セレモニーは、いつも単調で、これっぽちの新鮮さがない、平和といえば平和だが知的興味にはほど遠い、
「この円環的な時間を ヨーロッパの直線的時間観がぶちやぶった」
そろそろ帰ろうか、その時、神輿(みこし)がやってきた、
「わっしょい わっしょい」
円環の登場だ、バカバカしいが血がさわぐ。
これじゃあ、帰れないな、男も女もいなせな恰好、半纏に股引、ねじりハチマキをきりりとしめて、
「わっしょい わっしょい」
「わっしょい わっしょい」
オトコたちはカラダが大きい、ほとんどが肉体労働者なんだろう、テレビや新聞関係のインテリではない、熱い血の日本人だ、そして、今年は、とりわけ、気合いが血走っている、
「これは あの二人の日本人と無関係ではなさそうだ」
熱いオトコたちは、リクツで生きてはいない、同じ日本人を同じ日本のオトコを、
「みすみす 死なしてしまった」
「もうしわけない もうしわけない」
「ざんねんだ ああ かわいそうだ」
次から次へと神輿が行く、その時、ひとつの思想がうかんだ、
「なにかが うまれつつある」
「いいかわるいかは わからないが・・・ 」
「日本が変わっていく 新しい日本が誕生するのかもしれない」
大きな怒りが、大きな悲しみが、原初的な血の覚醒が、今、目の前を通り過ぎていく。