟/まぐまぐニュース 2016.3.8)
http://www.mag2.com/p/news/154754

【辺野古「和解」はオール沖縄のひとまずの勝利である!】

 安倍晋三首相が3月4日、辺野古基地建設への強気一点張りの姿勢を翻して、裁判所の「和解」勧告を受け入れて沖縄県との対立を「一時休戦」に持ち込む決断をしたことについて、御厨貴=東京大学名誉教授は同日の報道ステーションで「安倍政権の余裕の表れ」とコメントしていたが、違うと思う。

 もちろんそれは、誰もが指摘するように、6月の沖縄県議選と7月の参院選を前に柔軟姿勢らしきものを演出して世論の反発をかわしつつ、特に沖縄では辺野古移設の是非を争点から外して(1月宜野湾市長選の2匹目のドジョウ狙い!)、「歯舞」が読めない島尻安伊子=沖縄・北方担当大臣の落選を避けようという、小賢しい選挙目当て戦術という一面を持つ。しかし、それだけがこの君子豹変の理由ではなく、菅義偉官房長官が少数のスタッフと共に和解勧告の内容を精査して国が「敗訴」する危険が高いことを察知し、慌ててそれを受け入れることにしたというのが、もっと大きな理由である。

 辺野古現地では海上とゲート前で頑強な非暴力実力闘争が続き、それを背景に「あらゆる手段を尽くして阻止する」と公言して止まない翁長雄志知事が執拗な裁判・行政闘争を展開した結果、国側は一旦撤退して態勢を立て直すことを余儀なくされたのであり、仲地博=沖縄大学学長が言うように「県が政府との争いの初戦に勝ったと言える」(3月5日付毎日)というのが本当である。

 この初戦における成果をどう活かして、辺野古断念にまで行き着いていくかが課題である。

【和解勧告で官邸がビビった「敗訴リスク」】

福岡高裁那覇支部による和解勧告の全容は、裁判官の判断により公開されていない。が、読売5日付によると肝心な部分は次の点である。

 国はそれまで「訴訟は99%勝つ」(政府高官)と見込み、司法判断をお墨付きに米軍普天間飛行場の辺野古移設を着実に進める方針だった。自信を揺るがしたのは「想定外だった」(政府筋)裁判所の和解勧告だ。
 1月29日、裁判所が示した和解案で、政府関係者が注目したのは、国の「敗訴リスク」に触れた部分だった。「(国が)勝ち続ける保証はない」「敗訴するリスクは高い」
 国が代執行に踏み切ったことに、裁判長が「丁寧な手続きを欠いている」との心証をもっているのでは、との懸念が政府内には広がった…。

同様のことを毎日5日付も書いている。

 和解勧告は政府に厳しい内容だった。
 1999年の地方自治法改正で「国と地方公共団体が対等・協力の関係となることが期待された」のに、現状は「改正の精神に反する状況」だと批判。今後も訴訟合戦が続けば「国が敗訴するリスクが高い」とまで忠告した。
 首相官邸関係者は「他に道はないというのが代執行訴訟の出発点。和解勧告は想定していなかった」と明かす。しかし、勧告は想定外に厳しく、政府内に動揺が走った…。
  「和解勧告は『従わなければ国にとって厳しい判決になりますよ』というサインにも読めた。工事中断は痛手でも、自ら提起した訴訟での敗訴を確実に避けることを優先したのではないか」(仲地博)…。

 毎日が指摘するように、99年の地方分権一括法の成立とそれに伴う地方自治法の大幅改正では、国が直接に指揮監督する「機関委任事務」が廃止され、国が関与するのは「法定受託事務」だけとされたが、その背景には、明治国家ではもちろんのこと、戦後になってもまだ中央政府と都道府県、都道府県と市町村は垂直的な上下の関係とされてきたのに対し、これからは国と地方公共団体とは水平的な対等・平等の関係であるとする原理的な大転換があった。

続きは以下「強気が一変、安倍政権が「辺野古和解」に急転したウラ事情」より
http://www.mag2.com/p/news/154754/3

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【4‐1】《研究員コラム》
鳩山由紀夫(東アジア共同体研究所 理事長)
「東日本大震災から5年をむかえて」
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2011年3月11日に発生した東日本大震災より5年が経過致しました。
この大震災により亡くなられた方々の無念さと、最愛の肉親を失われた御遺族の深い悲しみに思いを致しますと、誠に痛恨の極みであり、哀惜の念に堪えません。
改めて犠牲となられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、福島第一原発事故により、故郷を離れざるを得なくなった方々、また、故郷に戻られてもご不自由をされておられる方々を含めて、すべての被災者の方々に心からお見舞い申し上げます
時を同じくして、9日、大津地裁が、福井県の高浜原発3、4号機の運転差し止めの仮処分決定を下しました。この意味は、稼働中の原発に対する初の運転差し止めであり、そして、司法が原子力規制委員会の新基準に対して、安全とは言えないという、極めて正当な判断をしたことです。
福一事故の直接の被災者の皆さまは当然ですが、地震国・火山国日本における原発の安全性や再稼働に対して、多くの国民が不安や不信感をもっていることは、否めない事実です。
政府は一刻も早く国民の声に耳を傾け、原発再稼働を止めさせるとともに、エネルギー政策を大きく転換すべきです。

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【4‐2】《研究員コラム》
 緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「アンチ沖縄本の真実Part.2」
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先週は二つ良いことがあった。一つはバタフライで25メートル泳げたこと。もう一つは国が県と「和解」し、辺野古の工事がストップしたこと。もう一つ付け加えると郷ひろみが嘉手納町初の観光大使になったこと。彼はふるさと納税までしている。
この三つをごちゃごちゃにして考えると、沖縄から風が起きている、と感じる。私のばたふりゃーは、それで辺野古の海へ乗り出し、張り巡らされたフロートを越えてゆく力はない。しかし国がいったん工事中止を余儀なくされたことは大きい。これまで徹底して力づくで押しつぶそうとした辺野古の反対運動が一時的であれ勝利したのだ。(間髪を入れず国は是正勧告を出し、県との協議などに応ずるつもりはないことを示したが・・)
郷ひろみの嘉手納町へのふるさと納税と観光大使就任!嘉手納町といえば極東最大の軍事基地が町の8割以上を占める。沖縄のいや日本の矛盾の象徴のような町だ。そこに郷ひろみが・・・。これが一番じわじわと効いてくるような気がする。

本題の前にもう一つ。
秩父宮ラグビー場でサンウルブズの試合を見ておおいに満足したことは記した。その後、大西将太郎の屋外スタジオでの解説をたっぷり聞いて、ラグビーグッズの店をのぞいて、浜松町から羽田へ移動した。この間、ノーマスクのため、重症の花粉症にかかった。(いやマスクをしていても眼が開いていればだめ。眼や鼻や喉の粘膜から、サリンではない、花粉が侵入する。空気にさらされると危険!。毒ガス除けの本式マスクでなければ感染は防げない。それより、この期間は、汚染地区に入らないことが肝心だ。)その後、2日間くしゃみと鼻水と全身の不調に見舞われ、腰まで痛くなった。そんなことはどうでもよい?いや私にとっては重大事だ。今後の試合はあきらめ、2019年のワールドカップ開催まで引きこもり(ラグビー観æ
 ��)症候群に陥るかもしれない。なんて話はさっさと切り上げて、本題へ。

マスコミが報じない沖縄?

アンチ沖縄本の普及版とも言うべき特集が出た。「報道されない沖縄基地問題の真実」(別冊宝島―2016年3月20日発行)表紙には、真ん中下に大きく「マスコミが報じない沖縄の゛本音“」、上に「被害者のふりをした加害者たち・反対運動の虚実」、右下に「共産党に支持される日の丸・翁長知事、基地反対で増える補助金」、左下に「沖縄より本土の方が米軍基地は多い、辺野古住民の多数は基地容認」。監修は篠原章とある。「ハイサイ沖縄読本」(JICC出版局)、「沖縄ナンクル読本」(講談社)の著者でもあるらしい。
沖縄オメデタ本でノーテンキに沖縄を持ち上げ、米軍基地の暗部については必死に打ち消し、最後には反対運動を加害者とののしる。沖縄病がこじれると、愛憎逆転し、ここまでの病勢に至るのか。なにか精神分析と迅速な治療が必要と思われるが、これが本土のマスメディアのビョーキの一症例かもしれない。これも最後に取り上げよう。

「沖縄に基地があることは膨大な税金を消費すること」

「沖縄の不都合な真実」のあとがきから引く。
「大事なのは被害者沖縄に寄り添うことではありません。沖縄の基地を減らし、見返りの振興策と減税措置をなくすことです。沖縄に基地があることは、膨大な税金を消費するのですから本土にとっては経済的にはマイナスなのです。このことが理解されれば、「沖縄の基地を減らせ」という声は沖縄よりもむしろ本土で強まると思います。」

「筆者二人とも「沖縄批判」はしていません。既得権益を守る公務員を中心とした「沖縄の支配階級批判」をしています。民族主義的な沖縄権力への批判がこの本の狙いです。振興予算をやめることこそが、基地問題の解決につながる、ということを繰り返し書いています。」

ここに書かれた沖縄の支配階級(建築業+公務員)と日本政府の癒着は、米日の軍事産業の構造の金太郎飴なのだろう。上はネオコンから下はダンプ一台で辺野古新基地建設のため土砂運びを担おうという業者まで。辺野古の工事中止を聞いて、ガックリ来ている零細土建屋が多いはずだ。コンクリートより人を、という政策があったが依然として土建屋政治が続いているようだ。
著者達は、海兵隊削減へのロードマップ提示の準備があるようなので、是非次を期待したい。

沖縄を豊かにした?アメリカ人たち

「沖縄を豊かにしたのはアメリカという真実」(惠隆之介)では、米軍が貢献した数々の事例が語られる。医療政策、公衆看護婦制度、琉球大学の創設、製糖工場の設置、金融粛清など。アメリカが築いたインフラはなるほど巨大だ。しかし軍事基地の構築が主だったことが無視されている。
極東最大の空港といわれる嘉手納基地は、そのまま返却されればたちまち観光・貨物などのサービス産業のアジア最大の拠点となる。
人殺し目的の基地が、人を生かすセンターとなる。軍事の要石から平和の要石への変換だ。
著者も、アメリカの良い所を見つける努力をさらに加速させ、こうした発想の変換を米国に迫るべきではなかろうか。敵意に囲まれた基地の存続が危ういことは一番分かっているはずだ。嘉手納基地が民間へ返還されれば、アメリカの最大のプレゼントとなる。日米の絆は100年も200年も続くだろう。今のまま日米両政府が沖縄に犠牲を押し付けるだけでは、いくら著者がアメリカ礼賛を続けても誰も耳を傾ける人は増えないだろう。米軍の「超長期滞在」の現状と、ありもしない「中国軍の侵略」を比べてもしょうがない。
沖縄は中国の特別自治区か?

「誰も語れなかった沖縄の真実」(惠隆之介)の第1章、沖縄に迫る危機、で以下のエピソードが語られる。
「中国は沖縄への投資に意欲を示しており、すでに宮古下地島空港(滑走路距離三千メートル)を「平和利用」を大義名分に、借用を打診してきている。(略)宮古観光協会を訪れた中国人エージェントは「下地島空港を独占的に借用し、中国人富裕層が自家用機で飛来できる観光スポットを建設したい」と構想を披歴している。」
(下地島空港はかつてジャンボジェットのパイロット訓練に使用されていた)

普天間よりも辺野古(予定)よりも長い三千メートルの滑走路。ここを平和利用することのどこが悪いのだろうか。今までできなかったのは日本のいや世界中の資本家の怠慢ではないか。地元の人からはアラブの富豪が直接飛んでくるようなリゾート地にしたい、下地島空港はもってこいだ、と聞いたことがある。その後、伊良部架橋がかかり宮古島、伊良部島、下地島空港は陸路で結ばれ、さらに便利になった。
日米政府の「軍事優先」という考えが、思考停止を生んでいる。下地島空港は無限の可能性がある。さらに言えば嘉手納基地が返却されれば、もっと未来が展望できる。
アンチ沖縄本に共通するのは、米従属の「現実思考」、いや思考ですらなく、米軍重視にセットされた「洗脳状態」ではないか。

「米軍の士気を乱す」(!?)ような報道は止めよう

「報道されない沖縄基地問題の真実」(別冊宝島)は一番売れそうだ。先に別冊で出しておいて文庫本にするつもりだろう。影響力が大きい。著者が言いたいのは、翁長知事の論点がずれてきたこと。菅官房長官が「正論」であること、に尽きるようだ。
翁長知事の言うことは「普天間基地の返還の問題が、いつのまにか、差別や人権や自由の問題に変異しています。」
一方の菅官房長官は「実にシンプルかつ明快」と評価する。
―率直に言って、辺野古移設が最善の選択かどうかはわかりません。しかしながら、「普天間基地の危険性除去」という原点を忘れ、結果的に「固定化」を招くような愚者の道を選ぶことだけは避けなければなりません。これが本書の結論です。―

著者は既に愚者の道を歩んでいるようだ。ウィキベディアで見ると、専門は財政学。「大東文化大学に在職中に学科予算等の不正流用及び海外出張補助金の不正請求を行っていたことが発覚し(略)2011年には同大学を懲戒解雇され、同年5月頃、詐欺容疑で警視庁に逮捕された。」
逮捕された人だから、言っていることも間違い、と主張している訳ではない。警視庁が間違っていることは度々あるはずだが、絶対に認めない。この件は別の話だからいずれするとして、篠原氏が詐欺を働いたことは覚えておいて良い。
愚者の意見を紹介するのも時間の無駄だが、一つだけ挙げよう。

第3章、基地被害の検証には、墜落事故は減少している、県民の犯罪率よりもはるかに低い米兵の犯罪率、の小見出しがある。このへんは前回紹介したR・エルドリッジと同じ主張。
「日米安保条約を日米両国民が認めている以上、米軍関係者に対する根拠の乏しい非難は、両国関係にヒビを入れ、米軍の士気を乱すことになりかねません。」

沖縄の人口3%の米軍の士気を乱すことを恐れるよりは、97%の沖縄県民の考えに少しでも思いを致す方が先だろう。この本のバランス感覚の乱れは致命的だが、読者の要求が沖縄バッシングにあるとすればこの本も売れるのかもしれない。

日本にとって沖縄とは何か(岩波新書―2016年1月20日第1刷発行)の著者・新崎盛暉氏が3月1日(火)セントラルホテルで開催された不屈館3周年のパーティの席でこう言っていた。
「早稲田卒、沖縄出身(注・名護市生まれ)の我那覇さんという女性がいる。国連まで行って翁長知事に対抗する演説をしている。彼女の本が私の本より売れているらしい。」
途中で金城実(彫刻家)が後ろから「心配するな!」と声をかけた。そこで新崎氏は微笑んでスピーチを止めた。彼の本が売れず、アンチ沖縄の極と言うべき右翼のさくらチャンネル沖縄キャスターの本が(沖縄でも)売れている。人びとが求めているのは辺野古・軍事基地建設に反対したり、基地をなくそう、といった「理想」ではないらしい。翁長知事への人格攻撃や反対派同士の矛盾、基地容認派の思い、など分かりやすい「現実」を選んでいる。
しかしアンチ沖縄本がいくら売れても、未来を切り拓くことになんら貢献しない。

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気がつかなかったのですが、以下のような沖縄バッシングの書が売れているのですか?

沖縄タイムス&琉球新報反対、翁長さんのオール沖縄反対の論戦や書籍が売れているということに興味は起こるが、すべて中国をどう捉えるかということと関わっているという事と、日、米、中、沖の関係性をどう見据えるかが問われそうです。

『1★3★9★7』に驚いていたら、沖縄が中国よりになる、あるいは沖縄は被害者ではないの論調、日本におおいに貢献する軍艦島沖縄肯定の論が進んでいるのですね。びっくりです。日本や沖縄で顔がきく、タレント的な弁護士や、宣撫工作的な地元との関係のポジションにいた米軍関係者の対談など、戦後70年がアメリカの手のひらの上で泳いできた日本の実相が逆に見えてきます。その中で沖縄の戦後70年はどうだったのでしょう?米軍の存在のメリットとデメリットでは両方を見る必要はあるが、メリットを受け入れてもデメリットが今過剰に大きいという事実があるのでは、と思います。中国は国としてもっと拓かれてほしいですね。個の尊厳という意味では欧米民主主義が優っているのでしょうけれど、その内部の矛盾もまた露出していますね。一筋縄にこうだと言えないところが多々あって、それでも何が真実か、追究する視線を磨きたい。以下の本を買って読む気はありませんが、コピー操作でくっついてきた『市場の正体』は読みたくなります。


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