このまま進んだらどうなるであろうか、ドーベルマンは対人間用に開発されたものだ、対イヌではどうか、闘犬用のイヌにはかなわないと思う。
あの低い位置から、まず、脚に喰らいつく、ドベちゃんの長い脚は、こんな時には決定的に不利、そして、恐らく、徐々に、噛む位置を移動させ、急所に向かうのではあるまいか、
「ガブ・ガブ・ガブ・ガブ」
こちらが噛みついても、向こうは、厚いたるんだ皮膚がジャマをする、相手は、どの急所に向かうか、ノドかそれとも・・・
そう、タマタマだろう、それを咬みちぎる作戦だ、なにしろ、毎朝見せつけられてきた、どうしたことか、今朝は、主人がクサリをつけなかった、このチャンスを逃してなるものか。
もう、これは、負けだ、
「ストップ」
ドベちゃん、キョトーン、
「はい、回れミギー」
それでも、ヒョコヒョコと、うれしそうに走り始めた、まったく、気のいいヤツだ。