明治の30年ごろまでは、山人の報告がある。
山人の特質のひとつは身体が大きいことだが、これは、やはり寒地に適応した北方系ということだろう、生物学の法則では、同じ種のケースでは、北に行くにつれ大型化する傾向がある、例えば「クマ」、南方のマレー熊は数十キロだがヒグマやグリズリーは数百キロになり、抜群の体力を誇る、あの大きな牛を襲うのである。
これは、トラのケースも同じで北に行くにつれ巨大化し、アムール・トラのオスは体長が3.7m・体重は300kgを越える、もう、ほとんど「神」に近く抜群の運動能力を誇る、バイコフの「偉大なるワン」には、それが詳述されていて、ほんのわずかに身を屈めるだけで10メートルをジャンプ、それは「飛ぶ」という方が適切で、人間は無力であった。
この列島には大男の伝説があり、そして、山岳地帯に隣接したには、時折、大きな子供・鬼っ子が出現したという記録がある、あるいは、山男と関係があるのかもしれない、彼らは、戦国時代、その怪力を活かして一国一城の主になる者もあった、だが江戸に幕府が開かれてからは、どうしたのであろう。
彼らの中には、相撲取になったものがいたのではなかろうか、5尺の身長が平均であった時代に、6尺7尺という力士がいた、そして、彼らの出自には、不明な点が多い。