nobara*note

くらしの中にアンテナをいっぱい張って日々のお気に入りを主婦の目で綴ります、目指すは雑貨屋さん的ブログ♪

宮木あや子 雨の塔

2016-12-17 22:54:44 | 本・雑誌・ドラマ
「校閲ガール」の記憶も新しい宮木あや子さんの 雨の塔 を読みました。

あらすじ・・・・(「BOOK」データベースより)
その岬には資産家の娘だけが入れる全寮制の女子大があった。
衣服と食べ物は好きなだけ手に入るが、情報と自由は与えられない。
そんな陸の孤島で暮らす4人の少女ー高校で同性と心中未遂を起こした矢咲、母親に捨てられた小津、妾腹の子である三島、母親のいない都岡。
孤独な魂は互いに惹かれあい、嫉妬と執着がそれぞれの運命を狂わせてゆく。
胸苦しいほど切なく繊細な、少女たちの物語。

この世の果て/桜の海/深夜の月/浅葱の鳥/歌のつばさ/夕日の丘/いつかのこと/サルヴェイジの森/終息の断崖/雨の塔

元気で明るい「校閲ガール」と、同じ感覚のイメージで読み始めたのですが
作風が全く違うというか真逆ともいえる、ひっそりと忘れ去られたような世界を描いた物語。
金銭的に恵まれていても、家族の縁に薄い少女たちが閉じ込められている、岬の学校。
少女たちがそこに集うのは勉学のためではなく、世間から隔離された状態のままに大学卒業の資格を得るため。
授業は出席してもしなくてもとがめられることはなく、欲しいものはたいてい手に入る陸の孤島。
衣食住の自由はあっても、テレビとニュースからは遠ざけられ、電話と郵便にはチェックが入ります。
そんな暮らしの中、4人の少女たちがそれぞれに惹かれ合い、反発し合い、詮索し合い、必死でもがきます。
暗く重いストーリーですが、文章が美しくて、実に耽美的で、どこまでも謎めいていて
上流階級の暮らしも垣間見れて、殺伐とした中にもなぜかうっとり。
覗いてはいけないものを見てしまったような、せつないハラハラ感。
私がまだ少女だったら、きっとお気に入りの一冊になったであろうと思われるような、秘密めいた少女小説でした。

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