色白で面長、ほほがふっくらとしてナヨナヨとして頼りなく、なんとも言えない風情、日本の男たちが憧れてきた。
源氏物語では、六条の御息所(みやすんどころ)ではなく「夕顔」だろう、昼間の日光の下ではなく、夕暮れの合間にそっと咲く、あるかなきかの存在感。
源氏の理想は、紫の上なんだろうが、この作者は夕顔を登場させている、この辺の呼吸は絶妙で、それは、平安の女性の人気のタイプを現わしてしたのではなかろうか。
源氏は、この女性に惹かれる、そこにこそ、日本人と呼ばれる人間集団の美意識の秘密が隠されているのかもしれない。