マイクを持った中年が、
「とーとー フシギの国ジャポーンに 来ました
とーとー シンピの国ジャポーンに 来ています 」
実況放送だろうか、
「世界のみなしゃーん
世界のみなしゃーん
アラビアの ナイジャジーラの アブラハーム・イシュマエルが
ニッポンの シブヤの スクランブルコーサテンから ジッキョーしまーす」
シンゴーが 青になった、
「いま いま タイヘンなことが 起ころーとしています」
「マエからヨコからナナメから おっとウシロ ウシロ
どんどんヒトが やってきます あつまってきます おしよせてきまーす」
「ヒラリ ヒラリ」
「ぶつかりません さわりません ふれましぇーん」
「あっ あっ ジテンシャがつっこんできまーした」
「スルリ スルリ」
「300ニン400ニン500ニンが わたってしまいました」
「なにも起こりません なんにも起こりませんでした」
「これは どーしたことでしょう
あの国なら たちまちキムチの投げ合い
あの国なら たちまちののしり合にツバのかけ合い
あの国なら バクダンかかえたテロリスト
あっちでつかみあい こっちでけとばしあい
あたしのオシリ さわったでしょー
だれが ばばあのケツなんかさわるもんか・・・ 」
「世界のみなしゃーん
どーしてなんでしょー
それは サムライの国だからです
この国の男は サムライなのです
何十代にもわたって サムライのクンレンを受けてきたのです
だから この国の男たちは 生まれながらにサムライなのでーす」
「サムライは 自分をおさえ相手をおもいやる」
「サムライは ホントーのジェントルマンなーんです」
「だから ぶつからない だから ふれないのです
なんと なんと すばらしいことなんでしょー 」
「スクランブル交差点は 世界の奇蹟です
スクランブル交差点は 文明の証明なのです」
たしかにぶつからないのはフシギだが、そうかな、そんな見方があるのか、ちょっと褒めすぎじゃあないかな。