あの研究所のワタシの席に、
「チョコン」
学生が座っている、ボスの手下だ、さらに、
「今回の論文 出さなくていいよ いいや 出さないでくれ」
当人たちは、ワケの分からないもんを書いている、あからさまの最後通告、
「ここにいる意味は ないな」
第3の男に言うと。
「仏教教団なんか そんなもんだよ」
「わかったようなコトを言うが なんにも分かっていない 普通の人以下なんだな」
彼は密教寺院の出身で、幼い時に父親を亡くし、寺を追い出された、
「あんな連中は 相手にしないほうがいい 満足な文章の一行も書けない それっ漢文の読めない坊主がいただろう」
「そもそも 仏教学部の入試に受からない 夜学も落ちた」
「そうだったのか」
「ゲタをはかせて 竹馬のせて それでも入れない」
「キミをどんな目でみていたか 同情するよ」
第3の男、
「ぼくはね 一対一のプロテスタント 容赦のない絶対者との対決に救いを見たんだよ」
なんと、
「あの空海も クリスチャンになりたかったと思っている」
若かったワタシは、彼のこころのキズの深さとかなしみを感じた。