農山漁村文化協会(農文協)からの新書
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_54015181/
目次だけでは解らないと思うが、かゆいところに手が届く本なので紹介する。
今迄の本では書かれていない、知りたくて調べても、薄い情報しか無かった部分が、簡潔にわかりやすく紹介されている本である。
ポストハーベスト技術で活かす お米の力(美味しさ、健康機能性、米ぬか、籾がら)
著者 佐々木泰弘 著
定価 2,700円(税込)
発行日 2016/10
判型/頁数 A5 216ページ
米は収穫したときが最高の品質で、その品質をいかに保持して、食卓にまで届けられるかが大事。
米の美味しさ、といわれるものの半分は収穫後(ポストハーベストの)技術が握っている。
本書はこれまであまり紹介されたことのない米のポストハーベスト技術を取り上げ、美味しい米が食卓にまで届くまでを科学する。
目次
第1章 米・ご飯のかたちと内部の特徴
第2章 米の栄養成分、古米化とは
第3章 米の美味しさを科学する
第4章 米と健康機能性、その強化
第5章 米の乾燥・調製・貯蔵と鮮度
第6章 米の精米・加工技術と美味しさ
第7章 米粉用米・飼料用米の新展開
第8章 米ぬかと籾がらの利活用、いろいろ
解説(詳細)
○イネの収穫後にフォーカス
収穫するまでの技術をつづったイネの本は多い。
しかし、収穫した後の乾燥・籾すり・精米(研米)・選別・貯蔵などを具体的に語った本は、専門書を除くとあまりなかったと思う。
本書は、これまでお米の技術本としては、そのあまりなかったイネの収穫後(すなわちポストハーベスト)に焦点を当てた本です。
○おいしいおを米をきっちりおいしくするのが収穫後技術
ではどうして米のポストハーベストなのか?
じつはお米の品質というのは収穫時がベスト。
その品質をいかに保持し、食卓にまで届けるかに、つくった農家は意を注ぎます。米のおいしさを決める半分は収穫後にあるといっても過言ではなく、その過程を担うのが乾燥から始まるポストハーベストの各技術です。
『おいしいお米の栽培指針』(堀野俊郎著、1998年刊品切れ)という本がかつてありました。
「おいしいお米の収穫後指針」もあっていいだろう―だったらそこに注目してちゃんと学び直してみようとしたのが本書というわけです。
ポストハーベストの各技術と、それを支える基礎知識としての米の形態や栄養成分、おいしさ、機能性成分などが詳しく触れられます。
○新しい「収穫後技術」でお米の未来をひらく
また本書ではもう一つ、従来のポストハーベスト技術に加えて、「新たな米をつくる」挑戦としてのそれも紹介されます。
一つは、ぬか由来の機能性成分を取り込んだ、美味しさと健康を両立させた米の開発。
二つには、需要に限りがある主食米だけでなく、粉砕や破砕によって小麦や輸入飼料の代替、いやそれを上回る素材での畜産利用。
三つには、毎年持続的に産出されるぬかや籾がらの有効活用です。
これらは皆、米が元々もっている「きほん力」。
それを見直し、新しい調整加工技術によって活かしていく。
そんな次世代ポストハーベスト技術も本書で提言しています。
地域の米づくりを多様にして、農家・集落を元気にさせる。
そんな可能性を感じさせる「収穫後技術」は、これから面白そうです。(編集部)