寝る前に マメ子(孫)に 絵本を一冊よみました
それでも 眠くないというマメ子に おはなしを一つ・・
むかし むかし うらしま マメたろうという 漁師がいました
ある日 波辺を歩いていると なにやら子どもたちが騒いでいます
一匹のウミガメを囲み 突いたり叩いたりしているのでした
マメたろうは カメを可哀想に思い
「 そのカメを 譲っておくれ! 」と 子どもたちに頼みました
子どもたちは カメの代わりにお小遣いを貰い 大喜びで駆けて行ってしまいました
マメたろうは 波打ち際まで カメを連れて行き
「 さあ お行き! もう 捕まるんじゃないよ 」と 海に帰してやりました
それから 数日が過ぎ
マメたろうが 浜辺を歩いていると 何処からか声がします
「 マメたろうさん! マメたろうさん! 」
声のする方へ顔を向けると 波間からポッカリ カメの顔が・・・
マメたろうが助けてやった あのウミガメでした
「 いつぞやは 助けて下さり 有難うございました
乙姫さまが お礼をしたいので ぜひ 竜宮へお出で頂きたいと申されています 」
マメたろうが ウミガメの背に乗ると カメはグングン海深くへと潜って行きました
そこは 何と美しい処でしょう!?
海藻が 森のように茂り 水の流れに揺らめいています
その間を縫って 色とりどりの魚が泳ぎ
見たこともない生きもの達が 生き生きと暮らしていました
海の底の竜宮では 乙姫さまが マメたろうを出迎え
立派な御殿の中で 大変なご馳走をもてなされました
どんな?
タコのピザ職人が 8本の肢でクルクルとピザを成形し ピザ窯での焼き立てをふるまったり・・
イカは 8本の肢と2本の手で 寿司を握るの!
握り寿司をイセエビの背に載せ イセエビが輪になりグルグル回ります
回転イセエビ寿司!
さあ デザートは・・・
上から 鮮やかな蛍光色に煌めきながら 降りて来たのは
クラゲたち
それぞれのクラゲが持つ籠の中には 頬っぺたが落ちるほど美味しそうなデザートの数々
どんなデザートが食べたい???
お腹がいっぱいになったら 次は ショーよ
ホタルイカの イルミネーション
トビウオの 航空編隊ショー !
イルカの サッカー試合 !
フグの 漫才・・
チンアナゴのフラダンス
それから・・ それから・・・
クジラのコーラスに
深海魚のマジックショー
もう 毎日が 楽しくて !
マメたろうは つい 日が経つのを忘れていました
けれど ある日 ふと 家が恋しくなり
乙姫さまは引き留めましたが 帰ることにしました
乙姫さまは 別れる時に
マメたろうに 美しい玉手箱を贈り こう言いました
「 この玉手箱を 決して開けてはいけません
それを守れば あなたは幸せに暮らせます 」
カメの背中に乗り 元の海辺に戻った マメたろうは
我が家への道を急ぎますが 出逢う人 出逢う人が 知らない人ばかり・・
とうとう 我が家に辿り着くと 家は崩れ落ちていました
近所の人に訊くと その家に住んでいた人は みな とうの昔に死んでしまったとの事
「 そうそう・・ 海に出て行方知れずになった若者が一人おったなあ~ 」
それも 遠い昔の話になっていました
マメたろうは たった一人 海辺に立ち
手にした玉手箱に 目を遣りました
父さん・・ 母さん・・
乙姫さま・・・
マメたろうは あれ程 止められていたのに
玉手箱を開けてしまいました
すると
一筋の煙が立ち上り
マメたろうは よぼよぼのおじいさんになっていました
おしまい
このお話の後 マメ子は ちょっとした浦島ブームになっています