どうにも納得がいかない、真言密教の持っている禍々しい幻惑的な空気、否、悪魔的な気配は、過去のある時期、麻薬性の薬物を利用していた残り香ではあるまいか、これを焚くか服用させて人々を取り込んだのではあるまいか、そうすれば布教活動が効果的になる。
科学的な知識の普及していない時代では、密教僧の企みに利用されて、あまりにも多くの善男善女が、護摩の煙によって、一服の茶によって、さながら極楽世界にいるかのような幻覚に襲われ、たちまちにして熱烈な信者になったのではあるまいか。
やはり、この「芥子」は、ケシとして、解釈されないであろうか。