アンダーカレント アフタヌーンKCDX | |
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講談社 |
大人の鑑賞に堪えうる、漫画「アンダーカレント 豊田徹也著」
豊田徹也氏の、長編作品。
講談社「月刊アフタヌーン」において、2004年~2005年の期間に連載されたものです。
「映画的」と評されることが多い作品です。
暗く重い題材なんですが、どこか明るい人物描写が面白いです。
夫の失踪という「謎」が明かされていく過程、
登場人物が善人で、憎めない。
静かながらもほろりと泣ける結末など、
まさにヒューマンドラマの名作映画と称されるのもうなずけます。
ストーリー
下町で銭湯を経営しているかなえには、共同経営者の夫がいたが、
ある日突然失踪してしまった。
まるで理由の思いつかない夫の失踪に激しいショックを受けたかなえだったが、
意を決し銭湯を再開させる。
また、かなえは自分が首を絞められ水に沈められるという
不思議な夢をよく観るのだが、それはかなえに無性に安心を与えてくれるものだった。
臨時の従業員を探していたかなえの元に、堀という男が訪れる。
住み込みの従業員として働きはじめた堀は、実に愛想のなく、感情の乏しい男だった。
黙々と働く堀や近所の人たちに支えられ、再び銭湯に力を入れるかなえ。
ひょんなことから、失踪した夫を探すために探偵を雇うことになったが、
やってきたのは癖のある変わり者の山崎。
しかし、変わり者のクセに腕は確かな、山崎が徐々に調べ上げていく、夫の隠された事実に
かなえは驚愕するのでした。
こんな感じです
ここから先はネタばれ注意
漫画読んでから、読んでくださいね。
近所のフウテンのトラさんのようなじじいや
手伝いのおばちゃんが、息抜きのように面白く
緊張を和らげてくれ、一瞬喜劇かと思うんですよね。
ところが、一言も残さず失踪した夫。
その夫が失踪した理由が明らかになるにつれ
夫についてかなえはいったい何をわかっていたのか?
「人をわかるってどういうことなのか?」
何気ない探偵の言葉がかなえを傷つける。
そして、堀という男はいったい何者なのか?
不思議な魅力をたたえている。
かなえの不思議な夢と堀が結ばれるとき、人は涙するのだ。
そして、ラストのカット。
この一こまが、深い感動を与えてくれます。
是非お読みください