nasu_star's blog

那須で自然に親しみ、星と自然を愛するブログ

皆既月食 動画の正しい見方

2011-12-18 17:03:03 | 星空

先日YouTubeに投稿した動画をある人に見せたら、「なんで、月を真ん中に写さないの?」と言われ、愕然としました。

「天文に興味の無い人はこの動画の素晴らしさを理解できないんだ」と言う事がわかりました。 ただ単に「月食」と言う単純なイベントとして捉えるなら確かに月は常に画面の真ん中に鎮座し、その欠けて行く形の変化を写せば良い訳です。それではつまらないのが天文オタクな訳で、撮影準備をしている最中に閃いたアイディアからとっさに撮影方針を変え、今回の作品となりました。

理解してもらえないのが悔しいので、YouTubeにも以下の説明文を載せておきました。

反響があると嬉しいですね。

●この動画の見方 

本来、宇宙には上とか下とかいう概念はありませんが、便宜上地球の北半球に大半の人間が住んでいる事からその人たちの自己中心的(相対的)な見方から地球の北極方向を「上」とします。
 宇宙から地球を見た時、月は地球の回りを時計と反対方向に回っています。その速さは約29日で地球を1周してます。 つまり1日で360度÷29日≒12.4度程度右から左(西から東方向に)へ動いて見えます。 1時間では12.4度÷24h=0.5度東に動き、月の見かけの大きさの角度は約0.5度ですから1時間に約月1個分と言うことになります。 この動きの中に地球の影があった場合、月がその中を通過する事になり、「月食」となる訳です。
この動画はその動きを予測し、あらかじめ画面の右端に月を配置し、星の動きに合わせて望遠鏡をモーター駆動する事で、月の動きをとらえています。 したがって、動画最後の月を並べた写真で大きな半円に見える中央の黒い部分が地球の陰の形であり、月と地球の大きさの比較までできてしまう素晴らしい映像なわけです。
単なる映像の中にこれだけのサイエンス的な要素が詰まっています。

追伸:月が動いている証拠として、この動画内の皆既月食中の数十秒間の月の周囲には星がいくつか写っています。(YouTube画面でハイビジョンの1080pに画像解像度を設定しないと見えません)

 月は右から左へ動いていきますが、星は画面上動きません。 つまり星の間を月が動いていることが実感できるはずです。(実はこの映像の中には星食の出現シーン(月の右上に注目)も写っています。 この画像で、月には大気がない事が分かるんですよ。 ・・・素晴らしい!! 自分でも後で気が付きましたが。。。)


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